障害者手帳と障害年金の違い|対象者や申請方法を詳しく解説

2023-11-13 福祉制度
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障害のある方の暮らしを支援する代表的な制度の障害者手帳と障害年金。

この2つが全く別々の制度であることをご存知でしょうか。

障害者手帳の交付が決まっても、自動的に障害年金の対象者になるわけではないため、申請を忘れると受給できなくなってしまいます。

今回は障害者手帳と障害年金の違いを紹介します。

それぞれの対象者や申請方法を解説しているので、利用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

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障害者手帳と障害年金は別々の制度

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障害者手帳は地方自治体が提供する制度である一方で、障害年金は日本年金機構が運営しています。

障害者手帳を所有していると、所得税や住民税の減免が受けられたり、公共交通機関が安く利用できたりします。

一方、障害年金は病気やけがが原因で生活・仕事が制限された方が一定の要件を満たしたときに受給できる年金です。

それぞれの制度で等級が割り振られますが、連動はしていないため、必ずしも同じ等級になるわけではありません。

たとえば、1級の身体障害者手帳を取得していても、障害年金の等級が1級になるとは限らないため、制度の利用条件や申請方法は別々で押さえておく必要があります。

障害者手帳とは

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障害者手帳とは、以下の3種類の手帳を総称した一般的な呼び方で、それぞれ対象となる障害区分や等級が異なります。

障害区分等級
身体障害者手帳・視覚障害
・聴覚
・平衡機能障害
・音声
・言語
・そしゃく障害
・肢体不自由
・心臓機能障害
・じん臓機能障害
・呼吸器機能障害
・ぼうこう
・直腸機能障害
・小腸機能障害
・HIV免疫機能障害
・肝臓機能障害
1~7級
療育手帳知的障害重度・その他
※さらに細かく分けている自治体もある
精神障害者保健福祉手帳・統合失調症
・気分(感情)障害
・非定型精神病
・てんかん
・中毒精神病
・器質性精神障害(高次脳機能障害を含む)
・発達障害
・その他の精神疾患
1~3級

障害者手帳の取得で受けられるサービス

障害者手帳を所得している場合、障害者総合支援法の対象となり、さまざまな支援が受けられる可能性があります。

障害者手帳を取得しておけば、以下のような支援が受けられます。

  • 所得税や住民税の控除
  • 自動車税の減免
  • 公共交通機関の運賃の割引
  • 公共施設の利用料の割引
  • 携帯電話の使用料の割引
  • 公営住宅の優先入居 など

ただし、障害者手帳で受けられる支援は、自治体や等級によって異なるので、事前に確認しておきましょう。

障害者手帳の申請方法

障害者手帳は、基本的に自治体の担当窓口で申請できます。

なかには、福祉事務所で手続きが必要な自治体もあるので、自治体のホームページなどで申請窓口をチェックしておきましょう。

なお、身体障害者手帳と精神障害者保健福祉手帳の申請には、医師の診断書が必要となります。

身体障害者手帳は、都道府県知事や市長が指定する医師の診断書・意見書が必要となるため、診察を受ける前に指定医師であるかを確認しておくことが大切です。

障害年金とは

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障害年金は、病気やけがが原因で生活・仕事が制限される方が一定の要件を満たしたときに受給できる年金です。

対象となる病気やけがは、以下の通りです。

外部障害眼、聴覚、音声または言語機能、肢体
(手足など)の障害など
精神障害総合失調症、双極性障害、認知障害、
てんかん、知的障害、発達障害など
内部障害呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、
血液・造血器疾患、糖尿病、がんなど

障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があり、原則として国民年金の被保険者は障害基礎年金、厚生年金の被保険者は障害厚生年金の対象となります。

障害年金の金額

障害年金の受給金額は、日本年金機構が定めた1~3級の障害等級によって異なります。

なお、厚生年金の被保険者で障害等級が1級・2級に該当する場合、障害基礎年金と障害厚生年金の両方が受け取れます。

1級2級3級
厚生年金報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金(228,700円)※報酬比例の年金額+配偶者の加入年金(228,700円)※報酬比例の年金額
国民年金993,750円+子の加算(1人につき228,700円、3人目からは76,200円)795,000円+子の加算(1人につき228,700円、3人目からは76,200円)
※配偶者の加給年金は、障害厚生年金の対象となった方に生計を維持している65歳未満の配偶者がいるときに加算される

報酬比例の年金額は、以下の計算で求められます。

報酬比例の年金額 = A + B

A 平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入期間

B 平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間

平均標準報酬月額は、被保険者であった期間の標準報酬月額の総額を被保険者期間の月数で割った額です。

一方、平均標準報酬額は、標準報酬月額と標準賞与額の総額を被保険者期間の月数で割った金額です。

なお、厚生年金の被保険者で、障害厚生年金に該当する状態よりも軽度な障害が残った場合は、障害手当金(一時金)の対象となります。

障害手当金は、障害等級3級の場合に1年間で受給できる障害厚生年金の2年相当額(報酬比例の年金額×2)を一時金として受け取れる制度です。

障害等級3級の場合に1年間で受け取れる障害厚生年金の2年相当額

障害年金の受給要件や金額については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

障害年金の申請方法

障害基礎年金を申請する際は原則自治体の窓口、障害厚生年金を申請する場合は近くの年金事務所または街角の年金相談センターに以下の書類を提出します。

  • 年金請求書
  • 基礎年金番号がわかる書類(年金手帳など)
  • 戸籍謄本や住民票など
  • 医師の診断書
  • 金融機関の通帳やキャッシュカード など

初診時の医療機関と診断書を作成した医療機関が異なる場合は、初診日の確認のために「受診状況等証明書」が必要となります。

障害者手帳と障害年金に関するよくある質問

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最後に障害者手帳と障害年金に関するよくある質問に回答していきます。

利用を検討している方は、事前に疑問を解消しておくと、手続きをスムーズに進められるでしょう。

障害者手帳がなくても障害年金を受け取れる?

障害年金の申請に、障害者手帳の取得は必須ではありません。

そのため、障害者手帳がない場合でも、受給要件を満たせば障害年金を受け取れます。

一方、障害者手帳が取得できたとしても、必ずしも障害年金が受け取れるわけではないので注意しましょう。

障害者手帳と障害年金はどちらから先に申請すべき?

障害者手帳と障害年金は、どちらから申請しても問題はありません。

障害年金の受給要件を満たすかどうかは、障害者手帳から判定することができるので、障害者手帳を取得しておくことで申請がスムーズに進む可能性があります。

障害者手帳と障害年金を申請して家計の負担を減らそう

障害者手帳と障害年金は別の制度であり、申請方法や障害等級に違いがあります。

それぞれの違いを押さえておくと、申請時に混乱することがなく、制度の利用をスムーズに進められるでしょう。

対象範囲や申請方法がわからない場合は、社会保険労務士などの専門家に相談するのがおすすめです。

監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士

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