障害者雇用での就職や転職を検討している方のなかには「給料は安いのか」「昇給やキャリアアップは見込めるのか」といった不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
障害者雇用の平均賃金は、一般雇用で働いた場合に比べて低いことが多いです。
しかし、自分に合った求人の選び方や収入を増やすためのポイントを知ることで、納得できる条件で働ける可能性が高まります。
そこで本記事では、障害者雇用の給料が安い理由や、収入アップを目指す方法について解説します。
活用できる支援制度も紹介するので、給料面の不安を解消したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

障害者雇用の給料

障害者雇用で働く方の給料は、障がい種別によって異なりますが、一般雇用よりも低い水準となっているケースが多いです。
障害者雇用の平均月収は、以下のとおりです。
| 障がい種別 | 平均月収 |
| 身体障がい者 | 23万5,000円 |
| 知的障がい者 | 13万7,000円 |
| 精神障がい者 | 14万9,000円 |
| 発達障がい者 | 13万円 |
一般企業で働く方の平均賃金である32万9,859円(厚生労働省 令和5年分毎月勤労統計調査)と比較すると、障害者雇用の給料が低いことがわかります。
ただし、障害者雇用だからといって一律に賃金が低いわけではありません。
自身の専門スキルを活かせる職種を選んだり、昇給や賞与など給与面が整った企業へ就職したりすることで、一般雇用と同程度の収入を得ている方もいます。
まずは障害者雇用の平均月収を一つの目安として、自分が希望する働き方でどのくらいの収入が得られるのかを知ることが大切です。
障害者雇用の給料が安い理由

障害者雇用の給料が安い理由は、以下の3つです。
- 短時間勤務や非正規雇用での採用が多い
- 定型業務が多く昇給しにくい
- 最低賃金の減額特例が適用される場合がある
それぞれ詳しく解説します。
短時間勤務や非正規雇用での採用が多い
障害者雇用では、体調への不安や通院の必要性から、短時間勤務や契約社員などの非正規雇用で働き始めるケースが多くあります。
障害者雇用のうち週30時間未満の短時間勤務で働く方の割合は、以下のとおりです。
| 障がい種別 | 短時間勤務の割合 |
| 身体障がい | 24.0% |
| 知的障がい | 34.9% |
| 精神障がい | 40.4% |
| 発達障がい | 38.7% |
自身の体調や生活リズムに合わせて短時間勤務を選ぶ方が多く、給与額が低くなる傾向があります。
また、同調査では知的障がい者の約8割、精神障がい者の約7割が非正規雇用となっています。
非正規雇用の場合はボーナスが支給されないことも多いため、結果として年収が低くなってしまうのです。
定型業務が多く昇給しにくい
障害者雇用では、マニュアル化された事務補助などの定型業務を任されることが多くあります。
定型業務を中心とした働き方は、障がい特性に配慮しながら無理なく働ける反面、際立った成果を示しにくく、昇給のチャンスが得られにくい側面もあります。
長期間納得して働き続けるためには、求人を選ぶ際にステップアップに応じた評価制度や昇給実績があるかを確認することが大切です。
最低賃金の減額特例が適用される場合がある
障害者雇用促進法では不当な差別を禁じていますが、例外的な措置として「最低賃金の減額の特例許可制度」が適用される場合があります。
これは、障がいによって業務内容が限られたり、仕事のスピードが一般的な水準と大きく異なったりする場合に、最低賃金より低い賃金で雇用できる制度です。
あくまで雇用機会を確保するための制度ですが、障害者雇用の平均賃金が低くなる要因の一つとなっています。
減額特例が適用される場合は契約時に企業から説明があるので、雇用契約書などの書類で給与条件を確認しておきましょう。
障害者雇用で給料アップを目指す方法

障害者雇用で給料アップを目指す方法には、以下のようなものがあります。
- 正社員として働く
- 業務に活かせる資格を取得する
- 障害者雇用の実績がある企業に就職する
1つずつ見ていきましょう。
正社員として働く
正社員として働くことで、基本給が上がるだけでなく、ボーナスや退職金なども支給されるようになります。
すぐに正社員になることが難しい場合は「正社員登用あり」と記載された求人を探してみるのがおすすめです。
正社員登用の仕組みがある企業では、契約社員などの非正規雇用から正社員へステップアップできる環境が整っています。
入社後のキャリアアップを視野に入れている方は、過去の登用実績や登用時期を確認しておきましょう。
業務に活かせる資格を取得する
業務に活かせる資格を取得すれば、資格手当によって収入が増えたり、より責任のある業務を担えたりする可能性があります。
専門的なスキルを証明できれば、会社からの評価が上がり、昇給の交渉もしやすくなるでしょう。
最近ではバリアフリーに配慮した試験会場も増えているため、受験しやすい環境が整っています。
自分が希望する職種でどのような資格が求められているのかを確認し、働きながら取得を目指してみましょう。
障害者雇用の実績がある企業に就職する
納得できる給料で働くためには、障害者雇用の実績がある企業を選ぶことが大切です。
障害者雇用の実績が豊富な企業は、一人ひとりの特性に合わせたサポート体制が整っていたり、給与や評価の基準が明確になっていたりする傾向があります。
実際にどのような業務を任されているのか、昇給事例はあるかなどを確認することで、入社後の生活を具体的にイメージしやすくなります。
自分に合った職場を効率よく探したい方は、ハローワークなどを活用して企業の情報収集をしてみましょう。
障害者雇用の給料が安いときに活用できる制度

障害者雇用の給料が安く生活費が足りないときは、以下の支援制度を活用できます。
- 障害年金
- 障害者控除
- 生活保護
それぞれ詳しく解説します。
障害年金
障害年金は、公的年金に加入している方がケガや病気により、仕事または日常生活に制限を受けた際に支給される年金です。
働いていると受給できないと思われがちですが、実際には働きながら受給している方も多くいます。
障害年金の認定基準は、以下のとおりです。
| 等級 | 状態 |
| 1級 | ・他者の介助を受けなければ、日常生活のほとんどのことができない状態 ・活動範囲がベッド周辺に限られる |
| 2級 | ・活動範囲が病院や家の中に限定され、日常生活の一部に他者の介助を必要とする状態 ・労働によって収入を得ることが難しい |
| 3級 | 障害によって労働に制限を受ける、または職場の理解やサポートによって就労ができる状態 |
障害年金を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 初診日に公的年金に加入している
- 障害認定日に障害年金を受給できる障害等級に該当する
- 20歳から「初診日の前々月まで」の期間で保険料納付済み期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上ある
初診日とは、障がいの原因となった病気やけがで初めて医師の診察を受けた日のことです。
初診日に国民年金に加入していた方は障害基礎年金、厚生年金に加入していた方は障害厚生年金の対象となります。
障害等級が1級または2級に該当する厚生年金の被保険者であれば、障害基礎年金と障害厚生年金の両方を受け取れます。
自身が受給対象になるのかわからない場合は、管轄の年金事務所や年金相談センターに相談してみましょう。
障害者控除
障害者控除は本人や配偶者、扶養親族に一定以上の障がいがある場合に、所得税や住民税の負担を軽減できる制度のことです。
障害者控除が適用されると税金として引かれる金額が減るため、手取り額を増やせます。
控除される税金と金額は、以下のとおりです。
| 区分 | 所得税 |
| 障害者 | 27万円 |
| 特別障害者 | 40万円 |
| 同居特別障害者 | 75万円 |
特別障害者は常に介護を必要とする重度の障害を持つ方のことです。
また、同居特別障害者は、特別障害者である家族と同居している場合に適用されます。
自身が控除の対象になるのかわからない場合は、最寄りの税務署に確認してみましょう。
障害者控除の対象者や申告方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

生活保護
障害年金や障害者控除を利用しても最低限の生活を維持するのが難しい場合は、生活保護を検討するのも方法の一つです。
生活保護は、収入が国で定められた最低生活費に満たない場合に、その差額が支給される制度です。
ただし、生活保護は世帯収入によって支給の可否が判断されるため、家族に十分な収入がある場合は対象外となります。
経済的な不安がある場合は、自治体の生活保護課などの窓口に相談してみましょう。
障害者雇用の給料が安いときは公的制度を活用しよう
障害者雇用の平均賃金が一般雇用より低い傾向にある背景には、短時間勤務や非正規雇用の割合が高いといった要因があります。
障害者雇用の方でも、正社員登用されたり、業務に活かせる資格を取得したりすることで、納得のいく条件で働ける可能性が高まるでしょう。
加えて、障害年金や障害者控除などを活用することで、生活の基盤をより安定させられる場合があります。
適した働き方や利用できる制度を知ったうえで、自分らしく働ける職場を見つけましょう。
障害者雇用の給料や生活費のやりくりに不安がある方は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのもおすすめです。
お悩みの方は、お気軽にご相談ください。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士



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