介護保険サービスを利用する際、自己負担額がいくらになるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
介護保険の自己負担割合は、本人の所得や世帯人数によって変動します。
家計への負担を正しく見積もるためには、自身の負担がどのくらいになるのかをあらかじめ計算しておくことが大切です。
本記事では、介護保険の自己負担割合が決まる判定基準や、費用負担を軽くするための助成制度について詳しく解説します。
介護サービス費の支払い額がいくらになるのか不安を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。

介護保険の自己負担割合の判定基準

介護保険サービスの自己負担割合は、所得に応じて変動します。
自己負担割合は、本人の年間所得金額や年金収入、その他の合計所得によって以下のように判定されます。
| 負担割合 | 本人の年間所得金額 | 年金収入とその他の合計所得金額 |
| 3割 | 220万円以上 | 単身:340万円以上 2人以上世帯:463万円以上 |
| 2割 | 220万円以上 | 単身:340万円未満 2人以上世帯:463万円未満 |
| 160万円以上220万円未満 | 単身:280万円以上340万円未満 2人以上世帯:346万円以上463万円未満 | |
| 1割 | 160万円以上220万円未満 | 単身:280万円未満 2人以上世帯:346万円未満 |
| 160万円未満 | ー |
年間所得とは、年金や給与などの総収入から、公的年金等控除や給与所得控除などを差し引いた後の金額を指します。
一方、年金収入は受取額のことをいい、遺族年金や障害年金などの非課税年金は含まれません。
世帯人数は65歳以上の方のみをカウントするため、同居している現役世代の子の収入は合算の対象外です。
なお、本人が住民税非課税であったり、40〜64歳の第2号被保険者であったりする場合は、所得に関係なく1割負担となります。
介護保険の自己負担割合が決まるタイミング

自己負担割合が決まるタイミングは、主に以下の3つです。
- 初めて要介護・要支援認定を受けた時
- 年1回の更新時
- 世帯構成や所得が変化した時
それぞれ詳しく解説します。
初めて要介護・要支援認定を受けた時
要介護・要支援認定を申請すると、結果通知とともに自己負担割合が記載された「介護保険負担割合証」が自宅に郵送されます。
サービスを利用する前に、ケアマネジャーや介護サービス事業所に証書を提出することで、正しい負担割合が適用されます。
介護保険負担割合証は、ケアプランの作成や利用料の計算に必要になるので、認定結果が届いたらまずはケアマネジャーへ提示するようにしましょう。
年1回の更新時
自己負担割合は前年の所得によって毎年再判定されます。
負担割合の有効期間は毎年8月1日から翌年7月31日までとなっており、毎年7月中旬から下旬にかけて自治体から届くのが一般的です。
前年の所得状況によっては1割だった方が2割もしくは3割に変更されたり、逆に負担が下がったりする場合があります。
世帯構成や所得が変化した時
年度の途中であっても、所得の修正申告を行ったり、世帯構成に変化があったりした場合は、自己負担割合が見直されます。
たとえば、同じ世帯の65歳以上の方が転出・死亡した場合は、変更があった月の翌月1日(変更日が1日の場合はその月)から、新たな割合が適用されます。
世帯状況が変わることで負担割合が下がるケースもあるため、判定に関わる変化があった際は、速やかに自治体の窓口に報告しましょう。
介護サービス費の負担を軽減する助成制度

介護保険の自己負担割合に関わらず、介護サービス費が一定額を超えた際に、以下の制度を利用することで費用が軽減する可能性があります。
- 高額介護サービス費
- 高額医療・高額介護合算療養費制度
- 特定入所者介護サービス費
それぞれ詳しく解説します。
高額介護サービス費
高額介護サービス費とは、1ヶ月に支払った介護サービス費の合計が自己負担上限額を超えたときに、超過分が支給される制度です。
自宅で利用するサービスだけでなく、施設入所時の利用分も対象となります。
高額介護サービス費の自己負担上限額は、所得区分によって以下のように決められています。
| 所得区分 | 自己負担上限額(月額) |
| 課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 | 140,100円(世帯) |
| 課税所得380万円~690万円 (年収約1,160万円)未満 | 93,000円(世帯) |
| 住民税課税~課税所得380万円 (年収約770万円)未満 | 44,400円(世帯) |
| 住民税非課税世帯 | 24,600円(世帯) |
| 住民税非課税世帯かつ前年の年金を含めた所得金額の合計が80万円以下 | 24,600円(世帯) 15,000円(個人) |
| 生活保護受給者 | 15,000円(世帯) |
夫婦で介護サービスを受けている場合は、それぞれの支払額を合算して上限を超えていれば払い戻しの対象となります。
一度手続きをしておくと、以降は上限額を超えた段階で自動的に払い戻しが受けられるので、サービスを多く利用している場合は申請しておきましょう。
高額医療・高額介護合算療養費制度
高額医療・高額介護合算療養費制度は、1年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担額の合計が基準額を超えた場合に、その超過分が払い戻される制度です。
世帯ごとの所得や年齢層に応じた年間の負担限度額は、以下のとおりです。
| 世帯収入 | 75歳以上 | 70歳~74歳 | 70歳未満 |
|---|---|---|---|
| 介護保険+後期高齢者医療 | 介護保険+被用者保険または国民健康保険 | ||
| 年収約1,160万円~ | 212万円 | 212万円 | 212万円 |
| 年収約770~約1,160万円 | 141万円 | 141万円 | 141万円 |
| 年収約370~約770万円 | 67万円 | 67万円 | 67万円 |
| ~年収約370万円 | 56万円 | 56万円 | 60万円 |
| 住民税非課税世帯など | 31万円 | 31万円 | 34万円 |
| 住民税非課税世帯(年金収入80万円以下など) | 19万円※ | 19万円※ | |
参考:厚生労働省 高額介護合算療養費制度
高額医療・高額介護合算療養費制度は、毎年8月1日〜翌年7月31日に利用した費用が対象となります。
医療機関への通院や入院が多く、さらに介護サービスも利用している世帯は、合算して基準を超えていないか確認することをおすすめします。
特定入所者介護サービス費
特定入所者介護サービス費とは、介護施設へ入所したりショートステイを利用したりした際にかかる食費や居住費の減免を受けられる制度です。
住民税非課税世帯の方を対象としており、所得に応じて以下の段階ごとに適用を受けられます。
| 負担段階 | 所得状況 | 預貯金額 |
第1段階 | 生活保護などを受給している | 要件なし |
| 世帯全員が老齢福祉年金受給者 | 単身 1,000万円以下 夫婦 2,000万円以下 | |
| 第2段階 | 世帯全員の年金収入を含む所得が80.9万円以下 | 単身 650万円以下 夫婦 1,650万円以下 |
| 第3段階(1) | 世帯全員の年金収入を含む所得が80.9万円超120万円以下 | 単身 550万円以下 夫婦 1,550万円以下 |
| 第3段階(2) | 世帯全員の年金収入を含む所得が120万円超 | 単身 500万円以下 夫婦 1,500万円以下 |
施設の種類や部屋のタイプ(多床室か個室か)によって減免額は異なります。
利用を希望する場合は、自治体から交付された介護保険負担限度額認定証を施設に提示する必要があります。
介護保険の自己負担割合についてのよくある質問

最後に、介護保険の自己負担割合についてのよくある質問に回答します。
後期高齢者医療制度は1割で介護保険の自己負担割合が3割になることはある?
後期高齢者医療制度と介護保険制度では判定基準が異なるため、介護保険の自己負担割合だけ3割になる可能性はあります。
医療保険は各種所得控除を差し引いた課税所得で判定しますが、介護保険は控除前の合計所得金額などを用いるため、介護保険の方が高い割合になりやすい傾向があります。
負担割合を決めるのに預貯金も調査される?
介護保険の自己負担割合を決める際に、預貯金などの資産は調査されることはありません。
負担割合は、あくまで本人の所得や世帯の年収に基づいて判断されます。
ただし、施設入所時の食費・居住費を軽減する特定入所者介護サービス費は、預貯金額が判定基準となるため資産調査が行われます。
要介護認定を受けたら自己負担割合を確認しよう
介護保険の自己負担割合は、自身の所得だけでなく世帯状況をふまえて毎年更新されます。
所得が一定以上あっても、世帯年収が低ければ負担が引き下げられる可能性があるので、介護保険負担割合証が届いたら、自身の負担割合を確認しましょう。
また、高額介護サービス費や高額医療・高額介護合算療養費制度などを活用することで、月々の支払いを抑えられる可能性があります。
利用できる制度がないか、ケアマネジャーや自治体の窓口に相談してみましょう。
介護サービス費によって家計への負担が不安な場合は、ファイナンシャルプランナーへの相談がおすすめです。
お悩みの方は、お気軽にご相談ください。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士



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