障害者扶養共済制度(しょうがい共済)とは?メリット・デメリットを紹介

お金のはなし
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障害のある子をもつ保護者が死亡または重度障害となってしまった際に、子が亡くなるまで一定額の年金を支給できる「障害者扶養共済制度」をご存じでしょうか。

障害者扶養共済制度は、掛け金が所得控除になったり、受け取る年金が非課税になったりするメリットもありますが、払い損になってしまう可能性があります。

本記事では、障害者扶養共済制度の概要と利用するメリット・デメリットを紹介します。

障害のある子の将来を心配している方は、ぜひ参考にしてください。

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 障害者扶養共済制度(しょうがい共済)とは?

冒頭のように障害者扶養共済制度は、障害のある子の保護者が死亡または重度障害になった場合に、子が亡くなるまでの生活を補償するための制度です。

ここでは、加入要件と掛け金・受取年金額の決定方法を詳しく紹介します。

加入要件

障害者扶養共済に加入するには、障害のある子および保護者の両方が加入要件を満たさなければなりません。それぞれの加入要件は以下の通りです。

保護者(全て該当すること)障害のある子(1〜3のいずれかと4に該当すること)
1.障害のある子を扶養している保護者である
2.加入年度の4月1日時点で65歳未満である
3.特別な疾病などがなく、生命保険契約が行える健康状態であること
1.知的障害がある
2.身体障害者手帳を所持し、障害等級が1〜3級に該当する
3.精神または身体に1・2と同程度の永続的な障害がある
4.将来独立することが困難である

掛け金

障害者扶養共済制度の掛け金は、加入年度の4月1日時点の保護者の年齢に応じて下表のように決定されます。

たとえば、加入年度の6月に35歳になる方の加入年齢は「35歳未満」となります。

障害者扶養共済制度 掛金月額
出典:厚生労働省 「障害者扶養共済制度 案内手引き」

上表は1口分の金額で、実際の加入時には口数に応じた金額を支払うこととなります。加入口数は最大2口までと規定されています。

なお、掛け金は加入日から20年が経過し、保護者が4月1日時点で満65歳となる年度の加入日になるまで払い続けることが必要です。

なかには、掛け金の減免を実施している自治体もあるので、自身が加入する自治体に問い合わせてみましょう。

受取年金額

受取年金額は「月額2万円/口数」となっており、加入口数に応じて毎月の年金額が増減します。

また、障害のある子が年金請求や管理を自身で行うことが困難である場合は、事前に年金管理者を指定しておかなければなりません。

年金管理者を指定すると、年金受給や現況届の提出などを代行できるため、障害のある子が年金を受給できないリスクを軽減できるでしょう。

障害者扶養共済制度のメリット

障害者扶養共済制度に加入するメリットには、以下の3つが挙げられます。

  • 掛け金が所得控除となる
  • 年金が非課税で受け取れる
  • 受け取った年金は生活保護の収入認定から除外される

メリット1:掛け金が所得控除となる

障害者扶養共済制度の掛け金は、所得控除の対象となるため、保護者の所得税や住民税を減らす効果が見込めます。

確定申告を行う際は「小規模企業共済等掛金控除」の項目への記載が必要です。

小規模企業共済やiDeCo(個人型確定拠出年金)と併用もできるので、積極的に節税をしたい方は、ぜひ活用してみましょう。

メリット2:年金が非課税で受け取れる

障害者扶養共済制度で受け取った年金は、所得税や住民税、贈与税の非課税対象となります。

老齢年金のように源泉徴収されることがないため、予定していた年金の満額を受け取れます。

贈与や相続では多額の税金がかかる可能性がありますが、障害者扶養共済制度を活用すると効率的な資産譲渡が行えるでしょう。

メリット3:受け取った年金は生活保護の収入認定から除外される

障害者扶養共済制度によって支給された年金は、生活保護の収入認定から除外され、生活保護費を減額されないメリットがあります。

収入認定とは、生活保護者から収入報告を受けた福祉事務所が、国が定めた生活保護基準から収入分を差し引いた生活保護費を決定する仕組みです。

収入と見なされる贈与や保険金を受け取ると、生活保護費が減ってしまいます。

そのため、将来的に生活保護を受ける可能性があるのであれば、障害者扶養共済制度を活用するのも手段の一つといえるでしょう。

障害者扶養共済制度のデメリット

多くのメリットがある障害者扶養共済制度ですが、デメリットも存在します。

加入後に後悔することがないように、必ず確認しておきましょう。

デメリット1:中途脱退すると損をする

障害者扶養共済制度を中途脱退した際には、脱退一時金が支給されますが、支払った掛け金より少ないケースが多くあります。

また、加入期間が5年未満の場合は、脱退一時金が支払われません加入口数を減らした場合にも一時金が支給されますが、脱退した口数分の年金支給が受けられなくなってしまうので注意しましょう。

掛け金が無駄になってしまうことがないように、払込み終了まで支払い続けられるのかを加入前に確認しておくことが大切です。

デメリット2:払い損になるケースがある

年金受給開始後から、障害のある子が亡くなるタイミングによっては、掛け金より受給年金額が少なくなってしまうケースがあります。

また、子が保護者より早く亡くなった場合には、弔慰金が支払われますが、基本的に掛け金より少ない金額になります。

ただ、障害者扶養共済制度の加入目的は、障害のある子の生活を助けることです。

そのため、保護者が亡くなった後の生活が安定するのであれば、本来の目的が達成できていると考えるのもよいでしょう。

障害者扶養共済制度は特徴を理解してから活用しよう

障害者扶養共済制度には、掛け金が所得控除になったり、受給年金を非課税で受け取れたりなど、さまざまなメリットがあります。

しかし、掛け金を払えずに中途脱退すると、受取金額が掛け金より少なくなってしまうので注意が必要です。

そういった状況にならないためにも、障害者扶養共済制度を利用する前にファイナンシャルプランナーや社会保険労務士などの専門家に相談して、適切なアドバイスを受けておきましょう。

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