自分の障害特性に合った仕事が見つからないことに悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
障害のある人の仕事が見つからない理由には、自分に適した職種を知らなかったり希望条件を絞りすぎたりしていることが考えられます。
自分の特性に合った仕事を見つけるためにも、自己理解を深めるなどの準備をしておくことが大切です。
そこで本記事では、障害のある人の仕事が見つからない理由と対処法を解説します。
仕事探しに活用できる相談機関も紹介しているので、自分に合った仕事を見つけたい方はぜひ最後までご覧ください。

障害のある人の仕事が見つからない理由

障害のある人の仕事が見つからない理由には、以下の3つが挙げられます。
- 自分に適した職種をわかっていない
- 最初から自分には難しいと思い込んでいる
- 条件を絞りすぎている
一つずつ詳しく見ていきましょう。
自分に適した職種をわかっていない
障害のある人が仕事を見つけられない場合、自分に適した職種をわかっていない可能性があります。
適職がわかっていないと、膨大な求人情報を見ることになり、自分に合った仕事を絞るのに時間がかかってしまいます。
まずは、自分の得意なことやスキルを明らかにし、どのような仕事であれば挑戦しやすいかを考えてみましょう。
また、自分に適した職種であれば、自己PRがしやすくなり、就職活動を有利に進められるようになります。
最初から自分には難しいと思い込んでいる
障害のある人のなかには、特定の職業に対して「自分には向いていない」と決めつけてしまっている人がいます。
自分には難しいという思い込みをもっていることで、障害特性に適した求人を見逃してしまう可能性が高まります。
例えば、以下のような場合が考えられます。
- コミュニケーションが苦手だから接客は向いていない
- 細かな作業が不得意なので技術職は難しい
- 創造力がないから企画や開発の仕事はできない
自分には向いていないと思っても、実際に就職すると得意分野であったり楽しさを感じたりすることも少なくありません。
例えば、マニュアルが整備されていれば、接客にストレスを感じないこともあります。
仕事探しの視野を広げるには、資格を取得したり職業訓練を受けたりして自信を付けるのもおすすめです。
条件を絞りすぎている
勤務場所や給料、働き方などの条件を絞りすぎて、仕事が見つかりにくくなっていることも考えられます。
希望条件にこだわりすぎると、自分に合った求人を見逃してしまう可能性があります。
また、地域によっては求人数が少ないことで、自分に合った仕事が見つかりにくくなることも考えられるでしょう。
都市部では障害のある人向けの求人が比較的多いものの、地方では数が限られている傾向があります。
そのため、以下のように条件を見直してみるのもよいでしょう。
- 通勤範囲を広げてみる
- 希望職種でなくても、活かせるスキルや経験がないか検討する
- 初任給だけでなく、昇給制度や賞与なども確認する
条件を見直してみることで、新たな求人や自分に合った仕事を見つけられるかもしれません。
障害のある人が就職するためのポイント

就職先をスムーズに見つけるためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 自己理解を深める
- スキルや資格を取得する
- 在宅ワークや短時間勤務を視野に入れる
それぞれ詳しく紹介します。
自己理解を深める
障害のある人が就職する際、自分の障害特性や得意なこと、必要なサポートなどの自己理解を深めておくことが大切です。
自己理解を深めることで、自分の強みや弱みを把握でき、自分に合った仕事や働き方を見つけやすくなります。
自己理解が不十分だと、採用面接で適切な自己PRができなかったり、自分の特性に合わない仕事を選んでしまったりする場合があります。
体調を崩さずに働くためにも、就職活動を始める前に自己理解を深めておくとよいでしょう。
スキルや資格を取得する
求人情報のなかには、特定のスキルや資格を取得している人を優先的に採用することが記載されているものがあります。
例えば、事務職なら基本的なパソコン操作や簿記、エンジニア職ならITパスポートを取得していることを条件にしている場合があります。
スキルや資格を取得することが難しいと感じる人もいるかもしれません。
しかし、これらのスキルや資格を取得するための勉強を始めることで、その仕事が自分に合っているのか判断できる可能性があります。
また、資格はスキルがあることの客観的な証明になるため、今後の就職活動が有利に進められるツールとしても活用できるでしょう。
就職のために新たなスキルを身に付けたい場合は、公共職業訓練(ハロートレーニング)を利用するのがおすすめです。
公共職業訓練では、ビジネスマナーなどの基礎スキルだけでなく専門的なスキルも身に付けられます。
公共職業訓練の内容や手続き方法については、以下のサイトで確認してみましょう。https://www.mhlw.go.jp/hellotraining/support
障害のある人におすすめの資格は、以下の記事で詳しく紹介しています。
在宅ワークや短時間勤務を視野に入れる
正社員だけでなく、在宅ワークや短時間勤務などの働き方も視野に入れることで、就職先が見つかる可能性が高まります。
在宅ワークは、通勤による身体・精神的な負担を軽減できるので、体調を崩すリスクも下げられるでしょう。
また、フルタイムで働くことへの不安がある人は、パートやアルバイトなどの短時間勤務から始めるのがおすすめです。
勤務時間を徐々に延ばしていけば、体調を崩す心配も少なくなるでしょう。
より柔軟に働きたい人は、フリーランスという選択肢もあります。
フリーランスは、好きなことを仕事にできたり、人間関係のストレスが少なかったりするメリットがあります。
ただし、収入が不安定になりやすいので、安定的な収入を得たい人にはあまりおすすめできません。
障害のある人がフリーランスとして働く際のメリットやデメリットは、以下の記事で詳しく紹介しています。
障害のある人の仕事が見つからないときの相談機関

障害のある人が仕事が見つからなくて悩んだときは、以下の専門機関に相談してみましょう。
- ハローワーク
- 地域障害者職業センター
- 障害者就業・生活支援センター
それぞれの支援内容を詳しく紹介します。
ハローワーク
ハローワークには、障がいのある人の就職活動を支援する専用窓口が設けられています。
障がい特性に応じた職業や、採用面接に向けたアドバイスが受けられます。
豊富な求人情報があり、すべてのサポートが無料で受けられるので、就職活動で悩んだときには相談してみましょう。
公共職業訓練(ハロートレーニング)の窓口にもなっているため、職業訓練の相談や申し込みもできます。
ハローワークを利用するためには、原則としてハローワークで求職者登録が必要です。
地域ごとに利用できるハローワークが決まっているので、以下のサイト(厚生労働省ホームページ)で確認してみましょう。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/hellowork.html
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、各都道府県に1か所以上設置されている専門的な職業リハビリ施設です。
障害のある人が就労に関わる訓練を受けたり、自己理解を深めるための相談ができたりします。
地域障害者職業センターには、厚生労働省の定める研修や試験を修了した障害者職業カウンセラーが在籍しているので、専門性の高い支援を受けられます。
地域障害者職業センターを利用する場合は、あらかじめ相談予約が必要です。
近くの地域障害者職業センターは、以下のサイトで確認してみましょう。https://www.jeed.go.jp/location/chiiki
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、就労面だけでなく、就労にまつわる生活面の相談もできる機関です。
具体的には、以下のような支援を受けられます。
- 就労相談、職場実習の機会提供
- 医療機関などとの連携
- 就職に向けた金銭管理や健康管理などの助言 など
仕事を始めることで生活リズムが崩れないか不安をもっている人は、障害者就業・生活支援センターを利用してみましょう。
最寄りの障害者就業・生活支援センターは、以下のサイトで確認してみてください。https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001242595.pdf
障害のある人の仕事が見つからないときに利用できる就労支援

仕事が見つからない場合は、以下の就労支援サービスの利用を検討してみましょう。
- 就労移行支援
- 就労継続支援
それぞれの支援内容を紹介します。
就労移行支援
就労移行支援とは、一般就労に向けてビジネスマナーやパソコンスキルを習得するための訓練を受けられる障害福祉サービスです。
就労移行支援では、以下のサポートが受けられます。
- 就労に向けたトレーニング
- 求人紹介や職場見学、実習
- 採用面接指導
- 職場定着の支援
就労移行支援では、一般的に1年前後の期間をかけて就労に向けたサポートを受けます。
一般就労に向けてある程度準備期間がほしい人は、就労移行支援を利用してみるのがおすすめです。
なお、就労移行支援事業所を探す際は、以下のような検索サイトを利用してみましょう。https://shigoto4you.com/office
就労移行支援のサービス内容については、以下の記事で詳しく紹介しています。
就労継続支援
就労継続支援とは、障害や難病がある人が一定のサポートを受けながら就労できる障害福祉サービスのことです。
就労継続支援はA型・B型の2種類あり、対象者や平均賃金は以下の通りです。
就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | |
対象者 | 原則18歳以上65歳未満 | 年齢制限なし |
雇用契約 | あり | なし |
平均賃金(令和4年度) | 月額 83,551円 時間額 947円 | 月額 17,031円 時間額 243円 |
体調などの問題で一般就労で働く自信がない方は、就労継続支援を利用することをおすすめします。
就労継続支援のサービス内容は、以下の記事で詳しく紹介しています。
障害があって仕事が見つからないときは相談機関や就労支援を活用しよう
障害があって仕事が見つからないときは、自己理解を深めたり、条件を見直したりするのがおすすめです。
自分に合った働き方や仕事がわからないときは、ハローワークや地域障害者職業センターなどの相談機関を積極的に活用しましょう。
仕事が見つかるまでの生活費に不安がある方は、ファイナンシャルプランナーへの相談がおすすめです。
お困りの方は、お気軽にご相談ください。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
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