障害のある方が一定要件を満たすと、自動車税が安くなることをご存知でしょうか。
自動車税の減免が受けられれば、車の維持費を理由に購入や所有をためらっていた方も検討しやすくなるでしょう。
ただし、自動車税の減免を受けるには、事前申請が必要になるため、申請方法や必要書類を確認しておくことが大切です。
そこで今回は、障害のある方が受けられる自動車税の減免制度を解説します。
自動車税の一般的な減免額も紹介しているので、どのくらい安くなるのか気になる方も、ぜひ参考にしてみてください。
障害者は自動車にかかる税金の減免が受けられる
一定要件を満たした障害者手帳を持っている方が事前申請すると、自動車税・軽自動車税種別割や環境性能割の減免が受けられます。
自動車税・軽自動車税種別割とは、一般的に自動車税と呼ばれるもので、自動車を保有している場合に限り、年に1回支払わなければならない税金です。
自動車税・軽自動車税環境性能割は、自動車取得税の廃止に伴い、2019年10月1日から導入された税金で、自動車を購入したときに納めます。
これらの税金は地方税であり、自治体の要件を満たせば、減免となる可能性があります。
障害者が自動車の税金の減免を受けられる条件
身体障害者手帳や療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を交付されている方が以下の要件を満たすと、自動車税・軽自動車税種別割や環境性能割の減免が受けられます。
- 減免を受けられる障害の程度であること
- 原則、障害者本人が所有する自動車であること
- 障害者本人以外が運転する場合は、障害者の通院や通学、通所などのために使用される自動車であること
それぞれの要件を詳しく見ていきましょう。
障害の程度
自動車の税金の減免を受けられる障害の程度は、障害の区分ごとに国土交通省が以下のように定めています。
障害の区分 | 障害の程度 | ||
身体障害者手帳 | 視覚障害 | 1~4級 | |
聴覚障害 | 2級または3級 | ||
平衡機能障害 | 3級 | ||
音声機能障害 | 3級(喉頭摘出による音声機能障がいがある場合に限る) | ||
上肢不自由 | 1級または2級 | ||
下肢不自由 | 1~6級 | ||
体幹不自由 | 1~3級または5級 | ||
乳幼児期以前の非進行性脳病変による運動機能障害 | 上肢機能 | 1級または2級 | |
下肢機能 | 1~6級 | ||
心臓機能障害 | 1級または3級 | ||
じん臓機能障害 | 1級または3級 | ||
呼吸器機能障害 | 1級または3級 | ||
ぼうこうまたは直腸の機能障害 | 1級または3級 | ||
小腸の機能障害 | 1級または3級 | ||
ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害 | 1~3級 | ||
精神障害者保健福祉手帳 | 1級 | ||
療育手帳 | A |
ただし、自治体によって対象となる等級が異なる場合があるので、窓口やホームページで事前に確認しておきましょう。
自動車の所有者や使用目的
税金の減免の対象となるのは原則、障害のある方本人が所有する自動車です。
障害のある方が18歳未満の身体障害者または知的障害者、精神障害者であり、自身で運転することが難しい場合は、生計を一とする方の所有する自動車も対象となる可能性があります。
生計を一とする方もしくは障害のある方を常時介護する方が運転者である場合は、障害のある方の通院、通学、通所または仕事のために使っていることが減免の条件です。
常時介護する方とは、障害者のみで構成される世帯の障害者のために日常的に継続して運転される方で、自治体から認定を受けた方を指します。
なお、減免の対象となる自動車は、障害のある方1人につき1台です。
障害者が受けられる自動車の税金の減免額
次に、障害のある方が受けられる自動車税・軽自動車税種別割および環境性能割の減免額を紹介します。
ここでは、多くの自治体が採用している減免額を紹介するので、居住している自治体がいくらに設定しているかは、窓口やホームページで確認しましょう。
自動車税・軽自動車税種別割
自動車税種別割の減免限度額は、総排気量2.5リットル以下の乗用車の場合、原則45,000円が上限です。
ただし、グリーン化税制により、15%重課となっている自動車は、51,700円が上限となります。
納税額が減免限度額を超える場合は、差額分の納付が必要となります。
一方、軽自動車税種別割は、全額が免除対象です。
自動車税・軽自動車税環境性能割
多くの自治体では「300万円×該当する自動車の税率」が減免の上限額となります。
ただし、鹿児島県のように「250万円×該当する自動車の税率」を上限額とする自治体もあるので、事前に確認しておきましょう。
税率は、自動車の燃費性能などに応じて0~3%のなかから決まり、電気自動車など環境負荷が小さくなるほど税率が低くなります。
たとえば、課税標準400万円の自家用車(税率2%)を取得した場合は、以下のように計算します。
400万円×2%-300万円×2%=8万円-6万円=2万円
以上の計算式のように、限度額を超えた分(2万円)は、納付が必要となります。
なお、身体障害者が使用できるように改造した場合、改造費用は減免される可能性があります。
障害者が自動車の税金の減免を受けるための申請方法
障害のある方が自動車の税金の減免を受けるためには、必要書類を窓口に提出して、減免申請する必要があります。
窓口は近くの県税事務所や自動車税事務所、役所の税務課となりますが、減免を受けたい税金の種類や自治体によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
申請には基本的に以下の書類が必要となります。
- 障害者手帳
- 自動車検査証
- 運転免許証
- マイナンバーがわかる書類
- 減免申請書
生計を一とする方または常時介護する方が運転する場合は、以下の1と3もしくは2と3の書類もあわせて必要となります。
1.生計を一とすることを証明する書類※いずれかが必要 | ・住民票の写し ・健康保険証 ・源泉徴収票 |
2.常時介護方であることを証明する書類 ※すべて必要 | ・世帯全員の住民票の写し ・世帯員の障害者手帳 ・誓約書 ※運行計画書が必要なケースあり |
3.対象の自動車の使用目的を証明する書類 | 自治体が指定するテンプレート |
減免申請をスムーズに進めるために、窓口や必要書類を事前にホームページで確認しておきましょう。
障害者が活用できる自動車の税金の減免に関するよくある質問
最後に、障害のある方が活用できる自動車の税金の減免に関するよくある質問に回答します。
自動車の税金の減免制度を活用したい方は、事前に疑問を解消しておきましょう。
車検証の名義が障害者本人でないと減免は受けられないの?
基本的には、障害者本人名義の自動車が減免の対象となります。
ただし、障害者本人が「18歳未満の知的障害者」など、一部のケースでは生計を一とする方が所有する自動車も対象となる場合があります。
対象になるのかがわからない場合は、担当窓口にあらかじめ確認しておきましょう。
自動車税の減免申請は毎年必要?
自動車税・軽自動車税種別割の減免を受けるには、毎年申請する必要があります。
基本的に、最初の申請内容から変更がないかを確認するために書類が届くので、必要事項を記入して提出しなければなりません。
回答がない場合は、翌年度から課税になる可能性があるので忘れずに対応しましょう。
自動車を買い替えるときは手続きが必要?
新しい自動車に対する税金の減免を受けたいときは、再度申請が必要となります。
自動車税の減免は、障害のある方1人につき1台なので、買い替え前の自動車で減免を受けている場合は、名義変更や抹消登録の手続きもしなければなりません。
障害があるときは自動車税の減免制度を利用しよう
一定要件を満たした障害のある方は、自動車税の減免を受けられます。
自動車税の減免を受けると、自動車の維持費の負担が軽くなるため、購入をためらっていた方も前向きに検討できるようになるでしょう。
自身が自動車税の減免対象になるかどうか悩んでいる方は、近くの県税事務所や自動車税事務所、役所の税務課に相談してみるのがおすすめです。
自動車の維持費だけでなく、家計全体の改善をしたいと考えている方は、お気軽にご相談ください。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
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