「障害のある子どもに日常生活で困らないための知識や生活能力を身につけてほしい」と感じたときに活用できるのが、自治体の障害児施設やサービスです。
しかし、自治体から通所受給者証の交付を受けたり、利用契約をしたりしなければ、障害児施設が利用できません。
そこで今回は、自治体の障害児施設の概要、利用にかかる費用や手続きについて解説します。
障害のある子どもの療育先や手続きの流れに不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
障害のある子どもが通える施設
障害のある子どもが通える施設は、対象年齢によって以下の2つに分かれています。
- 児童発達支援施設
- 放課後等デイサービス
なお、これらの施設を利用するには、自治体から「通所受給者証」を発行してもらう必要があります。
0〜6歳(未就学児)のための児童発達支援施設
児童発達支援施設は、障害のある未就学児が日常生活における基本的な動作や、集団生活への適応訓練などを受けるための施設です。
児童発達支援施設では、主に以下の3つのサービスを提供しています。
提供されるサービス | 支援内容 |
本人支援 | 将来、日常生活や社会生活を円滑に送れるように支援する |
移行支援 | 障害の有無に関わらず同世代の子どもとの仲間作りを図る |
家族支援 | 家族の負担を減らすための物理的・心理的サポート |
地域支援 ※一部施設による | 自治体・学校・病院など地域と連携して移行(仲間作り)をサポート |
なお児童発達支援施設は、児童発達支援センターと児童発達支援事業所に大別され、どちらも障害のある子どもやその家族を支援するための施設です。
加えて児童発達支援センターでは、保育園への訪問支援や障害児相談支援などの地域支援を行っています。
こういった支援をしている児童発達支援センターは、障害児支援における地域の中核を担う施設といえるでしょう。
施設の雰囲気や教育方針、サービス内容などは施設によって異なるため、複数施設を見学してから利用施設を決めるのがおすすめです。
6〜18歳のための放課後等デイサービス
放課後等デイサービスは、放課後や長期休暇中に通い、生活能力を引き上げたり、社会と交流したりするために利用できる施設です。
児童発達支援施設と同様に自立を促すための施設ですが、放課後等デイサービスは障害のある小学1年生〜高校3年生(6〜18歳)が利用します。
継続して施設を利用しなければならないと判断された場合には、満20歳まで利用することも認められています。
利用にかかる費用
障害児通所サービスを利用する際は、原則としてサービス利用にかかった費用の1割を自己負担することとなっています。
ただし、保護者の負担が大きくならないよう、以下の軽減措置が設けられています。
- 月額負担に応じて上限がある
- 3〜5歳までは費用がかからない
月額負担には所得に応じた上限がある
所得に応じて負担金額の上限が決まっているため、どれだけサービスを利用しても、上限額より負担が大きくなることはありません。
所得に応じた負担上限月額は、以下のように決められています。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 | |
---|---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 | |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 | |
一般1 | 市町村民税課税世帯 (所得割28万円未満) |
通所施設 ホームヘルプ利用の場合 |
4,600円 |
入所施設利用の場合 | 9,300円 | ||
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
3〜5歳までは費用がかからない
満3歳になって初めての4月1日から3年間は、サービス利用にかかる費用が無償化されています。ただし、医療費や食費、おやつ代などの費用は対象外です。
なお、無償利用するための手続きはないので、利用施設に年齢を伝えるなどして無償化の対象であることを伝えましょう。
利用するまでの流れ
児童発達支援施設や放課後等デイサービスを利用するまでの流れは以下のとおりです。
- 相談
- 施設見学
- 申請
- 受給決定に向けた発達検査
- 受給者証交付
- 施設への利用申し込み・利用開始
まずは、自治体(市区町村)の福祉担当窓口または指定の障害児相談支援事業所に相談し、必要な書類や手続きの流れを聞きます。
相談時に施設見学ができる場合があるので、子どもにあっているのかを十分に確認しておきましょう。
利用申請には、主に以下の書類が必要です。
- 児童通所支援支給等申請書
- サービス等利用計画案
- 療育が必要と確認ができる書類
子どもに療育が必要と確認できる書類を持っていない場合は、医療機関や児童相談所で判定を受けておきましょう。
申請が完了したら、自治体による最終的な発達検査が行われ、通所受給者証が発行されます。発達検査では、申請したサービス利用が子どもに適しているかを判定され、利用日数やサービス内容などが決定されます。
なお、通所受給者証が発行されるまでに1〜2ヶ月程度かかる場合がありますが、発行まで通所サービスが利用できないので注意しましょう。
通所受給者証の発行後は、利用施設との契約を行い、利用開始となります。
障害児施設の利用を検討しているなら早めの相談を
障害のある子どもが、児童発達支援施設もしくは放課後等デイサービスを利用するには、通所受給者証が必要で、発行までに1〜2ヶ月程度かかる自治体もあります。
障害のある子どもが日常生活に困らないための生活能力を身につけるためにも、可能な限り早く自治体に相談しましょう。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
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