特別支援教育就学奨励費は、特別支援学校などに通う子がいる保護者の経済的負担を軽減するために、費用の一部を助成する制度です。
学用品の購入や通学にかかる費用など、学校生活を送るうえで必要な経費のサポートを受けられます。
しかし、世帯の所得状況によって支給額や支給内容が異なるため、認定基準を知っておくことが大切です。
そこで本記事では、特別支援教育就学奨励費の対象者や支給内容、申請の流れを解説します。
特別支援学校などに通う予定がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

特別支援教育就学奨励費とは

特別支援教育就学奨励費とは、特別支援学校などに在籍する子の保護者に対し、世帯の収入に応じて必要な経費を助成する制度です。
ここでは、特別支援教育就学奨励費の対象者や支給内容を解説します。
対象者
特別支援教育就学奨励費の対象者は、以下のいずれかに該当する子の保護者です。
- 特別支援学校に在籍している
- 小・中学校の特別支援学級に在籍している
- 小・中学校の通級指導教室(通常の学級に在籍しながら、定期的に特別な指導を受ける教室)に通っている
- 通常の学級に在籍しているが、一定以上の視覚障がいや聴覚障がい、知的障がい、肢体不自由などがある
特別支援学校に在籍している場合、義務教育の間だけでなく幼稚部や高等部も対象となります。
多くの自治体では、年度途中で特別支援学級へ入級したり、通級を開始したりした場合でも申請月から支給対象となります。
支給内容
特別支援教育就学奨励費では、学校生活で必要となる経費が対象となります。
主な対象経費は、以下のとおりです。
| 支給項目 | 具体的な内容 |
| 学用品・通学用品購入費 | ノート、筆記用具、ランドセル、制服など |
| 交通費(通学費や帰省費) | 電車・バス代、付き添い者の運賃、自家用車のガソリン代など |
| 修学旅行費・校外学習費 | 宿泊費、参加するためにかかった交通費など |
| 学校給食費 | 毎月の給食費の一部または全額 |
| 寄宿舎居住に伴う経費 | 特別支援学校の寄宿舎でかかる経費 |
| オンライン学習に関わる通信費 | 自宅でのオンライン授業などに必要な通信費用 |
支給項目は自治体によって異なるため、対象となるかがわからない場合は、在籍する学校に確認しましょう。
特別支援教育就学奨励費の認定基準

特別支援教育就学奨励費の支給を受ける際は、世帯の所得状況に基づき、教育委員会が支弁区分を決定します。
支弁区分とは、特別支援教育就学奨励費の支給割合を決めるための区分のことで、自治体によって基準が異なります。
東京都の認定基準は、以下のとおりです(令和8年1月現在)。
| 支弁区分 | 世帯の収入状況の目安 | 支給割合 |
| Ⅰ段階 | ・生活保護受給世帯 ・住民税非課税世帯 ・所得が生活保護基準の1.50倍未満の世帯 | 実費の全額 (限度額の範囲内に限る) |
| Ⅱ段階 | 所得が生活保護基準の1.50倍以上2.50倍未満の世帯 | 実費の半額(限度額の範囲内に限る) ※教科用図書購入費や通学費などの一部費用は全額支給 |
| Ⅲ段階 | 所得が生活保護基準の2.50倍以上の世帯 | ICT機器購入費、校外活動等参加費、補助教材費の一部の経費のみ |
認定基準は、世帯の収入状況に加えて世帯人数によっても異なります。
東京都では、40代の両親と13歳の子の世帯であれば、所得が約635万円以上だとⅢ段階に認定されます。
自身の支弁区分を知りたいときは、在籍する学校に確認しましょう。
特別支援教育就学奨励費のメリット

特別支援教育就学奨励費のメリットは、以下の2つです。
- 家計の負担を軽減できる
- 通級指導教室の利用者も対象になる
それぞれ詳しく解説します。
家計の負担を軽減できる
特別支援教育就学奨励費を利用すると、学校生活で必要となる学用品費などの経済的負担を軽減できます。
ランドセルや制服といった高額なものだけでなく、給食費や修学旅行費まで幅広く助成されるため、家計の負担を抑えられるのが大きなメリットです。
障がい特性に応じた個別の教材費や、日々の通学をサポートするための交通費も助成の対象となるため、子に合った教育環境を無理なく整えられます。
通級指導教室の利用者も対象になる
特別支援教育就学奨励費は、通常の学級に通いながら通級を利用している子も対象です。
通級指導教室への移動にかかる交通費が補助されるため、遠方の教室へ通う際のハードルが下がります。
子の特性に合わせた柔軟な学びを選択しやすくなる点も、メリットといえます。
特別支援教育就学奨励費を申請する流れ

特別支援教育就学奨励費を申請する流れは、以下のとおりです。
- 学校から案内書類を受け取る
- 申請書を記載し、必要書類と合わせて学校へ提出する
- 自治体(教育委員会)による審査・認定が行われる
- 購入物品の領収書を学校に提出する
- 奨励費の支給、もしくは現物支給が行われる
申請する際は、入学時や進級時に学校から配布される案内書類を確認し、申請書と必要書類を学校へ提出します。
必要書類として、マイナンバー確認書類や世帯の所得状況を確認するための課税証明書の提出を求められるのが一般的です。
提出書類は自治体によって異なるので、配布される案内をしっかり確認しておきましょう。
奨励費は、購入品の領収書提出後に指定口座へ振り込まれますが、修学旅行費や給食費などは学校が支払いを代行する現物支給となる場合もあります。
特別支援教育就学奨励費を利用する際の注意点

特別支援教育就学奨励費を利用する際の注意点は、以下のとおりです。
- 領収書がなければ支給されない場合がある
- 就学援助制度との併用はできない
- 自治体によってルールが異なる
1つずつ詳しく解説します。
領収書がなければ支給されない場合がある
学用品や通学用品を購入した際、支払いを証明する領収書やレシートがなければ、支給されない場合があります。
領収書やレシートで品目名や金額、日付を確認されるため、購入後は大切に保管しておきましょう。
就学援助制度との併用はできない
自治体が経済的に困窮している世帯を対象に行う就学援助制度との併用は、原則として認められていません。
どちらの制度を利用するほうがよいかは、世帯の所得状況や自治体の規定によって異なります。
申請前に学校や教育委員会の窓口で相談し、どちらの制度がより多くの助成を受けられるか確認しておくことをおすすめします。
自治体によってルールが異なる
所得制限の基準や支給対象となる品目は、自治体ごとに決められています。
自治体によって基準が異なるため、他の地域で認められている学用品でも、お住まいの地域では対象外となる場合があります。
年度ごとに基準額やルールが変わる場合もあるので、学校やお住まいの地域の教育委員会が発行する最新の案内を確認しましょう。
特別支援教育就学奨励費を活用して家計の負担を軽減しよう
特別支援教育就学奨励費は、障がいのある子が安心して教育を受けられるよう、保護者の経済的負担をサポートする制度です。
学用品費や通学費などが助成対象となりますが、世帯の所得状況によって支給額や支給内容が異なります。
スムーズに受給するためにも、学校から案内を受け取ったら内容を確認のうえ、速やかに手続きを進めましょう。
学費の支払いによって家計に不安を感じている方は、ファイナンシャルプランナーに家計相談してみるのもおすすめです。
お悩みの方は、お気軽にご相談ください。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士




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