障がいがある方のなかには「障害年金をもらいながら失業保険も受け取れるのか」という疑問をもっている方も多いのではないでしょうか。
障害年金と失業保険は、それぞれの要件を満たしていれば両方受給することが可能です。
ただし、失業保険は働く意思と能力がある人を対象としているため、ハローワークで就労可能であると認められる必要があります。
本記事では、障害年金と失業保険の受給要件や申請方法、併給する際の注意点を解説します。
障害年金と失業保険の併給を考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

障害年金と失業保険は併給できる

障害年金と失業保険(雇用保険の基本手当)は、要件を満たしていれば両方を満額受給できます。
同時に受け取っても、給付額が減額されたり支給が停止されたりする併給調整は行われません。
なお、障害年金と失業保険は管轄する窓口が異なるため、別々に申請する必要があります。
それぞれ申請期限が決まっているため、受給対象となる方は早めに手続きすることが大切です。
障害年金の受給要件と申請方法

障害年金は、病気やケガによって生活や仕事に支障がある場合に受給できる年金のことです。
ここでは、障害年金の受給要件と申請方法を解説します。
受給要件
障害年金の受給要件は、以下のとおりです。
- 初診日に国民年金もしくは厚生年金に加入している
- 障害認定日に障害年金を受給できる障がい等級に該当する
- 20歳時点から「初診日の前々月まで」の期間で保険料納付済み期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上ある
初診日とは、障がいの原因となった病気やケガで、初めて医師の診断を受けた日のことです。
障害認定日は初診日から1年6ヶ月を経過した日、もしくは症状が固定したと医師が診断した日のことをいいます。
障害年金の受給要件を満たす場合、初診日に国民年金に加入していた人は障害基礎年金、厚生年金に加入していた人は障害基礎年金に加えて障害厚生年金を請求できます。
申請方法
障害基礎年金は自治体の国民年金窓口、障害厚生年金は年金事務所または年金相談センターに申請します。
申請時の必要書類は、以下のとおりです。
| 必要書類 | 書式の取得場所 |
| 年金請求書 | 自治体や年金事務所の窓口、もしくは日本年金機構のホームページ |
| 病歴・就労状況等申立書 | |
| 受診状況等証明書 | 自治体や年金事務所の窓口、もしくは日本年金機構のホームページで書式を取得後、医師に作成を依頼する |
| 医師の診断書(障害認定日から3ヶ月以内のもの、現在のものの計2枚) | |
| 戸籍謄本や戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票のいずれか | 自治体の窓口 |
| 受取先金融機関の通帳 | ー |
障害年金は申請してから支給決定までに約3ヶ月、実際に支給されるまでにさらに約1.5ヶ月かかる場合があります。
加えて、診断書の作成に時間がかかることもあるので、早めに手続きすることをおすすめします。
失業保険の受給要件と申請方法

失業保険は、再就職を目指している人が求職活動中の生活費として受け取れる給付金です。
ここでは、失業保険の受給要件と申請方法を解説します。
受給要件
失業保険の受給要件は、以下のとおりです。
- 働く意思と能力がある
- 原則として、離職前の2年間に雇用保険の加入期間が通算12ヶ月以上ある
(倒産や解雇、障がいによるものなど自己都合以外の場合は、離職前の1年間に加入期間が6ヶ月以上)
雇用保険の加入状況は、会社もしくはハローワークで確認できます。
退職後に会社から届く雇用保険被保険者離職票にも記載されているため、加入期間を確認しておきましょう。
申請方法
失業保険の手続きは、住所地を管轄するハローワークで行います。
申請時には、以下の書類を持参しましょう。
- 雇用保険被保険者離職票
- マイナンバーがわかる書類
- 身元確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 証明写真(縦3cm×横2.4cm)×2枚
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- 身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳(所持している場合)
障がい者が失業状態の場合、就職困難者として失業保険の優遇措置が受けられる可能性があります。
就職困難者に認定されると、失業保険の給付日数が長くなったり、支給を受けるために必要な求職活動の回数が少なくなったりするなどのメリットがあります。
自身が就職困難者に該当するのかわからないときは、ハローワークの窓口で相談してみましょう。
障害年金と失業保険を併給する際の注意点

障害年金と失業保険を併給する際の注意点は、以下のとおりです。
- 障がいがあると伝えたうえで求職活動が必要になる
- 年金事務所とハローワークへの申告内容に矛盾がないようにする
- 扶養から外れる可能性がある
それぞれ詳しく解説します。
障がいがあると伝えたうえで求職活動が必要になる
失業保険は、働く意思といつでも働ける能力がある人が対象となります。
そのため、週20時間以上の就労が難しい状態であれば、基本的に受給できません。
しかし、障害年金を受給している方のなかには、障がいに配慮した就労条件であれば働けるという方も多いでしょう。
そのような方は、ハローワークの窓口で「短時間なら働ける」「座り仕事ならできる」など、働ける条件を具体的に伝えることをおすすめします。
年金事務所とハローワークへの申告内容に矛盾がないようにする
年金事務所とハローワークには、自身の身体状況について同じ内容を伝えることが大切です。
たとえば、寝たきりで働けない状態で障害年金を受給している方が、ハローワークではフルタイムで働けると申告すると、不正受給を疑われる可能性があります。
障害年金を更新する際に、労働能力があると判断されて等級が下がったり、支給停止になったりする可能性もあるので、申告内容を統一しましょう。
扶養から外れる可能性がある
障害年金と失業保険は、どちらも非課税所得であるため所得税がかかりません。
しかし、社会保険上は収入として扱われるため、併給すると扶養から外れる可能性があります。
障がい者の場合、年間収入が180万円以上かつ扶養者の年収の2分の1以上になると扶養から外れてしまいます。
扶養から外れると自分で国民健康保険料を払う必要があり、結果として手取り額が少なくなる可能性があるので注意が必要です。
そのような状況を避けるためにも、それぞれの受給額を確認しておくようにしましょう。
障害年金と失業保険を併給する際のよくある質問

最後に、障害年金と失業保険を併給する際のよくある質問に回答します。
病状が悪化して働けない場合、回復してから失業保険を受給できる?
病気やケガですぐに仕事ができない場合は、失業保険の受給期限を延長できます。
通常、失業保険の有効期限は退職日の翌日から1年間ですが、延長手続きをすることで最大4年間まで延ばすことが可能です。
まずは治療に専念し、医師から就労許可が出たあとに求職活動をすれば、その時点から失業保険を受給できます。
延長手続きは働けない状態が30日以上続いた後に申請可能となるため、条件を満たしたら早めにハローワークで手続きしましょう。
障害者手帳を持っていなくても併給できる?
障害年金と失業保険の併給は、要件を満たしていれば障害者手帳を持っていなくても可能です。
ただし、失業保険で就職困難者の認定を受けるためには、医師の診断書が必要になる場合があります。
手帳がない場合は、ハローワークの窓口で医師の診断書による証明が可能かどうかを確認してみましょう。
ハローワークに障害年金の受給はばれる?
ハローワークと年金事務所のシステムは直接つながっていないため、受給状況が自動的に伝わることは基本的にありません。
しかし、事実を隠して手当を受け取ると、不正受給として失業保険の支給が停止されたり、支給額の返還を求められたりするなどのペナルティを受ける可能性があります。
正直に申告することで、就職困難者として失業保険の給付日数が延長されるなどのメリットも得られます。
自身の体調に配慮した求人を紹介してもらうためにも、症状を正確に伝えるようにしましょう。
障害年金と失業保険の受給要件を満たしているときは併給しよう
障害年金と失業保険は、受給要件を満たしていればどちらも受給できます。
働く意思と能力があり、医師から就労可能と診断されている場合は、それぞれの手続きを行いましょう。
失業中の生活費や家計管理に不安を感じている方は、ファイナンシャルプランナーへ相談するのもおすすめです。
お困りの方は、お気軽にご相談ください。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士



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