学校や職場の人間関係がうまくいかなかったり、仕事でミスが続いたりして「自分は発達障害なのかもしれない」と不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
発達障害の特性は子どもの頃から現れるのが一般的とされていますが、周囲のサポートや本人の対応力によって症状が目立たず、大人になってから発達障害に気付く場合があります。
大人の発達障害の可能性がある場合は、一人で悩まず、専門機関を受診して適切な支援を受けることが大切です。
そこで本記事では、大人の発達障害の診断を受けられる場所や受診の流れを解説します。
発達障害の診断を受けた後の相談先についても紹介するので、日常生活で困難なことが多いと悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。

発達障害の診断は精神科や心療内科で受けられる

発達障害の検査や診断は、精神科もしくは心療内科で受けられます。
精神科はうつ病や不安障害などの精神疾患全般、心療内科は心の状態によって身体に症状が現れる心身症を診療の対象としているのが一般的です。
どちらの診療科にすればよいか悩んだ場合は、精神科と心療内科のどちらもある病院を選びましょう。
受診する医療機関を探す際は、「〇〇(お住まいの自治体)+精神科もしくは心療内科」と検索するのがおすすめです。
ただし、すべての精神科や心療内科で発達障害の診察を行っているわけではないので、事前に電話やホームページで確認しましょう。
また、自治体によっては発達障害の診断が受けられる医療機関を公開している場合もあるので、自治体のホームページを確認してから受診する病院を選ぶことをおすすめします。
発達障害の代表的な特性

発達障害の代表的な特性は、以下の3つです。
- 自閉スペクトラム症(ASD)
- 注意欠如・多動症(ADHD)
- 学習障害(LD)
それぞれの特性を詳しく見ていきましょう。
自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症は、対人関係やコミュニケーション面に困難を感じることの多い特性です。
具体的には、以下のような特性があります。
- 場の空気に合わせて行動したり、暗黙のルールを理解したりするのが難しい
- 予定変更があったときに臨機応変に対応できない
- 上司や同僚などの立場に合わせて言葉や話し方を使い分けるのが苦手
自閉スペクトラム症の方は、場の空気を読むことに苦手意識があり、学校や職場の人間関係に悩むケースが多いとされています。
注意欠如・多動症(ADHD)
注意欠如・多動症は、集中力が保てなかったり、落ち着きがなかったりするなどの症状が見られる特性です。
具体的には、以下のような特性があります。
- 不注意によるミスを頻繁に起こす
- 思い立ったら考える前に行動してしまう
- じっと待つことが苦手
これらの特性は人によって異なり、穏やかでのんびりした方や、元気だが忘れっぽい方などさまざまなタイプに分かれます。
学習障害(LD)
「読む」「書く」「計算する」が極端に苦手な方は、学習障害と診断される可能性があります。
具体的な特性は、以下の通りです。
- 文章をうまく理解できない
- 話し方にまとまりがない
- 話の要点を理解するのが苦手
- 計算に時間がかかってしまう
マニュアルを読んだりメモを取ったりするのに時間がかかることで、仕事のペースが思うように上がらないと悩む場合があるでしょう。
発達障害の診断を受ける流れ

発達障害の診断を受ける流れは、以下の通りです。
- 問診
- 検査(心理検査や認知機能検査、IQ測定など)
- 診断
- 必要に応じて投薬
大人になってから発達障害の診断を受ける場合でも、子どもの頃の様子が重要な情報となります。
一般的に発達障害は先天的であるため、幼少期から発達障害の特徴があったかどうかが確認されます。
そのため、母子手帳や学校の通知表などがあれば、持参するよう求められる場合があるでしょう。
自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症は、医師が症状緩和の可能性があると判断した場合に投薬治療を検討することがあります。
また、発達障害が原因で不眠や抑うつ状態などの二次障害がある場合も、投薬を受けられる可能性があるので診察時に医師に相談してみましょう。
発達障害の方が利用できる相談窓口

発達障害に関する悩みがあるときは、以下の相談窓口の利用を検討しましょう。
- 発達障害者支援センター
- ハローワーク
- 地域障害者職業センター
- 障害者就業・生活支援センター
それぞれ詳しく紹介します。
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターは、発達障害の診断を受けた方やその家族の支援を総合的に行う専門機関です。
都道府県や指定都市、特定非営利活動法人などが運営しており、日常生活や職場での困りごとや、就労に関する相談に乗ってくれます。
例えば、福祉制度や関係機関の紹介、障害特性に応じた仕事の選び方などの助言を受けられます。
ただし、支援内容は自治体によって異なるので、事前にお住まいの地域のセンターに確認するのがおすすめです。
最寄りの発達障害支援センターは、以下のサイトからチェックしてみましょう。
https://www.rehab.go.jp/ddis/action/center
ハローワーク
自分に適した仕事がわからなかったり、就職・転職活動の進め方に不安があったりする場合は、ハローワークへの相談がおすすめです。
ハローワークには、令和6年度から精神・発達障害者雇用サポーターが設置されており、障害特性を踏まえた専門的な就職支援が受けられます。
就職後も、就労先の環境や業務内容に順応し、長く働き続けられるように支援を受けられます。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、障害のある方に対し、職業評価や職業準備支援などの職業リハビリテーションを実施する施設です。
職業評価では、結果をもとに適性職種や就職活動の進め方についての助言をもらえます。
また、地域障害者職業センターはジョブコーチを利用する際の相談窓口です。
ジョブコーチは、本人がストレスを軽減しながら仕事ができるよう、業務の進め方や休憩の取り方などの助言をしてくれます。
自分に合った仕事を見つけたい方や就職後の職場定着に不安がある方は、地域障害者職業センターを活用するのがおすすめです。
近くの地域障害者職業センターは、以下のサイトから確認してみましょう。
https://www.jeed.go.jp/location/chiiki
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、以下のような支援を行っている機関です。
- 就職に関する相談支援
- 日常生活・地域生活に関する助言
- 関係機関との連絡調整
就業面だけでなく、日常生活における支援も受けられるので、漠然とした悩みや不安がある人でも気軽に相談しやすいでしょう。
最寄りの障害者就業・生活支援センターは、以下から確認できます。
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001242595.pdf
発達障害の診断後に受けられる支援

発達障害に悩んでいる方は、以下の3つの制度が利用できる可能性があります。
- 自立支援医療制度
- 精神保健福祉手帳
- 障害年金
どのような支援を受けられるかを見ていきましょう。
自立支援医療制度
発達障害によって病院を受診する場合は、自立支援医療制度を利用できる可能性があります。
自立支援医療制度とは、精神疾患や発達障害などの治療を目的として継続的に通院している方が支払っている医療費の自己負担を軽減できる制度です。
ただし、自立支援医療制度を利用できるのは、自治体指定の医療機関で治療を受ける場合のみなので、受診前に自治体の担当窓口に確認しておきましょう。
自立支援医療制度については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳とは、精神疾患によって生活に制約が生じる状態であることを証明する手帳のことです。
精神障害者保健福祉手帳を持っていると、以下のような税金の減免や割引サービスが受けられる可能性があります。
- 自動車税・自動車取得税の減免
- 所得税や住民税、相続税の控除
- 公共交通機関や施設の利用料金の割引 など
ただし、障害の程度によっては手帳を取得できない場合があります。
対象となるかどうかは、自治体の窓口や医師に確認しましょう。
障害年金
発達障害の程度によっては、障害年金の受給対象となる可能性があります。
ただし、発達障害のある方すべてが対象になるわけではなく、障害年金の受給要件を満たす場合に限られます。
発達障害がある方が障害年金を受給できる状態の目安は、以下の通りです。
等級 | 状態 |
1級 | 社会性やコミュニケーション能力が不足しており、日常生活に常時介助が必要 |
2級 | 社会性やコミュニケーション能力が乏しく、日常生活に介助が必要な場面がある |
3級 | 社会性やコミュニケーション能力が不十分なことによって、労働に著しい制限を受ける |
自身が障害年金の対象になるかどうか知りたい方は、医師や年金事務所に相談しましょう。
発達障害かもしれないと思ったら専門の医療機関を受診しよう
大人の発達障害の検査や診断は、精神科や心療内科で受けられます。
診断を受ける際は幼少期の様子を確認するために、母子手帳や通知表などの持参を求められる場合があるので、受診先の指示に応じて準備しましょう。
大人の発達障害の可能性がある場合は、支援を受けられる機関に相談することが大切です。
ストレスを軽減しながら、より自分らしく生活できるようにアドバイスをもらいましょう。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
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