障がいがあっても一人暮らしはできるのか悩んでいませんか。
障がいがあることによって住居探しが難しかったり、必要なサポートを受けられなかったりすることに不安を感じている人もいるでしょう。
そこで本記事では、障がい者が一人暮らしをするために必要な準備や、活用できる制度を紹介します。
一人暮らしでどのような支援が受けられるのか不安を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
障がいがあっても一人暮らしはできる
障がいがある方も、障害福祉サービスなどの支援を受けることによって、一人暮らしが可能です。
日常生活の介護や家事など自分で行うのが難しい部分のサポートを受けることで、自立した生活を送ることができます。
しかし、一人暮らしをする障がい者の割合は、それほど多くありません。
内閣府が公表した平成25年版 障害者白書(概要)によると、一人暮らしをしている方の割合は、身体障がい者が10.9%、知的障がい者が4.3%、精神障がい者が17.9%でした。
一人暮らしの割合が少ない要因として、住居探しやお金の管理、サポート体制などに不安を感じていることが挙げられます。
あらかじめ必要な準備をしておけば、不安を軽減した状態で一人暮らしを始められるでしょう。
障がい者の一人暮らしに必要な準備
障がい者の一人暮らしに必要な準備は、以下の通りです。
- 住居を探す
- 生活必需品や家具を購入する
- 生活費を把握する
- 緊急時の対応を決めておく
住居を探す
一人暮らしの住居を探す際は、アパートなど民間の賃貸住宅から選ぶのが一般的です。
しかし、賃貸住宅は保証人が必要だったり低収入を理由に入居を断られたりすることがあります。
住居がなかなか決まらず、一人暮らしを始められるのか不安になる方もいるかもしれません。
民間の賃貸住宅に入居するのが難しい場合は、公営住宅の入居を検討してみましょう。
公営住宅は、自治体などの公的機関が管理する住宅で、障害者手帳を所持している場合、優先入居できる仕組みがあります。
収入が少ない人向けの住宅なので、家賃が低く設定されているのも嬉しいポイントです。
障がい者向けにバリアフリーとなっている部屋もあり、身体障がいのある方も入居しやすくなっています。
ただし、部屋数が限られていたり、空きがなかったりする可能性があるので、入居を考える際は早めに自治体の窓口に相談しましょう。
生活必需品や家具を購入する
住居が決まったら、ホームセンターや家電量販店で、生活必需品や家具などを購入しましょう。
初期費用を安く抑えたい場合は、リサイクルショップなどの利用もおすすめです。
特に新生活が始まる4月前後は、多数の家電や家具がリサイクルショップで購入できます。
少しでも節約したい方は、中古品の購入を検討してみましょう。
生活費を把握する
一人暮らしを始める前には、1ヶ月に必要な生活費を把握しておくことが大切です。
障害年金や給料などの収入を超える支出があると、家賃や光熱費などの支払いが難しく、一人暮らしを継続できなくなってしまう可能性があります。
一人暮らしの生活費がいくらになるか想像がつかない方は、統計データを参考にしてみましょう。
総務省統計局が2023年に公表した家計調査(家計収支編)調査結果では、単身世帯の1ヶ月の支出は167,620円です。
この金額を目安にして、1ヶ月の支出はいくらになるか試算しておくとよいでしょう。
支出が多い場合は、節約できるところはないか、あるいは障害者雇用などで働くことはできないかなどの検討が必要です。
緊急時の対応を決めておく
急な体調不良や災害が起きた場合などにどのような対応をとるか、あらかじめ決めておくことも大切です。
体調が悪化したときに備えて、家族やかかりつけ医などにすぐに連絡できるようにしておくとよいでしょう。
また、平時から災害用バッグを準備しておくことも大切です。
氏名や住所、障がいの程度、周囲に求める対応などを記入したヘルプカードを携帯しておくと、周囲に助けを求める際に役立ちます。
障がい者の災害対策については、以下の記事で詳しく紹介しています。
障がい者が一人暮らしの際に活用できる制度
障がい者が一人暮らしをする際は、以下の制度を活用して支援を受けられます。
- 住宅入居等支援事業(居住サポート事業)
- 自立生活援助
- 居宅介護
- 移動支援
- 日常生活自立支援事業
住宅入居等支援事業(居住サポート事業)
住宅入居等支援事業(居住サポート事業)は、保証人がいないなどの理由で賃貸住宅に入居できない障がい者に対して、必要な調整を行う事業です。
例えば、不動産業者に物件のあっせんを依頼したり、入居の手続きを支援したりします。
家主への相談対応もしてくれるので、不安なことは事業の担当者を通じて確認できます。
住宅入居等支援事業は、自治体が実施する地域生活支援事業の一つで、受給者証の交付を受けることで利用可能です。
ただし、住宅入居等事業を運営していない自治体もあるので、事前に居住している自治体の障がい福祉の窓口で確認しましょう。
自立生活援助
自立生活援助は、障害者支援施設やグループホームから単身生活に移行した障がい者の定期的な巡回訪問や相談対応を行う事業です。
例えば、巡回訪問では以下のような内容を確認します。
- 掃除や洗濯はできているか
- ゴミの分別やゴミ捨てはできているか
- 家賃や光熱費の滞納はないか
- 通院はできているか など
地域生活支援員と呼ばれる担当者が週1回以上の頻度で自宅訪問するほか、利用者から要請があれば、追加訪問や電話などで支援を受けることができます。
自立生活援助は原則1年間の利用となっていますが、状況に応じて更新もできます。
住宅入居等支援事業(居住サポート事業)と同様に、地域生活支援事業の一つであるため、受給者証の交付を受けてから利用しましょう。
居宅介護
居宅介護は、自宅に訪問してくれるヘルパーによって介護を受けられる障害福祉サービスです。
具体的には、以下の支援を受けられます。
サービス項目 | 具体的な内容 |
身体介護 | 入浴や排せつ、食事などの介護 |
家事援助 | 調理や洗濯、掃除などの家事支援 |
通院等介助 | 通院の付き添い |
身体介護と家事援助は障害支援区分1以上の方、通院等介助は障害支援区分2以上かつ一定条件を満たす方が対象です。
障害支援区分の認定を受けるためには、自治体の窓口で申請を行います。
身の回りの介護や、家事のサポートを必要とする方は申請しておきましょう。
移動支援
移動支援は、自宅で介護は必要ないものの、1人で買い物などの外出が難しい方が利用できるサービスです。
移動支援は日常生活に欠かせない買い物などだけでなく、冠婚葬祭や趣味によるものなど、社会参加のために必要な外出の付き添いや介護なども対象になります。
ただし、自治体によって利用条件や対象者、利用料金が異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。
日常生活自立支援事業
日常生活自立支援事業とは、障がい者が自立した生活を送れるよう、福祉サービスの利用援助や金銭管理を行う制度です。
社会福祉協議会が提供しているサービスで、生活費の管理や預貯金の預け入れや、払い戻しの代行などを行ってくれます。
一人暮らし後に、生活費が足りなくなりそうだったり光熱費の支払い漏れに不安を感じていたりする場合は、利用するとよいでしょう。
なお、日常生活自立支援事業は、事業の契約内容を理解できる方が対象であり、契約の必要性を判断できる能力がない場合は利用できないことに注意が必要です。
日常生活自立支援事業については、以下の記事で詳しく紹介しています。
一人暮らしの際は公的サービスを活用して支援を受けよう
障がいがあっても、公的サービスを活用して必要な支援を受けることで、一人暮らしができます。
安心して一人暮らしを始めるためにも、あらかじめ自治体の窓口などへ公的サービスの利用を相談してみましょう。
一人暮らしの入居準備や生活費など、金銭面に不安を感じている方は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのがおすすめです。
お悩みの方は、お気軽にご相談ください。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
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