手帳がなくても障害者雇用で働ける?利用できる福祉サービスや相談機関を解説

福祉制度
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障害者雇用で働くためには、障害者手帳が必要なのだろうかと疑問を感じる方もいるのではないでしょうか。

障害者雇用は、企業の規模に応じて一定数以上の障がい者の雇用を義務化した制度です。

障害者雇用の条件は、原則として障害者手帳を所持する方になっていますが、障がいの種類によって細かな条件は異なります。

そこで本記事では、障害者雇用の条件や障害者手帳を所持していない方の働き方を詳しく解説します。

利用できる福祉サービスや相談機関も解説しているので、就労に不安を感じている方は最後までご覧ください。

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障害者雇用は一部の方を除いて手帳が必要

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障害者雇用は知的障害の方を除いて、障害者手帳を所持していることが条件です。

障がいの種類による障害者雇用の条件は、以下の通りです。

障害名条件
身体障害者   ・身体障害者手帳1~6級を所持している方
・身体障害者手帳7級に掲げる障害が2つ以上重複している方 
知的障害者児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センターなどで知的障害があると判定された方
精神障害者精神障害者保健福祉手帳を所持している方

障害者雇用とは、企業が法定雇用率以上の障がい者を雇用することを指します。

法定雇用率として算定できるのは、上述した条件の方です。

そのため、身体障がいと精神障がいのある方は障害者手帳を所持していなければ、障害者雇用としての就労はできません。

障害者手帳を所持していない方が障害者雇用を利用したい場合は、手帳の取得可否を医師に相談してみましょう。

障害者手帳の取得が難しい場合は、一般雇用枠での就労を検討する必要があります。

障害者手帳なしで働く方法

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障がいのある方が一般雇用枠を選択する際は、職場に障がいを申告するか否かを自身で判断できます。

障がいを企業に申告するのかによって呼び方が以下のように異なります。

  • オープン就労
  • クローズ就労
  • セミオープン就労

それぞれのメリットや注意点を把握したうえで、自分にあった方法を選択しましょう。

オープン就労

オープン就労とは、会社に自身の障がいを明かして働くことです。

オープン就労を選択すると、障害者手帳の所持にかかわらず、障がいの特性に応じたサポートを会社に求めることができます。

例えば、軽度障がいで障害者手帳を取得できない方でも、障がいがあることを伝えれば会社から配慮を得ることが可能です。

障害者手帳がない場合は、会社に診断書の提出を求められるケースがあるので、必要に応じて医師に作成を依頼しましょう。

オープン就労は、障がいを理解してもらえる環境で長く働きたい方や、障がいを伝えずに働きにくさを感じた経験のある方に向いています。

一方で、障がいを明かして就職活動をすると、職場のサポート体制が整っていないなどの理由で内定を得られない場合があるので注意が必要です。

就職が決まるまでに時間がかかったり、職場のサポート体制が十分でなかったりすることを把握したうえで、オープン就労にするかを判断しましょう。

クローズ就労

クローズ就労とは、障がいがあることを会社側に伝えずに、就職する形態のことです。

障がいを開示しないので、就職活動の際に障がいがあることによる制限を受けることはありません。

その一方で、会社側に障がいがあることが認識されないので、必要な配慮や支援を得られず、働きにくい状況に陥ってしまう可能性があります。

例えば、通院のための休暇を取得しにくくなることで体調悪化につながり、短期離職をすることも考えられるでしょう。

実際に、2017年に独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が行った「障害者の就業状況等に関する調査研究」によると、障害者求人、オープン就労、クローズ就労の順に職場定着率が下がっていることがわかっています。 

クローズ就労をする際は、就職後に配慮が受けられなかったり相談できなかったりすることをあらかじめ認識しておきましょう。

セミオープン就労

セミオープン就労とは、職場の一部の人だけに自身の障がいを開示して働くことを指します。

直属の上司や部署内の同僚など、限られた範囲の人のみに障がいがあることを伝え、他の従業員には伝えません。

一部の人のみが知っている状態なので、オープン就労とクローズ就労の中間形態ともいえるでしょう。

メリットとしては、会社内に障がいに対する理解をしてくれる人がいるので、困ったことがあれば相談しやすいことが挙げられます。

一方で、障がいがあることを知らない同僚からは配慮を得られないので、働きにくさを感じる可能性があります。

また、セミオープン就労を受け入れている企業は多くありません。

受け入れていたとしてもセミオープン就労の基準は企業によって異なるので、入社を決める前にどのような規則になっているのかを企業担当者に確認しておきましょう。

障害者手帳がなくても利用できる就職支援サービス

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障害者手帳がない方で一般雇用が難しい場合は、以下の就職支援サービスの利用を検討してみましょう。

  • 就労移行支援
  • 就労継続支援

就労移行支援 

就労移行支援とは、障害者総合支援法に基づく就労支援サービスです。

一般企業での就労を目指す方を対象に、就労に必要なスキルを身につける訓練や適性に合った職場探しをサポートします

障がい者の就労支援に詳しいスタッフもいるので、自身の特性を相談しながら専門的な就労支援を受けられます。

細かいサポート内容は就労移行支援事業所によって異なるので、利用前に見学をしたりホームページを見たりして、確認しておきましょう。

就労移行支援事業所を探す際は、以下のような検索サイトを活用するのがおすすめです。

就労移行支援事業所を探す - 障がい者としごとマガジン
障がい者としごとマガジンの事業所検索ページです。各事業所の特徴、利用者の声、就職実績などの情報を掲載。全国の就労移行支援事業所からご自身が通える事業所を検索することができます。

就労移行支援の支援内容については、以下の記事で詳しく紹介しています。

就労継続支援

就労継続支援とは、障がいがあることによって一般企業での就労が困難な方を対象とした障害福祉サービスです。

一定のサポートを受けながら働き、就労に必要なスキルを身につけることを目的にしています。

一般企業で就労するための体力やスキルに不安がある場合は、就労継続支援を利用するのがおすすめです。

就労継続支援はA型・B型の2種類あり、以下のように異なります。

就労継続支援A型就労継続支援B型
対象者原則18歳以上65歳未満年齢制限なし
雇用契約ありなし
平均賃金
(令和4年度)
月額  83,551円
時間額 947円
月額  17,031円
時間額 243円

A型とB型の違いの一つは、雇用契約の有無です。

雇用契約を結ぶA型は、契約に基づいた勤務日数や労働時間で就労ができることが条件になります。

ある程度安定して働ける方はA型、体調にあわせて柔軟に働きたい方はB型を選びましょう。

就労継続支援A型とB型の違いは、以下の記事で詳しく紹介しています。

障害者手帳がなくても利用できる相談機関

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障害者手帳がない方でも、以下の専門機関に就職の相談ができます。

  • ハローワーク
  • 地域障害者職業センター
  • 障害者就業・生活支援センター

ハローワーク

ハローワークには、障がい者の就職活動を支援する専用の窓口が設けられています。

障害者手帳の有無や障がいの程度は問われないので、どのような障がいがある方でも利用可能です。

実際に相談する際は、障がい特性に応じて向いている仕事や、採用面接のポイントなどの助言を受けられます。

また、就職のために新たなスキルを身に付けたい場合は、ハロートレーニングとよばれる公共職業訓練の利用がおすすめです。 

パソコンなどの基礎スキルだけでなく、専門的なスキルも身に付けられるので、未経験の分野でも自信をもって就職を目指せるでしょう。

地域障害者職業センター 

地域障害者職業センターは、障がいのある方の就労に関わる訓練やアドバイスを受けられる支援機関です。

各都道府県に最低1か所ずつ設置されており、就職の希望などを確認しながら、仕事に必要となるスキルや障がい特性を確認したり評価したりします。

なお、就職後には希望に応じてジョブコーチを利用できます。

ジョブコーチとは、障がい者が働いている職場を訪問し、コミュニケーション方法や仕事についてアドバイスをする人のことです。

仕事や職場環境に慣れるために支援を受けたい方は、ぜひ活用してみましょう。

ジョブコーチの支援内容については、以下の記事で詳しく紹介しています。

障害者就業・生活支援センター 

障害者就業・生活支援センターは就労面の支援だけでなく、就労にまつわる生活管理も相談できる機関です。

地域障害者職業センターよりも設置数が多いので、より多くの地域で利用しやすくなっています。

障害者就業・生活支援センターは、就労後の生活面や体調面の変化が不安な場合に利用するのがおすすめです。

例えば、仕事の日に朝起きられなかったり薬を飲み忘れてしまったりする際にサポートを受けられます。

状況によっては、就労を継続できるように医療機関と連携して生活基盤を整える支援も実施されます。

就職後、生活リズムを整えるのに時間がかかったり、症状変化の不安があったりする方は活用してみましょう。

障害者手帳がない場合は障害福祉サービスや相談機関を活用して就職活動をしよう

障害者雇用を利用するためには、知的障がいの方を除いて障害者手帳が必要です。

障害者手帳がない場合は、障がいがあることを伝えるか否かを決めたうえで一般雇用の求人に応募しましょう。

一般雇用での就労が難しい方は、障害福祉サービスやハローワークなどの相談窓口も活用するのがおすすめです。

体調を維持しながら無理なく働くためにも、支援を受けられる機関を活用しながら、自身に合った職場を見つけましょう。

監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士

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