パーキンソン病の診断を受けた方のなかには「身体障害者手帳の対象になるのか」と疑問をもっている方も多いのではないでしょうか。
パーキンソン病の方は、認定基準を満たすことで身体障害者手帳の取得が可能です。
身体障害者手帳を取得すれば、医療費の助成や税金の控除を受けられるようになり、経済的な負担を軽減できます。
そこで本記事では、パーキンソン病の方が身体障害者手帳を取得するための認定基準やメリット、申請の流れを解説します。
身体障害者手帳以外に活用できる公的支援制度も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

パーキンソン病の方も認定基準を満たせば身体障害者手帳を取得できる

パーキンソン病により手足の動かしにくさがあったり歩行が難しかったりする場合、身体障害者手帳を取得できる可能性があります。
身体障害者手帳は、病名ではなく日常生活にどの程度支障が出ているかによって交付が判断される制度です。
そのため、一人ひとりの症状の程度に応じて等級が決定されます。
手帳を取得する際は医師の診断書が必要となるため、まずは主治医に申請が可能かを確認しましょう。
パーキンソン病の方が身体障害者手帳を取得する際の認定基準

身体障害者手帳は1〜7級に分けられ、そのうち1〜6級が交付対象となります。
パーキンソン病は、主に手足の動かしにくさや歩行困難などの症状があらわれる「肢体不自由」として認定されます。
パーキンソン病の方が身体障害者手帳を取得する際の認定基準は、以下のとおりです。
| 障害等級 | 症状の目安 |
| 1級 | ・両上肢または両下肢の機能を完全に失っている ・座った姿勢を保てない |
| 2級 | ・両上肢または両下肢の機能をほぼ失っている ・1人で立ち上がれない ・正しい姿勢で座れない |
| 3級 | ・片腕の機能をほぼ失っている ・片足の機能を完全に失っている |
| 4級 | ・指や腕関節のうち機能を完全に失った部位がある ・片足の機能をほぼ失っている |
| 5級 | ・指や腕関節のうち機能をほぼ失った部位がある ・片足のひざ、あるいは関節の機能を完全に失っている |
| 6級 | ・親指、または人差し指を含む2本の指の機能をほぼ失っている ・足にほぼ機能を失っている関節がある |
| 7級(手帳交付対象外) | ・腕や腕関節、指に軽度の障がいがある ・両足のすべての指の機能をほぼ失っている、または足や足関節に軽度の障がいがある |
身体障害者手帳は、原則として更新の必要がありません。
ただし、症状の変化が予測される場合は、指定された時期に再認定の手続きが必要となります。
再認定の時期は発行される障害者手帳に記載されているので、手元に届いたら確認しておきましょう。
パーキンソン病の方が身体障害者手帳を取得するメリット

パーキンソン病の方が身体障害者手帳を取得するメリットは、以下のとおりです。
- 医療費を軽減できる
- 税金の控除や減免が受けられる
- 公共交通機関や施設で割引を受けられる
それぞれ詳しく解説します。
医療費を軽減できる
一定以上の等級の身体障害者手帳を取得した場合、重度障がい者医療費助成制度の対象となり、医療費を軽減できます。
助成対象の基準は自治体によって異なり、東京都では身体障害者手帳1級もしくは2級に該当する方が対象です。
なかには、3級の方も助成対象としている自治体もあるので、お住まいの自治体の窓口やホームページで確認してみましょう。
重度障がい者医療費助成制度は、特定医療費(指定難病)の受給者証と併用できるため、すでに自己負担上限額がある方もさらに医療費を軽減できます。
重度障がい者医療費助成制度の対象者や助成内容については、以下の記事で詳しく解説しています。

税金の控除や減免が受けられる
身体障害者手帳を取得すると、障がい者本人や家族が障害者控除を受けられるため、税負担を軽減できます。
障害者控除で差し引かれる所得税の控除額は、以下のとおりです。
| 区分 | 所得控除額 |
| 障害者 | 27万円 |
| 特別障害者 | 40万円 |
| 同居特別障害者 | 75万円 |
身体障害者手帳1級または2級の方は、特別障がい者に該当します。
身体障害者手帳を取得すれば、所得税だけでなく住民税や相続税の控除、自動車税の減免なども対象になる場合があります。
住民税や自動車税の控除対象者は自治体によって異なるので、自治体の窓口などで自身が対象になるかを確認しましょう。
障害者控除の対象者や申告方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。

公共交通機関や施設で割引を受けられる
身体障害者手帳を取得すると、以下のサービスを受けられる場合があります。
- JR、バスなど公共交通機関の運賃割引
- タクシーの運賃割引
- NHK受信料の全額または半額免除
- 携帯電話の基本使用料やサービス料の割引
- 美術館や博物館など公共施設の入場料金割引
- 有料道路の通行料金割引 など
割引が適用される等級や割引率は、利用する交通機関やサービスによって異なります。
たとえば、JRの運賃は手帳の旅客鉄道株式会社旅客運賃減額欄が「第1種」であれば介護者も割引されますが、「第2種」の方の介護者は割引対象外です。
また、民間施設やテーマパークでも手帳提示により本人や同伴者の入場料が割引されるケースがあります。
各施設の身体障害者手帳による割引内容は、それぞれの公式ホームページや窓口で確認してみましょう。
パーキンソン病の方が身体障害者手帳を取得する流れ

パーキンソン病の方が身体障害者手帳を取得する流れは、以下のとおりです。
- 自治体の窓口やホームページで申請書式を取得する
- 医師に身体障害者診断書・意見書の作成を依頼する
- 申請書や診断書などの必要書類を自治体の窓口に提出する
- 障害者手帳の等級が決まり次第、交付される
身体障害者手帳を取得するためには、都道府県知事などが指定する医師が作成した身体障害者診断書・意見書が必要です。
主治医が指定医ではない場合は、各自治体の窓口に相談したり、厚生労働省が提供する医療情報ネット(ナビイ)で検索したりして、お住まいの地域の指定医を探しましょう。
指定医に診察してもらったうえで、診断書の作成を依頼します。
申請から手帳交付までに約2ヶ月かかる自治体もあるため、障害者手帳を取得したいときは早めに手続きすることをおすすめします。
申請の際には、診断書のほかに本人の顔写真やマイナンバー確認書類などが必要となるケースが多いため、事前に自治体のホームページ等で必要書類を確認しておきましょう。
パーキンソン病の方が身体障害者手帳のほかに利用できる公的支援

パーキンソン病の方は、身体障害者手帳のほかに以下の公的支援を利用できます。
- 特定医療費(指定難病)助成制度
- 介護保険制度
- 障害年金
それぞれ詳しく解説します。
特定医療費(指定難病)助成制度
特定医療費(指定難病)助成制度は、厚生労働大臣が定める指定難病の治療に対して、医療費の一部を助成する制度です。
特定医療費(指定難病)制度を利用すれば、医療機関の窓口負担が3割から2割に引き下げられたり、1ヶ月の自己負担額に上限が設けられたりするメリットがあります。
指定難病であるパーキンソン病と診断された場合は、Hoehn-Yahr重症度分類3度以上かつ生活機能障害度2度以上という基準を満たすことで助成対象となります。
自身が特定医療費(指定難病)助成制度の対象となるかわからない場合は、主治医や病院の医療ソーシャルワーカーに相談してみましょう。
介護保険制度
介護保険制度は通常65歳以上の方が対象となりますが、パーキンソン病と診断された40歳以上の医療保険加入者は第2号被保険者となり、制度の対象となります。
要介護認定を受けることで、通所リハビリや訪問介護などの介護サービスが利用可能です。
また、症状の進行によって手すりや車椅子が必要になれば、福祉用具貸与や住宅改修の助成を受けられる場合があります。
たとえば、要介護2以上の認定を受ければ、1ヶ月数百円ほどの自己負担で車椅子などの福祉用具をレンタルできます。
パーキンソン病は症状の変化が起こりやすい病気ですが、レンタルであれば身体の状態に合わせて適切な用具へいつでも変更できるため安心です。
車椅子の方が自宅で生活する際に利用できる介護サービスは、以下の記事で詳しく解説しています。

障害年金
障害年金は、公的年金の加入者がケガや病気により、仕事または日常生活に制限を受ける際に支給されます。
障害者手帳とは別制度で、パーキンソン病による歩行困難や動作の不自由さがあり、日常生活に支障が出ている場合に、障害年金の対象となる可能性があります。
障害年金の認定基準は、以下のとおりです。
| 等級 | 状態 |
| 1級 | ・他者の介助を受けなければ、日常生活のほとんどのことができない状態・活動範囲がベッド周辺に限られる |
| 2級 | ・活動範囲が病院や家の中に限定され、日常生活の一部に他者の介助を必要とする状態・労働によって収入を得ることが難しい |
| 3級 | 障害によって労働に制限を受ける、もしくは職場の理解やサポートがあれば就労できる状態 |
障害年金を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 初診日に公的年金に加入している
- 障害認定日に障害年金を受給できる障害等級に該当する
- 20歳から「初診日の前々月まで」の期間で保険料納付済み期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上ある
初診日とは、障がいの原因となった病気やけがで初めて医師の診察を受けた日のことです。
初期症状を自覚しにくいパーキンソン病は、診断までに時間がかかるケースが多いため、最初に受診した病院を忘れないよう記録しておくことが大切です。
初診日に国民年金に加入していた方は障害基礎年金、厚生年金に加入していた方は障害厚生年金の対象となります。
なお、厚生年金の被保険者で障害等級1級または2級に該当する場合、障害基礎年金と障害厚生年金の両方を受け取れます。
自身が受給対象になるのかわからない場合は、管轄の年金事務所に相談してみましょう。
パーキンソン病の方が身体障害者手帳を取得する際のよくある質問

最後に、パーキンソン病の方が身体障害者手帳を取得する際のよくある質問に回答します。
65歳以上でも身体障害者手帳を取得するメリットはある?
65歳以上の方も身体障害者手帳を取得することで、医療費の軽減や税金の控除・減免が受けられます。
年齢に関わらず、対象となる場合は障害者手帳の取得を検討しましょう。
65歳以上の方が障害者手帳を取得するメリットや注意点は、以下の記事で詳しく解説しています。

身体障害者手帳を取得すると勤務先にバレる?
身体障害者手帳を取得しても、自治体から勤務先に通知されることはないためバレる心配はありません。
ただし、年末調整で障害者控除を受ける場合は、書類処理の担当者に知られることになります。
職場に知られたくない場合は、職場での控除申請は行わず、自身で確定申告をしましょう。
パーキンソン病と診断されたら身体障害者手帳の取得を検討しよう
パーキンソン病の方は、認定基準を満たすことで身体障害者手帳が取得できます。
身体障害者手帳を取得すると、医療費の助成や税金の控除を受けられるため、経済的負担を軽減できます。
自身が身体障害者手帳の対象になるかわからない場合は、主治医や病院の医療ソーシャルワーカーに相談してみましょう。
パーキンソン病の方は、身体障害者手帳以外にも特定医療費(指定難病)助成制度や介護保険、障害年金などの公的支援を活用できる可能性があります。
自身の症状に合わせて適切な支援を受けるためにも、利用できる制度を把握しておきましょう。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士



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