65歳を過ぎてから障害者手帳を取得するべきか悩んでいませんか。
65歳以上の方が障害者手帳を取得すると、医療費を軽減できたり税金の優遇が受けられたりする可能性があります。
生活費の負担を軽くしたい方は、障害者手帳を取得するのがおすすめです。
本記事では、65歳以上の方が障害者手帳を取得するメリットと注意点を紹介します。
障害者手帳の申請の流れも解説するので、これから障害者手帳の取得を考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

障害者手帳の種類

障害者手帳には、以下の3種類があります。
身体障害者手帳 | 療育手帳 | 精神障害者保健福祉手帳 | |
等級 | 1級(重度)~7級(軽度) | 自治体によって異なる | 1級(重度)~3級(軽度) |
取得できる主な障がい | ・肢体不自由 ・視覚障がい ・聴覚・平衡機能障がい ・心臓機能障がい ・じん臓・ぼうこう機能障がい など | 知的障がい | ・てんかん ・統合失調症 ・器質性精神障がい(認知症や高次脳機能障がいを含む) |
知的障がいは先天性であることがほとんどなので、65歳以降で新たに取得するケースが多いのは身体障害者手帳と精神障害者保健福祉手帳です。
厚生労働省が調査した平成28 年生活のしづらさなどに関する調査によると、65歳以上の人のうち障がいの原因を「加齢」と答えた人が23.8%いることがわかっています。
つまり、高齢者の約4分の1が年を重ねることによって障がい者になっているのです。
65歳以上の人が障害者手帳を取得するメリット

65歳以上の人が障害者手帳を申請するメリットは、以下の3つです。
- 医療費を軽減できる
- 税金の優遇が受けられる
- 公共交通機関や施設で割引を受けられる
1つずつ見ていきましょう。
医療費を軽減できる
65歳以上の方が一定以上の等級の障害者手帳を取得した場合、後期高齢者医療制度の対象となり、医療費を軽減できる可能性があります。
後期高齢者医療制度の対象となる障害者手帳の等級は、以下のとおりです。
- 身体障害者手帳1級~3級
- 身体障害者手帳4級の一部※
- 療育手帳のA(重度)
- 精神障害者保健福祉手帳1、2級
※音声障害、言語障害、下肢障がいのうち両下肢のすべての指を欠くもの、どちらかの下肢の下腿2分の1以上を欠くもの、どちらかの下肢機能の著しい障がいがある場合
後期高齢者医療制度の対象になると、医療機関を受診したときの窓口負担が原則として1割になります。
通常、65歳〜69歳の方は3割負担、70歳〜74歳の方は2割負担となるため、後期高齢者医療制度の対象となれば医療費負担を大きく軽減することができます。
ただし、一定以上の所得がある方は、自己負担が2割もしくは3割になるため、事前に自身の負担割合を確認しておくことが大切です。
所得の判定基準は、厚生労働省のホームページで確認できます。
税金の優遇が受けられる
障害者手帳を取得すると、障がい者本人や家族の障害者控除によって税負担を軽減することができます。
障害者控除で差し引かれる所得税の控除額は、以下のとおりです。
区分 | 所得控除額 |
障がい者 | 27万円 |
特別障がい者 | 40万円 |
同居特別障がい者 | 75万円 |
身体障がいが7級相当の方は手帳が交付されないため、対象外となることに注意が必要です。
特別障がい者に該当する障害者手帳の等級は、以下のとおりです。
- 身体障害者手帳1級もしくは2級
- 療育手帳 重度
- 精神障害者保健福祉手帳1級
ただし、これらの等級に該当しなくても、市町村長が障がいの程度に応じて特別障がい者であると判断するケースもあります。
特別障がい者の判断基準は自治体によって異なるので、自治体のホームページなどで確認しましょう。
障害者控除の申告方法は、以下の記事で詳しく紹介しています。
公共交通機関や施設で割引を受けられる
障害者手帳を提示すると、以下の割引を受けられる場合があります。
- JR、バスなど公共交通機関の運賃
- タクシーの運賃
- 有料道路の通行料金
- 携帯電話料金
- 公共施設の入場料金
- NHK受信料 など
ただし、対象となる障害者手帳の種類や等級はサービスによって異なります。
例えば、有料道路の通行料金は、障がい者本人が運転する場合、身体障害者手帳を持っていると割引が受けられます。
割引サービスを受けるときは、対象条件や割引額を事前にサービスサイトで確認しておきましょう。
障がい者の有料道路の割引については、以下の記事で詳しく紹介しています。
65歳を過ぎてから障害者手帳を申請する際の注意点

65歳を過ぎてから障害者手帳を申請する際は、以下の2点に注意が必要です。
- 診断書代がかかる
- 更新手続きが必要な場合がある
それぞれ詳しく紹介します。
診断書代がかかる
障害者手帳の申請には医師の診断書が必要となります。
診断書の発行費用は医療機関によって異なり、3,000円〜5,000円が相場です。
ただし、認定される等級が低い場合、診断書代を支払っても割引サービスや優遇制度の恩恵が得られないことがあります。
診断書代と手帳取得後のメリットをあらかじめ比較し、申請すべきかを検討しましょう。
更新手続きが必要な場合がある
精神障害者保健福祉手帳は、2年ごとの更新手続きが必要です。
身体障害者手帳は更新手続きが原則不要となっていますが、症状に変化があるときに再認定を求められることがあります。
更新手続きには医師の診断書が必要となるため、診断書代もかかります。
障害者手帳を取得する流れ

65歳以上の方が身体障害者手帳や精神保健福祉手帳を取得する流れは、以下のとおりです。
- 自治体の窓口やホームページで申請書類の書式を取得する
- 医師に診断書の作成を依頼する
- 申請書や診断書などの必要書類を自治体の窓口に提出する
- 障害者手帳の等級が決まり次第、交付される
申請書の様式は自治体によって異なるので、窓口やホームページで取得しておきましょう。
申請時に顔写真や個人番号確認書類を求める自治体が多いので、事前に準備しておくことをおすすめします。
身体障害者手帳の診断書は、都道府県知事が指定した医師のみ作成できます。
診察を受ける前に、指定医師であるかを自治体のホームページなどで確認しておきましょう。
申請から手帳交付までに2ヶ月程度かかる自治体もあるため、障害者手帳の取得を考えたときは早めの準備をおすすめします。
65歳以降に障害者手帳の対象となったら申請を検討しよう
65歳以上の方が障害者手帳を取得することには、医療費を軽減できたり税金の優遇が受けられたりするメリットがあります。
ただし、障害者手帳の種類や等級によっては対象外となるケースがあるので、あらかじめ適用条件を確認しておくことが大切です。
なかには、障害者手帳の申請から手帳交付までに2ヶ月ほどかかる自治体もあります。
診断書の取得に時間がかかることもあるため、障害者手帳の取得を考えている方は早めに準備を進めましょう。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
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