外出時に有料道路を使う機会がある方のなかには、障害者割引が使えるのか疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
一定以上の障がいがある方は、有料道路の通行料金が半額になります。
ただし、割引を受けるには事前申請が必要となるので、あらかじめ申請方法や必要書類を確認しておくことが大切です。
この記事では、有料道路の割引を受けられる対象者や対象車両、申請方法を解説します。
申請時の注意点も解説するので、病院や施設への移動、旅行などの外出時に有料道路を利用する方はぜひ最後までご覧ください。

障がいのある人は有料道路の割引を受けられる場合がある

一定以上の障がいがある人は、有料道路の料金が半額(10円未満は切り上げ)となります。
まずは、対象者や対象車両を解説します。
対象者
有料道路の割引を受けられる対象者は、該当の車を誰が運転するかによって以下のように異なります。
運転手 | 対象者 |
障がいのある人 | 身体障害者手帳を持っている人 |
本人以外 (障がいのある人が同乗する場合に限る) | 身体障害者手帳あるいは療育手帳を持っている人のうち、重度の障がいがある人 |
障がいのある人が運転する場合、身体障害者手帳を持っていれば、すべての人が割引対象となります。
知的障がいや精神障がいがある人は割引を受けられません。
なお、本人以外の家族や介護者が運転するときは、重度の身体障がいまたは知的障がいがある人も割引対象となります。
重度の障がいに該当するのは、障害者手帳の「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」欄に第1種と表記されているケースです。
第1種に該当する身体障害者手帳の等級は、以下の通りです。
障害名 | 等級 |
視覚障がい | 1級~3級、4級の1 |
聴覚障がい | 2級および3級 |
肢体不自由 | 上肢:1級および2級の1、2 下肢:1級、2級および3級の1 体幹:1級~3級 【脳原性運動機能障がい】 上肢機能:1級および2級 移動機能:1級~3級 |
心臓、じん臓、呼吸器または小腸の機能障がい | 1級、3級および4級 |
膀胱または直腸の機能障がい | 1級および3級 |
ヒト免疫不全ウィルスによる免疫または肝臓の機能障がい | 1級~4級 |
知的障がいの第1種は、以下の状態が目安となります。
- 知能指数がおおむね35以下で、日常生活を送るうえで全面的な介護が必要な人
- 肢体不自由や視覚、聴覚障がいがあり、知能指数がおおむね50以下で、日常生活を送るうえで全面的な介護が必要な人
自身が適用対象なのかわからない場合は、障害者手帳を確認してみましょう。
対象車両
障がいのある人が有料道路の割引を受けるときは、基本的に自家用車の登録が必要です。
登録できる車両は、以下の車両です。
車種 | 要件 |
乗用自動車 | ・車検証などの⽤途欄に「乗⽤」と表記されている ・定員が10⼈以下 |
貨物自動車 | ・車検証などの⽤途欄に「貨物」と表記されている ・定員が4⼈以上10⼈以下 ・座席と荷台に仕切りがない、もしくは座席と荷台が仕切られていて最⼤積載量が500kg以下 |
特種用途自動車 | ・車検証などの⽤途欄に「特種」と表記されている ・定員が10⼈以下 ・「⾞体の形状」欄に⾞いす移動⾞(⾝体障がい者輸送⾞)、患者輸送車、キャンピング⾞のいずれかが表記されている |
二輪自動車 | 総排気量が125ccを超えた車両 |
これらの車両の所有者は、以下のいずれかであることが要件となります。
- 障がい者本人
- 配偶者
- 両親や祖父母、子などの直系血族およびその配偶者
- 兄弟姉妹およびその配偶者
- 同居の親族
親族が車両を所有していない場合は、障がい者本人の日常生活の全面的な介護をする人の車両でも認められます。
ただし、車検証の「使用者の氏名または名称」に法人名が書かれている場合は割引の対象外になるので注意が必要です。
なお、自家用車がなかったり、登録車両が車検などで利用できなかったりするときは、未登録車両でも対象となります。
未登録者が割引対象になる例には、レンタカーや介護タクシー、車検中の代車などが挙げられます。
障がいのある人が有料道路の割引を受ける際の申請方法

有料道路の割引を受ける際は、あらかじめ自治体の窓口もしくはオンラインで申請する必要があります。
ここでは、それぞれの手続き方法について解説します。
自治体の窓口で申請する場合
自治体の窓口で手続きする場合は、以下の書類が必要です。
- 身体障害者手帳もしくは療育手帳
- 登録する自動車の車検証など
- 運転免許証(本人が運転する場合)
- 委任状(代理申請の場合)
- 割賦契約書もしくはリース契約書(割賦購入、リースの車両を登録する場合)
窓口で申請が受理されると、障害者手帳に割引が適用される旨のシールが貼付されます。
なお、ETCを利用する場合は、以下も必要となります。
- ETCカード
- 車載器の「ETC車載器セットアップ証明書・申込書」
手続き完了後に窓口で渡されるETC利用対象者証明書を専用封筒に入れて、利用する有料道路事業者のETC割引登録係に郵送しましょう。
なお、登録できるETCカードは、原則として本人名義のものに限られます。
ただし、対象者が未成年かつ重度障がいがある場合は、保護者や法定後見人名義のETCカードでも認められます。
オンライン申請の場合
ETCを利用する場合は、自家用車の登録も含めてオンラインで手続きできます。
オンライン申請に必要な書類は、以下の通りです。
- 本人のマイナンバーカード
- 身体障害者手帳または療育手帳
- ETC車載器セットアップ申込書、証明書など
- ETCカード
- 車検証
- 運転免許証(本人が運転する場合)
- 住民票など(車検証上の所有者が配偶者や親族の場合)
- 割賦契約書もしくはリース契約書(車検証上の所有者がローン会社の場合)
オンライン申請は、マイナポータルアプリでおこないます。
アプリを持っていない人は、スマートフォンやタブレットにアプリをダウンロードし、利用者登録を済ませてから手続きをしましょう。
画面の案内に沿って入力を進め、申請が完了すると、有料道路ETC割引登録係からシールが郵送されます。
このシールを障害者手帳に貼り付けることで、割引を受けられるようになります。
オンライン申請をする際は、以下の受付サイトから「オンライン申請(ETC限定)」に進み、ページ下部の「同意する」をチェックのうえ、二次元バーコードを読み取って進めましょう。https://www.expressway-discount.jp
障がいのある人が有料道路の割引を受けるときの注意点

障がいのある人が有料道路の割引を受けるときは、以下の3点に注意が必要です。
- 割引を受けられる有効期間が決まっている
- 料金所で障害者手帳の提示が求められる
- 不正利用には罰則がある
それぞれ詳しく紹介します。
割引を受けられる有効期間が決まっている
有料道路の割引には、以下の有効期間があります。
種別 | 有効期間 |
新規申請または変更申請 | 申請してから2回目の誕生日まで |
更新申請 | 申請してから3回目の誕生日まで |
例えば、12月1日が誕生日の人が令和6年10月に新規申請した場合、令和7年12月1日までが有効期間となります。
ETCを登録している場合は、有効期限が近づくと、郵便で通知されます。
有効期間の2か月前から更新申請ができるので、忘れずに手続きをしましょう。
料金所で障害者手帳の提示が求められる場合がある
ETCを事前登録しても、ETCレーンの故障や通行止めで利用できない場合は、一般レーンの料金所で係員に障害者手帳を提示しなければなりません。
また、タクシーやレンタカー、車検時の代車など、事前登録していない車両を利用するときも手帳の提示が必要です。
手帳を提示しなければならない状況で、係員のいないレーンに入ったときは、ETCの料金自動収受機などの呼び出しボタンを押して係員に手帳を見せましょう。
障害者手帳を提示しないまま高速道路を利用すると、割引の適用を受けられないので、常に障害者手帳を携帯しておくことが大切です。
不正利用には罰則がある
割引の不正利用には罰則があるため、申請時の条件を守って有料道路を利用しましょう。
例えば、障がいのある人が運転すると申請したにもかかわらず、実際には家族が運転して割引を受けるのは不正利用となります。
不正が発覚すると、5年間にわたって割引が利用できなくなるだけでなく、割増金を請求されたり、詐欺と見なされて逮捕されたりする可能性があります。
知らないうちに違反をしないためにも、利用要件をしっかりと確認しておきましょう。
障がいのある人が有料道路を利用するときは割引制度を使おう
一定以上の障がいのある人が有料道路を利用するときは、料金が半額となります。
ただし、割引を受けるためには、あらかじめ自治体の窓口やオンラインで申請をする必要があります。
申請内容の通りに利用しなければ、不正と見なされて割増金の請求などを受ける可能性があるので、条件を守って有料道路を利用することが大切です。
割引制度を正しく利用して、病院や施設への移動、旅行などさまざまな外出の機会に活用しましょう。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
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