車椅子のマークが描かれた駐車場を利用してみたいと考えている方は多いのではないでしょうか。
障害者用の駐車場は、パーキング・パーミット制度により、許可が下りた方のみに利用が制限されている場合があります。
そのため、許可証が交付されていない状態で利用すると、不正駐車に該当する可能性があるので注意が必要です。
そこで今回は、パーキング・パーミット制度の概要や利用対象者を紹介します。
申請方法も紹介しているので、障害者用駐車場の利用を検討している方も、ぜひ参考にしてみてください。
パーキング・パーミット制度とは
パーキング・パーミット制度とは、障害者等用駐車区画の対象者に利用許可証を交付して、許可が下りている車両以外の不正駐車を防ぐ制度のことです。
バックミラーに利用許可証をかけたうえで、駐車することで、不正利用でないことを周知できます。
障害者等用駐車区画とは、車椅子マークのついた駐車スペースを指します。
障害のある方や高齢者、妊産婦の方といった歩行が難しい人が利用しやすいように施設の出入口付近に設置されているのが特徴です。
パーキング・パーミット制度は、自治体によって「おもいやり駐車場利用証制度」や「ゆずりあい駐車場利用制度」と呼ばれていることがあります。
制度が導入された背景
パーキング・パーミット制度が導入された背景には、障害者等用駐車区画に障害のない人が駐車することで、本来の対象者が駐車できない問題が発生したことが挙げられます。
そのような問題を解決し、障害者等用駐車区画の適切な利用を促すために、パーキング・パーミット制度が導入されました。
また、外見からわかりにくい障害が原因で歩行が困難な方でも、許可証により障害者等用駐車区画の対象者であることが明確になり、利用しやすくなります。
制度の導入状況
令和2年4月現在、パーキング・パーミット制度は、39都道府県で導入されています。
制度を導入している多くの自治体の間で、相互利用協定が締結されているため、居住地域で発行された利用許可証があれば、他の地域でも障害者等用駐車区画を利用できます。
パーキング・パーミット制度の利用対象者
パーキング・パーミット制度の利用対象者は、以下の通りです。
- 身体障害者
- 要介護者
- 要支援者
- 妊産婦
- 一時的なけが人
パーキング・パーミット制度の対象者は、申請先の自治体によって異なるので、自身が対象者になるのかを事前に確認しておくことが大切です。
たとえば、埼玉県では身体障害者区分が肢体不自由(上肢)の方の障害等級を2級以上と定めていますが、愛媛県は4級以上としています。
自身が対象となるのか気になる方は、自治体の窓口やホームページで確認しておきましょう。
パーキング・パーミット制度の申請方法
パーキング・パーミット制度の主な申請方法は、以下の3つがあります。
- 窓口での申請
- 郵送での申請
- 電子申請
いずれの自治体でも窓口での申請を受け付けていますが、郵送と電子申請ができない自治体があります。
窓口で申請する際は、交付申請書と交付要件が確認できる書類が求められ、代理申請では代理者の身分証明書の提出が必要です。
交付要件が確認できる書類は、以下の通りです。
区分 | 交付要件が確認できる書類 |
身体障害者 | 身体障害者手帳 |
知的障害者 | 療育手帳 |
精神障害者 | 精神障害者保健福祉手帳 |
高齢者 | 介護保険被保険者証 |
難病患者 | 特定疾患医療受給者証、特定医療費(指定難病)受給者証、 小児慢性特定疾病医療受給者証 |
妊産婦 | 母子健康手帳 |
けがをした方 | 医師の診断書 |
交付申請書は、自治体のホームページに掲載されているので、事前にダウンロードしておくと手続きがスムーズに進みます。
手続き内容が自治体によって異なるケースがあるので、居住している自治体の窓口やホームページで申請方法や必要書類を確認しておきましょう。
その他に障害者が利用できる自動車に関する制度
パーキング・パーミット制度の他に、障害者が利用できる自動車に関する制度には、以下のようなものがあります。
パーキング・パーミット制度の他に、障害者が利用できる自動車に関する制度には、以下のようなものがあります。
- 自動車税・軽自動車税の減免
- 有料道路の通行料割引
- 有料駐車場の割引
- 駐車禁止等除外標章(身体障害者等用)
それぞれの制度の内容を詳しく見ていきましょう。
自動車税・軽自動車税の減免
障害のある方は、自動車税・軽自動車税の種別割と環境性能割の減免を受けられる可能性があります。
自動車税・軽自動車税種別割とは、車両所有者に対して毎年課税される税金のことで、環境性能割は燃費性能などに応じて車両取得時に課税される税金のことです。
これらの税金は、自治体ごとに定められている要件を満たせば、減免を受けられます。
自動車税の減免を受けられるかがわからない場合は、自治体の税務課や福祉課の窓口に確認してみましょう。
自動車税・軽自動車税の適用条件や減免額は、こちらの記事で詳しく解説しています。
有料道路の通行料割引
身体障害者の方が自身で運転する場合、もしくは重度の身体障害者の方や重度の知的障害者の方が同乗し、障害者本人以外が運転する場合は、有料道路の割引が受けられます。
割引を受けるためには、障害者手帳を管理している自治体の福祉担当窓口またはオンラインで事前申請しなければなりません。
申請時に必要となる書類は、以下の通りです。
- 申請書
- 障害者手帳
- 自動車検査証
- 住民票
- 割賦契約書またはリース契約書
(割賦契約または長期リースをしている場合) - ETCカード、ETC車載器セットアップ申込書・証明書等
(ETC無線通行を利用する場合) - 運転免許証
(障害のある方本人が運転する場合)
詳しくは国土交通省や有料道路を管轄している高速道路会社のホームページを確認しましょう。
有料駐車場の割引
自治体によっては、一定の要件を満たす障害のある方を対象に、公共駐車場の使用料を減免する制度を設けています。
事前申請が必要なケースと、障害者手帳を提示することで割引が受けられるケースがあるので、居住している自治体のホームページや窓口で確認しておきましょう。
駐車禁止等除外標章(身体障害者等用)
要件を満たす障害のある方は、駐車禁止等除外標章を車の前面の見やすい位置に置いて駐車することで、駐車禁止および時間制限駐車区間の規制から除外されます。
この制度は、身体などの障害により、歩行が困難な方の通院や買い物の際に、移動による身体的な苦痛を軽減する目的で設けられています。
事前申請をしなければ、駐車違反として罰則を受けることになるので、居住地や勤務先を管轄している警察署の交通課に申請をしておきましょう。
障害のある方はパーキング・パーミット制度を活用しよう
障害者等用駐車場は、パーキング・パーミット制度の許可証を取得しなければ基本的に利用できません。
利用対象者や申請方法は、自治体によって異なるので、申請前に自治体窓口やホームページで確認しておけば、手続きがスムーズに進みます。
一定以上の障害がある方は、自動車税・軽自動車税の減免を受けられたり、有料道路や有料駐車場の割引対象となったりするので、利用できる制度がないかを調べておくことが大切です。
制度内容や申請方法がわからない人は、自治体窓口やホームページを確認しておきましょう。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
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