就労定着支援はどんなサービス?対象者やジョブコーチとの違いを解説

福祉制度
記事内にプロモーションが含まれています。

就労定着支援は、障がいのある方が職場に定着するためのサポートを受けられる障害福祉サービスです。

障がいのある本人だけでなく、企業側とも面談を行い、課題を明らかにしたうえで必要なサポートを行います。

2018年に始まったばかりのサービスであるため、具体的な支援内容や自分が対象になるかわからない方もいるでしょう。

そこで本記事では、就労定着支援の対象者や支援内容を解説します。

職場定着を目的としているジョブコーチとの違いも解説しているので、長く仕事を続けたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

2023-9-27-01
スポンサーリンク

就労定着支援とは

2023-9-27-02

就労定着支援は、一般就労した障がい者が長く働き続けられるための支援をする障害福祉サービスです。

ここでは、就労定着支援の対象者や支援内容などを解説します。

対象者

就労定着支援の対象者は、以下の全てに該当する方です。

  • 就労移行支援、就労継続支援、生活介護、自立訓練などの障害福祉サービス利用者
  • 就労から6ヶ月後~3年6ヶ月目までの方
  • 就労に伴う環境変化によって生活面の課題が生じている方

就労定着支援は、就労移行支援などのサービスを利用していることが条件となっているため、ハローワークの紹介で就職した方は対象外となります。

就労から6ヶ月間は、就労移行支援や就労継続支援の担当職員からサポートを受け、その後も支援が必要な場合に、就労定着支援を利用できます。

利用期間は最長3年間となっており、さらに支援が必要な方は障がい者就業・生活支援センターなどの支援機関からサポートを受けられます。

就労定着支援事業所では、就労移行支援も行っている事が多く、同じ事業所から支援を受けられる場合も多いです。

就労移行支援については、以下の記事で詳しく紹介しています。

支援内容

就労定着支援は、本人や企業との面談を通じて生活面の課題を把握したうえで、関係機関と必要な相談や連絡調整を行います。

本人には就労後、生活や職場で困っていることや企業側へ伝えたいことを確認し、仕事内容や業務中の様子などは企業に確認します。

例えば、生活リズムが乱れたり、体調管理ができていなかったりすることによって遅刻や欠勤が増加するなどの問題が起きている可能性もあるでしょう。

これらの課題を解決するために、企業側との情報共有や、医療機関への状況報告などを行います。

就労定着支援では、企業に対して職場環境の改善を助言したり、本人へ指導をしたりするなどのサポートが受けられるので、就労定着につながりやすくなります。

利用方法

就労定着支援を利用する流れは、以下の通りです。

  1. 自治体窓口にサービス等利用計画案を提出し、障害福祉サービスの変更申請をする
  2. 障害福祉サービス受給者証が再発行される
  3. サービス等利用計画書を提出する
  4. 就労定着支援を受ける事業者と契約、利用開始となる

就労定着支援を利用する際は、障害福祉サービス受給者証の変更申請が必要です。

サービス等利用計画案などの必要書類を持参したうえで、自治体で手続きをします。

なお、自治体への申請時には障害者手帳やマイナンバーカードなどが必要な場合があります。

必要書類は自治体によって異なるので、あらかじめ窓口やホームページなどで確認しておくことが大切です。

手続き方法に迷うときは、利用中の事業所や自治体窓口などに相談してみましょう。

利用者負担額

就労定着支援の利用料金は1割負担となっており、負担上限月額は以下の通り決められています。

世帯の収入状況(前年度)          負担上限月額   
生活保護世帯0円
低所得(市民税非課税世帯)0円
一般1
(市民税課税世帯 所得割16万未満)
9,300円
一般2(上記以外)37,200円
参考:障害者の利用者負担(厚生労働省)

負担上限月額は、就労定着支援を受ける前年度の収入状況によって異なります。

就労定着支援を受ける方のなかには、前年に就労していなかったり、納税の金額が一定額以下だったりする場合もあるでしょう。

そういった場合は、1年目に自己負担が発生しないため、費用が発生するのは2年目以降となります。

ジョブコーチとの違い

2023-9-27-03

就労定着支援と似た支援として「職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業」があります。

就労定着支援とジョブコーチの違いは、以下の通りです。

就労定着支援ジョブコーチ
対象者障害福祉サービスを利用して一般就労した方    ジョブコーチによる支援が必要な障がいのある方
利用料金課税世帯の方は負担上限額が決められている無料
利用期間就職後6ヶ月~3年6ヶ月まで
(原則月1回面談)
1~8ヶ月
(週に複数回の企業訪問などがある)
担当窓口就労定着支援事業所・ハローワーク
・地域障害者職業センター など

就労定着支援とジョブコーチの大きな違いは、利用期間と支援の頻度です。

ジョブコーチでは1〜8ヶ月の間、週に複数回、職場訪問をしたうえで本人と企業に対して障がい特性に合った業務内容や助言の仕方などのアドバイスを行います。

就労定着支援もアドバイスを受けられますが、面談場面で生活面や体調面などの確認をすることが多くなるでしょう。

就労定着支援も業務内容へのアドバイスを受けられますが、面談の回数が月1回以上と少ない傾向があるので、ジョブコーチに比べて職場環境に対する助言が受けにくくなってしまうでしょう。

また、就労定着支援では就労状況だけでなく、体調を崩して欠勤していないか、金銭の管理ができているかなどの生活面と体調面のサポートが受けられます。

つまり、ジョブコーチは職場に適応するための短期的な支援、就労定着支援は生活面の課題を解決するための長期的な支援といえます。

就労定着支援のメリット

2023-9-27-04

就労定着支援を利用するメリットは、以下の通りです。

  • 仕事や生活で困ったことを相談できる
  • 定期的に相談の場が設けられる

仕事や生活で困ったことを相談できる

就労定着支援には、仕事や生活で困ったことを相談できるメリットがあります。

就職すると、職場に直接伝えにくい悩みや相談事が出てくることもあります。

また、新たな生活が始まって、生活リズムが乱れたりストレスを抱えたりすることもあるでしょう。

就労定着支援員へ相談すると、職場への代弁や医療機関へ連絡調整などのサポートを受けられます。

小まめに相談することで、疲れやストレスを溜め込まず、長く働ける環境が整いやすくなるでしょう。

定期的に相談の場が設けられる

就労定着支援は、月1回以上の面談機会が設定されているので、困ったことをすぐに相談できます。

なお、仕事に慣れてきて職場定着できている場合は、面談を2~3ヶ月に1回に減らすなどの柔軟な対応も可能です。

就労定着支援は、就労移行支援と同じ事業所であることも多く、顔見知りの支援員に相談できるのも大きなメリットとなるでしょう。

就労定着支援のよくある質問

2023-9-27-05

最後に、就労定着支援のよくある質問に回答していきます。

就労定着支援は途中で辞められる?

支援が必要なくなった場合は、支援期間中でも契約を終了することが可能です。

就労定着支援の契約を終了したいときは、就労定着支援員に支援を終了したい旨を伝えるとよいでしょう。

さらに、転居する場合は、事業所を変更することもできます。

利用する就労定着支援事業所は自治体にも登録されているので、転居の手続きの際に事業所の変更申請も忘れずに行いましょう。

アルバイトやパートでも対象になる?

アルバイトやパートも一般就労とみなされるので、就労定着支援の対象となります。

雇用契約を結ぶ仕事であれば、就労定着支援を受けることが可能です。

途中で転職しても利用できる?

就労定着支援を利用中に転職した場合、1回に限って利用を継続できます。

ただし、退職後1ヶ月以内に新たな職場で働き始めることが条件です。

安心して仕事を続けるために就労定着支援を利用しよう

就労定着支援は、一般就労した障がいのある方がサポートを受けられる障害福祉サービスです。

担当の支援員が本人や企業との面談を通して、悩みや困りごとを確認し、解決に向けたサポートを行います。

定期的に相談できる場が設けられているので、小まめに相談できるのがメリットとなります。

安心して仕事を続けるためにも、就労定着支援を利用して必要なサポートを受けましょう。

監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士

コメント

タイトルとURLをコピーしました