障害年金を受給している方のなかには、国民年金保険料の支払いに負担を感じている方も多いのではないでしょうか。
障害年金1級または2級を受給している方は、国民年金保険料が全額免除となる「法定免除」の対象となります。
しかし、国民年金保険料の免除を受けると、将来受け取る老齢基礎年金の受給額が減ってしまうことをあらかじめ知っておくことが大切です。
本記事では、国民年金保険料の法定免除を受ける際の手続き方法やメリット・デメリットについて詳しく解説します。
法定免除の対象外となる場合の対処法も解説するので、国民年金保険料の支払いに不安がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

障害年金1・2級の方は国民年金保険料が全額免除される

障害年金1級または2級を受給している方は、国民年金保険料が全額免除となる「法定免除」の対象です。
障害年金2級以上の方は障がいによって就労が難しい場合が多く、法定免除を受けることで保険料の納付負担を軽減できます。
法定免除の対象期間は、障害認定日を含む月の前月の保険料からです。
障害年金をさかのぼって請求して、2級以上の認定を受けると、過去分の国民年金保険料も法定免除が適用されます。
たとえば、障害認定日を3年前として請求が認められた場合、法定免除の申請をすれば、すでに納めている3年分の国民年金保険料が還付されます。
国民年金保険料の免除を受けるメリット

国民年金保険料の免除を受けるメリットは、以下の2つです。
- 国民年金保険料の支払いが不要になる
- 免除期間も年金の受給資格期間に含まれる
1つずつ解説します。
国民年金保険料の支払いが不要になる
国民年金保険料の免除を受けると、月額17,510円(令和7年度)の保険料の支払いが不要になります。
障がいが理由で収入が限られている場合、毎月の保険料支払いがなくなることで経済的負担を軽減できます。
家計に余裕ができて、生活費や医療費などに充てられるようになるのも大きなメリットです。
免除期間も年金の受給資格期間に含まれる
将来、老齢基礎年金を受け取るためには、保険料を納めた期間や免除期間などを合計した受給資格期間が10年以上必要です。
保険料を納めずに未納のまま放置していると、受給資格期間が足りなくなってしまいます。
そのようなときに法定免除の手続きをすれば、保険料を納付していなくても免除期間が受給資格期間に算入されます。
保険料の納付が難しい場合でも、法定免除の手続きをしておけば、老齢年金の受給資格を満たすことにつながるでしょう。
国民年金保険料の免除を受けるデメリット

国民年金保険料の法定免除を受ける際はメリットだけでなく、デメリットも知っておく必要があります。
ここでは、国民年金保険料の免除を受ける際のデメリットについて解説します。
老齢基礎年金の受給額が減る
国民年金保険料の法定免除を受けた期間は、受給資格期間としてカウントされますが、年金額を計算する際は2分の1しか反映されません。
たとえば、国民年金保険料の納付期間である20歳から60歳の40年間法定免除を受けた場合、20年間分の保険料を納付したと認定されます。
その場合、将来受け取る老齢基礎年金の受給額は、半額となってしまうので注意しましょう。
老齢基礎年金の受給額を減らさないために法定免除を受けないこともできる

老齢基礎年金の受給額を減らしたくない場合は、法定免除の対象であっても免除を受けずに国民年金保険料を納めることを選択できます。
老後の年金を満額受け取りたい方や、将来的に障がいが軽くなって障害年金が支給停止する可能性に備えたい方は、国民年金保険料の支払いを継続しておくのがおすすめです。
一時的に法定免除を受けたとしても、あとから保険料を納付する「追納」をすることもできます。
免除期間の保険料は、10年以内であればさかのぼって納めることができます。
追納すれば全額納付して扱われるため、将来の老齢基礎年金の受給額を増やすことが可能です。
ただし、追納ができるのは10年間に限られており、期間を過ぎると納付できなくなるので注意しましょう。
法定免除を受ける際の手続き方法

国民年金保険料の免除を受ける際は、自治体の国民年金の担当窓口で手続きを行います。
手続きの際は、以下の書類を持参しましょう。
- 年金手帳や基礎年金番号通知書など基礎年金番号がわかるもの
- 障害年金を受給していることがわかる書類
- 運転免許証などの本人確認書類
一部の自治体では、マイナポータルを利用した電子申請も可能です。
マイナンバーカードを持っている場合は、窓口に行かなくても自宅から手続きができるので活用してみましょう。
法定免除の手続きに申請期限はありませんが、認定されると申請日の前月の保険料から免除が受けられます。
対象となった時点から免除の適用が受けられるよう、早めに申請することをおすすめします。
法定免除の対象とならないときは免除・納付猶予制度を利用できる

障害年金3級の方は法定免除の対象外ですが、保険料の納付が難しいときは「保険料免除・納付猶予制度」を利用できます。
本人・配偶者・世帯主の前年所得が一定額を下回った場合に、国民年金保険料の支払い免除または猶予の手続きが可能です。
免除・納付猶予を受ける際は、前年の所得が以下の基準を満たしている必要があります。
| 区分 | 所得基準(前年の所得) |
| 全額免除 | (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円 |
| 4分の3免除 | 88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
| 半額免除 | 128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
| 4分の1免除 | 168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
| 納付猶予 | (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円 |
納付猶予は、20歳以上50歳未満の方が対象です。
法定免除とは異なり、免除・納付猶予制度は原則として毎年度手続きが必要となります。
未納のままにしておくと、将来老齢年金を受け取れなくなる可能性があるため、保険料の支払いが難しいときは、免除・納付猶予制度を活用しましょう。
国民年金保険料の法定免除についてよくある質問

最後に、国民年金保険料の法定免除についてよくある質問に回答します。
さかのぼって法定免除を受けると納めた保険料はいつ戻ってくる?
さかのぼって法定免除が認められた場合、すでに納めた保険料は国民年金保険料還付請求書を提出することで返金されます。
年金事務所に請求書が受理されてから、通常は約1ヶ月で還付金が振り込まれます。
提出書類に不備があった場合は、還付が遅れる可能性があります。
予定の時期を過ぎても振り込まれないときは、年金事務所に確認してみましょう。
障害年金の等級が変わったら法定免除を受けられなくなる?
法定免除を受けている障害年金1・2級の方が3級に等級変更した場合、継続して免除が適用されます。
しかし、3級に該当しなくなった際、3年間は法定免除が継続されますが、その後は法定免除の対象外となります。
障害年金の等級変更によって法定免除の対象外となった場合は、自治体の窓口に届け出が必要です。
国民年金保険料の支払いが難しいときは法定免除を検討しよう
障害年金1級または2級を受給している方は、国民年金保険料の納付が全額免除される「法定免除」の対象となります。
法定免除を受けると、保険料の負担がなくなったり、免除期間も年金の受給資格期間に含まれたりするメリットがあります。
ただし、将来受け取る老齢基礎年金の額が、保険料を全額納付した場合に比べて減ってしまう点には注意が必要です。
経済状況に余裕がある場合は、あえて免除を受けずに納付を続ける、もしくは保険料を追納することもできます。
法定免除を受けるときは、将来の年金受給額もふまえたうえで、どのようにするべきかを慎重に検討してみましょう。
生活費や医療費の支払いに不安を感じている方は、ファイナンシャルプランナーへの相談をおすすめします。
お困りの方は、お気軽にご相談ください。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士



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