電動車椅子の利用を検討している方のなかには、レンタルの有無や費用について知りたい方も多いのではないでしょうか。
電動車椅子を借りる主な方法には、介護保険の福祉用具貸与や自費レンタルがあります。
電動車椅子を福祉用具貸与でレンタルできれば、費用を抑えることができますが、すべての人が借りられるわけではありません。
電動車椅子を借りるときは、自身が福祉用具貸与の対象者になっているかを確認することが大切です。
そこで本記事では、福祉用具貸与の対象者やレンタル方法、費用について詳しく解説します。
電動車椅子のレンタルを検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

電動車椅子のレンタル方法は2種類ある

電動車椅子は、以下のいずれかの方法でレンタルできます。
- 介護保険の福祉用具貸与
- 福祉用具業者の自費レンタル
どちらを選ぶかによってレンタル費用が大きく変わります。
電動車椅子を借りるときの負担を抑えるためにも、それぞれのレンタル方法の違いを確認しておきましょう。
介護保険の福祉用具貸与

介護保険の福祉用具貸与を利用するためには、一定以上の要介護認定を受けている必要があります。
ここでは、介護保険の福祉用具貸与の対象者やレンタル費用を紹介します。
対象者
介護保険の福祉用具貸与の対象者は、以下の通りです。
年齢 | 対象者 |
65歳以上(第1号被保険者) | 要介護2~5の認定を受けた人 |
40歳~64歳(第2号被保険者) | 16種類の特定疾病によって要介護2~5の認定を受けた人 |
介護保険の福祉用具貸与は、原則として要支援・要介護1の人は利用できません。
しかし、以下のいずれかに該当し、医師によって必要性が認められるときは利用できる場合があります。
- 日常的に歩いて移動するのが難しい
- 自宅などの生活範囲であっても移動時の介助が必要
これらの身体状況であれば、介護度が低い方でも電動車椅子が必要と判断されるケースがあります。
自身が対象となるのかわからないときは、担当ケアマネジャーに相談してみましょう。
レンタル費用
介護保険の福祉用具貸与を利用すると、1〜3割の自己負担で電動車椅子をレンタルできます。
例えば、月3万円の電動車椅子をレンタルするときの月々の自己負担は3,000円となります。
なお、自己負担割合は所得に応じて決定されるので、介護保険負担割合証で確認しておきましょう。
利用方法
福祉用具貸与を利用して電動車椅子を借りる流れは、以下の通りです。
- ケアマネジャーに相談する
- 福祉用具業者とレンタル品を選ぶ
- ケアプランと福祉用具サービス計画書を作成する
- 福祉用具業者と契約し、レンタルを開始する
福祉用具貸与を利用するときは、ケアプランに盛り込まなければならないため、ケアマネジャーへの相談が必要です。
介護保険には支給限度額が設定されており、限度額を超えるサービスは受けられません。
電動車椅子のレンタルによって限度額を超過する場合は、ケアプランを見直す必要があります。
電動車椅子のレンタルを利用する際は、利用中の介護サービスの費用総額と合わせて確認しておきましょう。
福祉用具貸与の手続きの流れは、こちらの記事で詳しく紹介しています。
福祉用具業者の自費レンタル

自費レンタルとは、全額自己負担で福祉用具をレンタルすることをいいます。
介護保険の福祉用具貸与を利用できない場合は、福祉用具業者で自費レンタルを検討してみましょう。
ここでは、自費レンタルの対象者やレンタル費用、利用方法を解説します。
対象者
自費レンタルは介護認定の有無に関わらず、すべての高齢者が対象となります。
要支援・要介護1の方や介護保険の認定を受けていない方は、自費レンタルの利用を検討しましょう。
レンタル費用
自費レンタルで電動車椅子を借りる場合は、全額を自己負担することとなります。
標準的な電動車椅子のレンタル料金は月2〜3万円が目安です。
電動車椅子のレンタル料金は性能や貸出期間によって異なります。
同じ機種であっても、福祉用具業者ごとに料金が変わることもあるので、複数社で比較することをおすすめします。
利用方法
自費レンタルの流れは、以下の通りです。
- 福祉用具業者に相談する
- レンタル品を選ぶ
- 福祉用具業者と契約し、レンタルを開始する
介護保険を利用しない自費レンタルは、利用するまでの期間が短く済みます。
どの福祉用具業者を選べばよいかわからない場合は、担当ケアマネジャーに相談のうえ、信頼できる業者を紹介してもらうのも手段の一つです。
介護認定を受けていない方は、インターネットで「〇〇(お住まいの自治体)+電動車椅子+自費レンタル」と検索し、福祉用具業者を探してみましょう。
電動車椅子は補助金を利用して購入することもできる

電動車椅子を長期間使用する予定の方や、オーダーメイドのものを使用したい方は、補装具費支給制度を活用するのがおすすめです。
補装具費支給制度では、購入費用の9割が支給されるため、自己負担を購入金額の1割に抑えられます。
また、以下に該当する世帯は、1割の自己負担も免除されます。
- 生活保護世帯
- 住民税非課税世帯
ただし、補装具費支給制度の適用を受けるためには、身体障害者手帳を所持していたり、難病の診断を受けていたりする必要があります。
世帯所得によっては、購入費の補助を受けられない場合があるので、購入前に対象者に当てはまるのかを確認しておきましょう。
電動車椅子のよくある質問

最後に電動車椅子のよくある質問に答えていきます。
電動車椅子とシニアカーの違いは?
シニアカーは電動車椅子の一種で、いずれも移動の際に介助を要する人が利用するものです。
シニアカーも福祉用具貸与の対象であるため、1〜3割の自己負担でレンタルできます。
電動車椅子とシニアカーの違いは、以下の通りです。
電動車椅子 | シニアカー | |
用途 | 屋内外問わず使用できる | 主に屋外で使用する |
操作方法 | ジョイスティック、ボタン | ハンドル |
収納のしやすさ | 折りたたみ可能 | 折りたためない場合が多い |
シニアカーはスクーターに似た外観で、車体が比較的大きく安定感があります。
荷物を収納するスペースがあるので、買い物に出かけたり重い荷物を持って移動したりする際に便利です。
一方で、小回りが利きにくいので屋内では基本的に使用できません。
そのため、屋内外ともに車椅子を使用する人は電動車椅子、近所への買い物などで使用する人はシニアカーを選ぶのがおすすめです。
電動車椅子のレンタル費用は医療費控除の対象になる?
電動車椅子のレンタル費用は、医療費控除の対象外です。
レンタル費用を抑えたい方は、介護保険の福祉用具貸与を利用しましょう。
身体の状況に応じて電動車椅子をレンタルしよう
電動車椅子を借りる主な方法には、介護保険の福祉用具貸与や自費レンタルがあります。
福祉用具貸与でレンタルするには、一定以上の要介護認定を受けている必要があります。
電動車椅子の必要性を医師に認められた場合は、介護度を満たしていなくても福祉用具貸与の適用を受けられる場合があります。
電動車椅子をレンタルするときは、ケアマネジャーや福祉用具業者に相談したうえで、費用を抑える方法がないのかを確認してみましょう。
電動車椅子だけでなく、介護費用や老後資金に不安がある方は、ファイナンシャルプランナーへの相談がおすすめです。
お困りの方は、お気軽にご相談ください。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
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