障害に対する配慮が受けられる仕事を見つけても、アピールできるスキルがないことで、なかなか内定をもらえない方は多いのではないでしょうか。
障害のある人が柔軟に働きやすい求人は、応募者が多く、競争率が高い傾向があります。
自分に合った就労先を見つけるためには、関連する資格を取得して自身のスキルをアピールすることが大切です。
そこで今回は、障害のある人におすすめの資格を紹介します。
勉強時間の目安や合格率も紹介しているので、資格を取得して就職・転職活動を有利に進めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
障害のある人の就職・転職を有利に進めるには資格取得がおすすめ
障害のある方にとって働きやすい職場は増えています。
ただし、働きやすい会社は競争率が高くなっているケースがあるので、自分に合った就労先を見つけるためにはスキルや能力をうまくアピールすることが大切です。
そのような状況でスキルがあることの客観的証明になる資格を取得すれば、就職活動や転職活動で有利になる場合があります。
これから就職活動や転職活動を始める人、なかなか自分のスキルをアピールできずに納得いく結果が得られていない人は資格取得を検討してみましょう。
【職種別】障害のある人におすすめの資格4選
事務職やITエンジニア職は、障害のある人に人気の職種となるため、資格を取得してから応募するのがおすすめです。
ここからは、事務職やITエンジニア職を目指している方におすすめの資格を紹介します。
事務職
事務職は体調を相談しながら自分のペースで仕事を進めやすいため、人気の高い職種です。
数多くの応募者から選ばれるには、資格を取得してスキルをアピールすることが大切です。
事務職を目指している方は、MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)や日商簿記検定2級・3級の取得を検討してみましょう。
それぞれの資格の特徴を詳しく紹介します。
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)とは、Excel・Word・PowerPointなどの知識・操作スキルを客観的に証明する資格試験です。
合格すれば実践的なパソコンスキルがあることの証明になり、就職時・転職時に即戦力としてアピールできます。
MOSの受験費用や勉強時間の目安は、以下の通りです。
受験費用(税込) | 10,780円※Word、Excel、PowerPoint、Access(一般レベル)各種 |
勉強時間の目安 | 60~50時間※パソコン初心者が一般レベルを目指す場合 |
合格率 | 約70~80% |
日商簿記検定2級・3級
経理事務を目指している方は、日商簿記検定の取得を検討しましょう。
日商簿記検定とは、日本商工会議所と各地商工会議所が主催する簿記の検定試験です。
3級は基本的な商業簿記の知識が求められ、2級では商業簿記に加えて工業簿記に関する出題があります。
合格率と勉強時間の目安は以下の通りです。
3級 | 2級 | |
受験費用(税込) | 3,300円 | 5,500円 |
勉強時間の目安 | 約100~150時間 | 約250~350時間 (3級レベルの知識がある場合) |
合格率 | 30~40% | 15~30% |
ITエンジニア職
ITエンジニア職への就職・転職活動を有利に進めたい方は、ITパスポート試験や基本情報技術者試験の合格を目指すのがおすすめです。
それぞれの試験の特徴を詳しく見ていきましょう。
ITパスポート試験
ITパスポートは「独立行政法人 情報処理推進機構」が主催する国家資格で、ITに関する基礎知識があることを証明できるものです。
どの業種や職種でもIT関連の知識が求められるので、エンジニア職を目指している方以外にもおすすめできます。
ITパスポート試験の勉強時間の目安や合格率は、以下の通りです。
受験費用(税込) | 7,500円 |
勉強時間の目安 | 約180時間※IT知識のない人が合格を目指す場合 |
合格率 | 50%前後 |
基本情報技術者試験
基本情報技術試験は「独立行政法人 情報処理推進機構」が運営する国家試験です。
ITエンジニアの登竜門といわれており、システムエンジニアやプログラマーなどのITエンジニアが理解しておくべき基礎知識を体系的に学べます。
基本情報技術試験の受験費用や勉強時間の目安は、以下の通りです。
受験費用(税込) | 7,500円 |
勉強時間の目安 | 約200時間※IT知識のない人が合格を目指す場合 |
合格率 | 40~50% |
【業界別】障害のある人におすすめの資格4選
次に医療や福祉、金融、不動産業界への就職・転職を検討している方におすすめの資格を紹介します。
実際に働き始めたときに慣れない単語を聞いて慌てないためにも、資格勉強を通して知識を身に付けましょう。
医療・福祉業界
医療・福祉業界を目指している方は、医療事務検定や社会福祉士を取得するのがおすすめです。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
医療事務検定
医療事務は、病院やクリニックなどの医療機関で働く事務職のことです。
医療事務で働く場合、資格の取得は必須ではありません。
しかし、人気が高い職種なので就職・転職活動を有利に進めるためにも、スキルをアピールできる医療事務検定の取得がおすすめです。
医療事務検定にはいくつか種類があるので、受験費用や合格率などを比較したうえで自分に合ったものを選びましょう。
ここでは、日本医療事務協会が実施する検定の受験費用や合格率を紹介します。
受験費用(税込) | 7,700円 |
勉強時間の目安 | 200~300時間 |
合格率 | 80~90% |
社会福祉士
社会福祉士は、社会福祉専門職の国家資格であり、身体障害や精神障害で生活に困っている人をサポートする役割を担う仕事です。
基本的に福祉系の大学・短大の卒業者以外は、受験資格として1年もしくは2年の相談援助の実務経験と一般養成施設などでの1年以上の通学が必要となります。
なお、福祉系以外の4年制大学の卒業者は、一般養成施設で必要なカリキュラムを1年以上履修することで受験資格を得られます。
一般養成施設は通信制のところもあるので、仕事と両立しながら取得を目指すことも可能です。
なお、弱視等受験者と点字等受験者は試験時間の配慮を受けられるので、必要な方は受験の申し込みの際に申請しておきましょう。
社会福祉士の勉強時間や合格率の目安は、以下の通りです。
受験費用(税込) | 19,370円(一般受験者)※第36回(2024年2月)試験時 |
勉強時間の目安 | 約300時間 |
合格率 | 30%前後(直近2年は44.2%、58.1%) |
金融・不動産業界
金融・不動産業界を目指している方は、FP技能士や宅地建物取引士の取得を検討するのがおすすめです。
FP技能士や宅地建物取引士の勉強時間の目安や合格率を紹介します。
FP技能士
FP技能士は税金や保険、資産運用といった幅広い知識をもつ、お金に関する専門家であることを証明できる資格です。
銀行や保険会社、FP事務所、不動産会社への応募時に評価されやすいといわれています。
国家資格のFP技能士は、1級から3級まであり、1級が最も難易度が高いです。
FP1級の学科試験を受験するには、FP業の実務経験が必要となるため、まずは3級・2級を取得することをおすすめします。
日本FP協会のFP技能士3級と2級の合格率、勉強時間の目安は以下の通りです。
3級 | 2級 | |
受験費用 | 8,000円(非課税) | 11,700円(非課税) |
勉強時間の目安 | 80~150時間 | 150~300時間 |
合格率 | 学科:70~80%実技:80~90% | 学科:40~50%実技:50~60% |
宅地建物取引士
宅地建物取引士(宅建士)は、不動産取引の専門家であることを証明できる国家資格です。
不動産の売買や賃貸借の仲介といった不動産取引を行う場合、従業員5名につき1名以上の宅建士の設置が義務付けられているため、宅建士を保有する人材の需要は高い傾向があります。
宅建士の勉強時間や合格率の目安は、以下の通りです。
受験費用 | 8,200円(非課税) |
勉強時間の目安 | 200~300時間 |
合格率 | 約15~18% |
資格取得を目指すなら公的制度を利用するのがおすすめ
障害のある方が資格取得を目指す際は、ハロートレーニングや教育訓練給付金制度の利用を検討しましょう。
それぞれの制度内容や利用条件を詳しく紹介します。
ハロートレーニング
ハロートレーニングとは、仕事を探している人を対象とした無料の職業訓練制度のことをいいます。
希望する仕事に就くために、必要な資格やスキルの取得を目指せます。
ハロートレーニングには、以下のようにいくつか種類があります。
- 公共職業訓練(離職者訓練)
- 求職者支援訓練
- 障害者訓練 など
それぞれ対象者や訓練期間、訓練内容が異なるので、どの職業訓練に参加するべきなのか悩んだときは最寄りのハローワークに相談しましょう。
教育訓練給付金
教育訓練給付制度とは、雇用保険の加入期間などの条件を満たした人が厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・修了した場合に、その費用の一部が支給される制度です。
対象の教育訓練は約16,000講座もあり、オンラインで受講できるものもあります。
基本的に受講開始日時点で在職中かつ雇用保険に加入している、もしくは離職してから1年以内の人が対象です。
教育訓練給付金の受給要件や申請方法の詳細が気になる人は、ハローワークに問い合わせてみましょう。
障害のある人は資格を取得して就職・転職を有利に進めよう
障害のある人が就職・転職活動を有利に進めるには、資格取得を目指すのがおすすめです。
ただし、資格取得にはある程度の勉強時間を確保する必要があるので、目指している職種や業界にあわせて適切な資格を選ぶことが大切です。
ハロートレーニングや教育訓練給付金といった公共制度を利用したい方は、ハローワークに相談してみましょう。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
コメント