保険金や必要な支援が受けられる高度障害状態が、どのような状態になると該当するのかをご存じでしょうか。
高度障害状態とは、けがや病気などによって身体機能が低下し、日常生活が困難になるほどの障害がある状態を指します。
しかし、高度障害の判定基準は、保険会社や社会保険制度によって異なるので注意が必要です。
そこで今回は、高度障害状態で受けられる保険金と支援を詳しく紹介します。
高度障害状態とは
冒頭のように高度障害状態は、けがや病気などが原因で身体機能が低下し、日常生活が困難になるほどの障害がある状態をいいます。
具体的には、以下のような障害がある場合を高度障害状態と呼びます。
- 両眼の視力を全く永久に失ったもの
- 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
- 中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
- 両上肢(=腕)とも、手関節以上(=手首から先)で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
- 両下肢(=足)とも、足関節以上(=足首から先)で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
- 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
- 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの
なお、保険会社や社会保険制度によっては判定基準が異なるケースがあるので注意しましょう。
高度障害状態で受け取れる保険金と支援
高度障害状態に認定されると、以下の保険金や支援が受けられます。
- 生命保険
- 団体信用保険
- 介護保険
- 障害福祉サービス
- 障害年金
それぞれ詳しく紹介します。
生命保険
生命保険会社から高度障害状態と認定されると、死亡一時金と同等の「高度障害保険金」が給付されます。
一般的に高度障害保険金を受け取ると保険契約が終了し、給付後は支払事由に該当しても保険金が受け取れなくなってしまうので注意が必要です。
なお、高度障害保険金の給付や契約終了のタイミングは、保険会社によって異なるので契約内容を確認しておきましょう。
なかには、高度障害状態に該当しない場合であっても、保険料免除や保険金給付が行われる場合があるので、けがや病気になったときは保険会社に確認してみましょう。
団体信用保険
団体信用保険とは、住宅ローンの返済中に契約者が死亡または所定の高度障害状態になった場合に、残債を保険会社が弁済する保険です。
高度障害状態となった場合に手続きを行わなければ時効となり、保険金が支払われないケースもあります。
そのような状況にならないためにも、申請期間を必ず確認しておきましょう。
団体信用保険のなかには、がんや脳卒中などの特定疾病であると診断を受けた際に保険金が支払われる場合もあります。
住宅ローンを検討する際は、団体信用保険の補償範囲を確認したうえで契約するとよいでしょう。
介護保険
日常生活に支障があると判断され「要介護認定」を受けると、介護保険サービスが利用できます。
介護保険サービスを受けるために必要な被保険者証は、原則として65歳以上でなければ交付されませんが、40歳以上で以下の特定疾病に該当すれば交付申請が行えます。
- がん
(医師が回復の見込みがない状態と判断したものに限る。) - 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
(パーキンソン病関連疾患を含む) - 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
参考:厚生労働省
なお、介護保険の被保険者ではない40歳未満の人は、介護保険サービスが利用できません。
公的支援を受けたい場合は、後述する「障害福祉サービス」を利用しましょう。
障害福祉サービス
障害福祉サービスは、介護支援が受けられる「介護給付」と、訓練等の支援を受ける「訓練等給付」に大別されます。
具体的には、自宅での入浴や食事への介護が受けられる「居宅介護」、就労に必要な知識や能力を向上させる「就労移行支援」などが挙げられます。
障害福祉サービスを受ける際は、自治体から認定が必要となるため、事前に利用申請をしなければなりません。
認定を受けるまでに時間がかかるケースもあるので、可能な限り早く自治体に相談しましょう。
障害年金
けがや病気によって日常生活が制限される状態になった場合には障害年金が給付されます。
障害年金には、国民年金と厚生年金の2種類の制度があり、加入している年金制度から給付金が受け取れます。
なお、障害年金は給付原因となった傷病の初診日から1年6ヶ月経過した日、または症状が固定した(治った)日以降でなければ受給できません。
働けない状況が1年6ヶ月続く場合は、健康保険の傷病手当金を受給するのも手段の一つです。
ただし、国民健康保険に加入している自営業者などは、傷病手当金を受け取れないので注意しましょう。
重度障害状態で保険金を受け取る際の注意点
重度障害状態になった際に保険金を受け取る際には、以下の注意点があります。
保険金が受け取れない状況にならないためにも、必ず確認しておきましょう。
保険会社によって支給要件が異なる
保険金の支給要件は、保険会社によって異なります。
高度障害状態の判定基準が大きく異なるケースはほどんでありませんが、保険金を請求する際に対象外とならないように契約内容を確認しておくことが大切です。
保険金が請求できるのか疑問を感じたときは、保険会社に問い合わせてみましょう。
責任開始日前の発病であるか
責任開始日以前の傷病が原因で重度障害状態になった場合は、原則として保険金が支払われません。
責任開始日とは、保険会社が契約上の責任を開始する日のことをいい、「契約日から〇〇日後」と保険約款などに記載されています。
責任開始日前の傷病であると判断されるポイントには、医師の診察や健康診断による指摘などが挙げられます。
具体的な日数や条件は、保険会社によって異なるので、契約前に必ず確認しておきましょう。
回復の見込みがあるか
重度障害状態になっていても、回復の見込みがある場合は保険金の支払いが受けられないケースがあります。
回復の見込みがあるかは、主治医の意見をもとに判断されます。
保険金が受け取れない状況にならないためにも、保険会社と主治医と相談しながら手続きを進めましょう。
告知義務違反をしていないか
保険加入をする際は、過去に入院や手術、治療を受けたことがあるかといった告知が必要となります。
これらの告知に違反した場合は、保険金が受け取れなくなってしまうので注意が必要です。
なお、保険金を受け取った後に発覚すると、保険金の返還を要求されます。
保険金が受け取れない事態にならないよう、正しい告知を行いましょう。
重度障害状態となったときは保険金と公的支援を受けよう
けがや病気によって日常生活が難しい高度障害状態になったときは、保険金や公的支援を受けることをおすすめします。
ただ、保険会社や社会保険制度によって判定基準が異なるので、どのような状態になると支給対象となるのかを確認しておくことが大切です。
万が一の事態に備えるには、どのような保険への加入が必要なのか、現状の加入状況で問題ないか、といった不安があればファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみるのがおすすめです。
社会保険制度や保険にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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