職業リハビリテーションでは、どのような支援が受けられるのだろうと疑問を感じていませんか。
職業リハビリテーションを利用すると、障がいのある方が自分に合った仕事を見つけたり必要なスキルを身につけたりできます。
障がいの特性に応じて適切な就職先を探すためにも、職業リハビリテーションの支援内容や相談先を知っておくことが大切です。
そこで本記事では、職業リハビリテーションの対象者や支援内容、受けられる期間を解説します。
障がいがありながら就職を目指している方は、ぜひ最後までご覧ください。
職業リハビリテーションとは
職業リハビリテーションとは、障がいによって就職や復職が難しい方を対象に、職業生活の自立に向けた支援を行うことを指します。
ここでは、職業リハビリテーションの対象になる障がいを紹介します。
対象者
職業リハビリテーションの対象となる障がいは、以下の通りです。
- 身体障がい
- 知的障がい
- 精神障がい
- 発達障がい
- 高次脳機能障害
- 難病の診断を受けている方 など
これらの障がいがある方は、原則として障害者手帳を所持していなくても対象になります。
ただし、一般企業で障害者雇用を目指す場合は、障害者手帳の所持が条件となるケースもあります。
就職活動をスムーズに進めるためにも、障害者手帳の必要性をハローワークなどの相談機関に確認しておきましょう。
職業リハビリテーションの支援内容
職業リハビリテーションでは、以下の支援を受けられます。
- 職業相談
- 職業訓練
- 職業紹介
- 就職後の支援
職業相談
職業相談とは、ハローワークなどの機関において能力や障がい特性を確認したり、評価したりすることです。
評価をもとに支援計画を作成し、それに沿ったサポートが受けられます。
また、どのような仕事を選ぶとよいか悩んだときは、障がい特性に合った仕事内容の助言も得られます。
自分に合った仕事探しをするためにも、自身の希望や配慮してほしい部分を伝えておくことが大切です。
職業訓練
職業相談で作成した支援計画に沿って、仕事に必要な知識や技術を身につけるための職業訓練を行います。
障がいの種類によって受講できる講座が異なる場合もありますが、ビジネスマナーやパソコンスキルといった基礎スキルを向上できるのが嬉しいポイントです。
加えて専門的なスキルも身につけられるので、未経験の分野でも自信をもって就職を目指せます。
例えば、ハロートレーニングと呼ばれる公共職業訓練では、事務や介護、IT関係といった仕事に活かせるスキルを習得できます。
自分が働きたい分野の知識やスキルを身につけることで、スムーズに就職活動を進められるでしょう。
なお、再就職や転職を目指す方が一定条件を満たせば、月10万円の生活支援給付を受給できる求職者支援制度の適用対象となる場合があります。
求職者支援制度の概要はこちら(厚生労働省)で確認できます。
職業紹介
職業紹介とは、就職活動の際に本人の希望や障がい特性に合わせて、就職先の紹介を受けることです。
主にハローワークが中心となって、本人の能力や希望に合う職場探しをサポートしてくれます。
求人情報の提供だけでなく、就職面接に支援担当者が同行したり、企業側に必要な配慮の説明をしたりするサービスも受けられるので安心です。
なお、就職前のお試し雇用として、障害者トライアル雇用制度を利用できる場合があります。
正式に採用される前に職場が自分に合っているか判断できるので、仕事内容や人間関係などの不安を軽減できる制度です。
継続的に就労できるか不安だったり自分に合った職場か見極めたかったりする場合は、活用してみましょう。
障害者トライアル雇用制度については、以下の記事で詳しく紹介しています。
就職後の支援
就職後は、職場での困りごとや悩みを聞き、職場にスムーズに適応できるような支援を受けられます。
例えば、ジョブコーチ支援事業では本人と週に数回面談し、コミュニケーションの取り方や効率のよい作業方法などの助言が受けられます。
障がい特性に応じた合理的配慮の提案も行ってくれるので、職場定着を目指す方におすすめの制度です。
さらに、企業側には本人が不安に感じていることを共有したり、障がいの特性に合わせた指導方法を助言したりします。
障がいのある方に最適な職場環境を整えやすくなるので、仕事を続けられるか不安な方は、利用してみましょう。
ジョブコーチの支援内容や利用方法については、以下の記事で詳しく紹介しています。
職業リハビリテーションを受けられる機関
職業リハビリテーションは、以下の機関で受けられます。
- ハローワーク
- 地域障害者職業センター
- 障害者就業・生活支援センター
- 就労移行支援事業所
ハローワーク
ハローワークでは、主に職業相談や職業訓練、職業紹介を行っています。
障がい者専用の窓口が設けられているので、障がいについて専門的な知識がある相談員へ相談することも可能です。
仕事の探し方や履歴書の書き方などを教えてくれたり、希望に応じて採用面接の練習をしてくれたりするなどの支援が受けられます。
ハローワークを利用するためには原則として、最寄りのハローワークで求職者登録が必要です。
住む地域によって利用できるハローワークが決まっているので、どこのハローワークに行けばよいかわからない場合は、こちら(厚生労働省ホームページ)で検索してみましょう。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、各都道府県に最低1ヶ所ずつ設置されている専門的な職業リハビリ施設です。
職業相談や職業訓練を行っているほか、企業への障害者雇用に関する助言など就職後の支援も受けられます。
また、地域障害者職業センターはジョブコーチを利用したい方の相談窓口です。
就職後の職場定着に不安がある方は、地域障害者職業センターを活用してみましょう。
なお、地域障害者職業センターを利用する場合は、あらかじめ相談予約をする必要があります。
近くの地域障害者職業センターは、以下のサイトから確認できます。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは職業相談や職業訓練、就職後の支援を受けられます。
ほかの機関との違いは、就労面だけでなく日常生活全般の支援も行うことです。
例えば、就職後に朝起きられなくて困っていたり内服管理ができなかったりするなど健康管理のサポートも受けられます。
状況によっては、医療機関と連携して就労を継続できるように生活基盤を整える支援も実施します。
就職後に生活が乱れたり、症状悪化の不安があったりする方は活用してみましょう。
最寄りの障害者就業・生活支援センターは、以下のサイトから確認できます。
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001242595.pdf就労移行支援事業所
就労移行支援は個別の支援計画のもと、就職に向けてスキル習得などを行う障害福祉サービスです。
就労に関わるさまざまな支援が受けられ、職業相談や職業訓練、職業紹介、就職後の支援といったすべてのサポートが可能です。
ーつの事業所で一貫した支援を受けたい方は、活用してみましょう。
なお、就労移行支援を利用するためには、あらかじめ利用したい就労移行支援事業所を決めたうえで、自治体の窓口で申請が必要です。
就労移行支援事業所の場所や特徴は、自治体の窓口やハローワークなどで情報を集められるほか、こちらのサイトでも検索できます。
就労移行支援の内容や利用方法については、以下の記事で詳しく紹介しています。
職業リハビリテーションを活用して仕事を探そう
職業リハビリテーションでは、障がいによって就職が難しい方を対象に仕事探しのサポートや職業訓練などを行います。
職業リハビリテーションには、自分に合った仕事を見つけたり就労に必要なスキルを身につけられたりするメリットがあります。
どのような仕事をしたらよいかわからない方や新たなスキルを身につけたい方は、職業リハビリテーションを活用してみましょう。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
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