特別障害給付金とは?対象者や受給する流れを解説

福祉制度
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特別障害給付金は、年金保険に加入していないタイミングに障がいを負ったことで障害年金を受給できない人を対象とした給付金です。

特別障害給付金の対象となれば、障がいの程度に応じた給付金を毎月受給できるため、経済的な不安の軽減につながります。

ただし、所得が一定額以上あると受給できなかったり、65歳の誕生日の前々日を過ぎると申請できなかったりすることに注意が必要です。

本記事では、特別障害給付金の対象者や受給する流れ、メリット・デメリットを解説します。

障害年金が受給できず、自身が特別障害給付金の対象となるのか知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

2025-7-9-01
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特別障害給付金とは

2025-7-9-02

特別障害給付金は、ケガや病気の初診日に国民年金に任意加入していなかったことで障害基礎年金を受給できない人に支給される給付金です。

障がい者の最低限度の生活を保障するセーフティネットとして機能しており、対象者には障がいの程度に応じた給付金が支給されます。

ここでは、特別障害給付金の対象者と支給額を解説します。

対象者

特別障害給付金の対象者は、65歳の誕生日の前々日までに障害基礎年金1・2級程度の障がいがあることに加えて、以下のいずれかの要件に該当する人です。

  • 平成3年3月以前に初診日があり、国民年金の任意加入対象だった学生
  • 昭和61年3月以前に初診日があり、厚生年金などの被保険者の配偶者だった人

初診日とは、障がいの原因となったケガや病気で、初めて医師の診断を受けた日のことです。

障害基礎年金1級程度とは日常生活のほぼすべてに介助を要する状態のことをいい、2級程度は活動範囲が家屋内かつ日常生活の一部に介助を要して就労が難しいことが多い状態を指します。

現在は20歳になると国民年金への加入が義務付けられていますが、過去には学生や専業主婦(夫)は任意加入となっていた時期がありました。

そのため、当時加入していなかった方が障がいを負った場合でも、一定の条件を満たせば給付金を受給できる仕組みとなっています。 

支給額

特別障害給付金の支給額は、障がいの程度によって以下のように定められています。

障害基礎年金1級相当に該当する人月額56,850円
障害基礎年金2級相当に該当する人月額45,480円
※令和7年7月現在

特別障害給付金は、年6回偶数月に支給されます。

支給額は物価の変動に応じて毎年度見直しされるため、直近の受給額は日本年金機構のホームページで確認することをおすすめします。

特別障害給付金を受給する流れ

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特別障害給付金を受給する際は、自治体窓口への申請が必要です。

以下の書類を持参して、手続きを行いましょう。

必要書類取得場所など
特別障害給付金請求書自治体の窓口に所定様式あり
病歴・就労状況等申立書
特別障害給付金所得状況届
受診状況等証明書自治体の窓口で所定様式を取得後、医療機関に作成を依頼する
診断書
基礎年金番号がわかる書類(基礎年金番号通知書や年金手帳など)
公的年金などの受給額がわかる書類(年金額改定通知書など)

障がいの原因となった傷病が複数ある場合は、それぞれの傷病について診断書の提出が必要です。

また、傷病の種類によってはレントゲンフィルムや心電図の写しの添付を求められることがあるため、該当資料の準備ができるかどうか医療機関に確認しておきましょう。

特別障害給付金を受給するメリット

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特別障害給付金を受給することで、以下の2つのメリットがあります。

  • 初診日に年金加入していなくても支給を受けられる
  • 国民年金保険料の支払いが免除される

1つずつ詳しく紹介していきます。

初診日に年金加入していなくても支給を受けられる

特別障害給付金の最大のメリットは、障害年金を受給できない人でも経済的支援を受けられることです。

学生や専業主婦だった時期に年金未加入であっても、障がいの程度に応じて月額45,480円もしくは月額56,850円の給付金を受給できます。

障害年金の受給要件を満たさない人でも一定額の支給が受けられるため、特に働くことが困難な状況にある人にとっては、経済的な助けとなる制度です。

国民年金保険料の支払いが免除される 

特別障害給付金の受給者は国民年金保険料が法定免除となることも、大きなメリットです。

また、支払いの免除だけでなく、免除期間中は被保険者期間として算定されるため、年金受給に必要な期間として認められます。

令和7年度の国民年金保険料は月額17,510円であるため、年間では約21万円の支出を抑えることができます。

ただし、保険料免除を受けるためには、自治体窓口での申請が必要です。

毎年更新しなければならないので、忘れずに手続きしましょう。

特別障害給付金を受給する際の注意点 

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特別障害給付金を受給する際は、以下の2点に注意が必要です。

  • 所得によっては支給されない場合がある
  • 65歳の誕生日の前々日を過ぎると申請できない

それぞれ詳しく紹介します。

所得によっては支給されない場合がある

特別障害給付金は所得制限があるため、前年の所得が一定額以上の場合は支給されません。

支給制限の対象となる所得額は、以下のとおりです。

本人の前年の所得額支給制限の内容
4,721,001円~全額支給停止
3,704,000円~4,721,000円2分の1支給停止
※令和7年7月現在

所得額とは、単純な収入額ではなく、収入から障害者控除や配偶者控除などの各種控除を差し引いた後の金額です。

そのため、実際の収入がこれらの金額を上回っていたとしても、所得額が基準を下回れば給付金を受給できる可能性があります。

自身の所得額を知りたいときは、源泉徴収票や自治体の窓口で発行される所得証明書を確認しましょう。

65歳の誕生日の前々日を過ぎると申請できない

特別障害給付金は、65歳の誕生日の前々日を過ぎると申請できません。

そのため、65歳以降に初めて障がいを負った場合は対象外となります。

特別障害給付金の申請時は、必要書類の準備に時間がかかることが多いため、自身が対象となる可能性がある場合は早めの準備が大切です。

特別障害給付金のよくある質問

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最後に、特別障害給付金のよくある質問に答えていきます。

特別障害給付金と老齢年金は併給できる? 

特別障害給付金と老齢年金は併給可能ですが、両方を満額受給できるわけではなく、支給額が調整されます。

例えば、障害基礎年金1級相当の障がいのある人が老齢基礎年金で月額40,000円を受給していた場合、以下の差額分が支給されます。

特別障害給付金56,850円(障害基礎年金1級相当)ー老齢基礎年金40,000円=月16,850円

なお、老齢基礎年金の受給額の方が多い場合は、特別障害給付金は支給対象外となります。

特別障害給付金はさかのぼって支給される?

特別障害給付金は、さかのぼって支給されることはありません。

支給開始は請求月の翌月からとなるため、申請が遅れるほど受給期間が短くなってしまいます。

特別障害給付金の対象となる可能性がある方は、できる限り速やかに申請することをおすすめします。

年金未加入で障害年金を受給できない場合は特別障害給付金の手続きをしよう

特別障害給付金は、年金未加入であったことが理由で障害年金を受給できない人が受給できる給付金です。

特別障害給付金を受給できると、毎月一定額の収入を得られるだけでなく、国民年金保険料の免除も受けられるので、経済的負担を軽減できます。

ただし、前年の所得が一定額以上の場合は支給が制限されたり、65歳の誕生日の前々日を過ぎると申請できなくなったりすることに注意が必要です。

自身が対象となるのかわからない場合や、申請時の必要書類について詳しく知りたい場合は、お住まいの自治体の窓口で確認してみましょう。

なお、障がいがあって働けないなど経済面での不安がある方は、ファイナンシャルプランナーへ相談するのがおすすめです。

お困りの方は、お気軽にご相談ください。

監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士

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