障害のある子の生活を守るための財産をどのように遺せばいいか、悩んでいませんか。
親亡き後には、金銭面や生活面、相続面など多くのトラブルに直面する可能性があります。
これらのトラブルに障害のある子が悩まされないためには、トラブルへの理解と適切な対策をしておくことが大切です。
本記事では、障害のある子が親亡き後に直面する問題と、トラブルに備える方法を詳しく紹介します。
障害のある子の将来に不安をもっている方は、ぜひ参考にしてください。
親亡き後に直面する問題
障害のある子が親亡き後に直面するトラブルには、主に以下の3つが挙げられます。
- 金銭面
- 生活面
- 相続面
金銭面のトラブル
障害のある子が金銭管理できない場合には、詐欺や公共料金の支払い遅延などの金銭トラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。
なかでも、詐欺によって資産を失ってしまうと、今後の生活が成り立たなくなってしまいます。
また、水道や電気などの支払いが遅れると、給水と送電が停止されるので、家族や信頼できる人に支払いを任せておくことも視野に入れるべきです。
これらの金銭トラブルに巻き込まれないためにも、適切な対策を講じることが必要となるのです。
生活面のトラブル
知的障害や身体障害に関わらず、自立して生活ができない状態であれば一人暮らしをすることが難しくなります。
また、法律で宅建(不動産)業者が障害を理由に一人暮らしを判断し、仲介をしないことを禁止していますが、現実は賃貸契約を行うことが難しいことも考えられます。
また、一人暮らしをするためのバリアフリー住居を探すことはもちろん、条件にあった住居であっても家賃を負担し続けられない状況もあるでしょう。
障害のある子が生活面のトラブルに直面しないためにも、家族や周囲の人に協力を求められる体制を整えておくことが重要です。
相続面のトラブル
障害のある子に兄弟がいる場合には、相続トラブルに発展することが考えられます。
トラブルに発展しなくても、適切な割合で遺産が配分されずに生活が苦しくなってしまうこともあるでしょう。
また、現金預金のほかに不動産や証券などの資産があると、適切に配分したくても「どの資産を誰に渡せばよいか」がわからなくなってしまいます。
そういった状況を避けるためにも、遺言書や生前贈与などの対策を生前にしておくことが大切です。
親亡き後に備える方法
ここまで障害のある子が直面する問題について紹介しました。ここからは、障害のある子が親亡き後に困らないためにするべき対策を紹介します。
遺言書を作成しておく
親亡き後には「どの遺産を、誰に、どれだけ配分するのか」といった相続問題に直面します。
遺言書を活用して親が希望する遺産配分を示しておけば、家族が揉める確率を少しでも下げられるでしょう。
ただ、障害のある子を優遇したり、特定の人に多くの資産を遺したりすると、不満をもつ家族同士が衝突する原因となってしまいます。
遺言書を作成しておくことも必要ですが、相続をきっかけに障害のある子が孤立してしまわないように、まずは家族との対話を欠かさないことが大切です。
また、税理士や弁護士などに相談のうえ、生前贈与や特定遺贈などを検討しておくのもよいでしょう。
成年後見制度を活用する
成年後見制度とは、障害などによって金銭管理や日常生活が困難な方を保護する制度です。
成年後見制度には、家庭裁判所が後見人を選任する「法定後見制度」と、本人が後見人を選ぶ「任意後見制度」があり、選任された成年後見人は、障害のある子の預金管理や相続手続き、介護施設との契約などの支援をしてくれます。
いずれの制度も家庭裁判所への申立てが必要となるので、可能な限り早めに手続きをしておくことが大切です。
また、成年後見人は障害のある子が結んだ契約を取り消せるので、詐欺の被害を最小限に抑える効果も見込めるでしょう。
障害者扶養共済制度を活用する
障害者扶養共済制度とは、障害のある子の保護者が死亡または重度障害になった場合に、子が亡くなるまで一定額の年金を支給する制度です。
障害者扶養共済制度では、保護者の年齢に応じて決定された掛け金を、加入日から20年を経過し、保護者が4月1日時点で満65歳になる年度の加入日まで払い続けます。
なお、保護者に万が一のことがあった場合は「月額2万円/口数」が障害のある子が亡くなるまで支給されます。
支給される年金は、所得税や住民税、贈与税の非課税対象となり、生活保護の収入認定からも除外されます。そのため、障害のある子が受け取れる金額が減ってしまう心配も少なくなるでしょう。
障害者扶養共済制度の加入要件やメリット・デメリットは、こちらの記事で詳しく紹介しています。
障害のある子のためにも生前から備えておこう
障害のある子は、親亡き後にさまざまなトラブルに直面する可能性があります。
これらのトラブルを未然に防ぎ、障害のある子の生活を守るためには、遺言書や成年後見制度などを活用して、生前から備えておくことが大切です。
ただ、取るべき対策は状況によって異なります。適切な対策を取るためにも、弁護士や税理士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談して、アドバイスを受けておきましょう。
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