一定以上の障がいがある方が自動車を改造すると、自治体から助成を受けられることをご存じでしょうか。
自動車改造費の助成制度では、車両を改造したときの費用が障がい特性に応じて助成されます。
ただし、自動車改造前に申請しなければ助成を受けられない自治体が多いので注意が必要です。
本記事では、自動車改造費の助成を受けられる対象者や申請の流れを解説します。
障がいのある方が利用できる減免制度も解説するので、自動車を改造して運転を続けたいと考えている方はぜひ最後までご覧ください。

一定以上の障がいがあると自動車改造費の助成を受けられる

一定以上の障がいがある人が、通勤や通学のために自動車を改造すると、自治体から助成を受けられます。
ここでは、自動車改造費の助成を受けられる対象者や助成額を解説します。
対象者
自動車改造費の助成を受けられる対象者は、自治体によって異なります。
多くの自治体では、以下の要件を満たす方を対象としています。
- 通勤や通学など社会参加のために自動車が必要な方
- 上肢、下肢または体幹機能に障がいがある方
- 身体障害者手帳1級または2級の方
知的障がいや精神障がいのある方については、自治体ごとに対応が異なります。
さらに、自治体によっては所得制限を設けていたり、身体障害者手帳3級の方も対象としていたりする場合があります。
お住まいの自治体の窓口やホームページで、自動車改造費の助成制度の対象者を確認しておきましょう。
助成額
多くの自治体では、10万円〜20万円を上限として助成を受けられます。
実際の補助額は、改造費用に応じて異なります。
そのため、どれほどの助成が受けられるのかを自動車改造をする前に確認しておくことが大切です。
障がい者が自動車改造費の助成を受ける流れ

障がい者が自動車改造費の助成を受ける流れは、以下のとおりです。
- 自治体の窓口で自動車改造費助成の申請をする
- 助成決定通知が自宅に届く
- 自動車の改造工事を行う
- 改造後、費用の明細書や改造実施報告書などを自治体に提出する
- 助成費用が口座に振り込まれる
自動車改造費の助成を受ける際は、事前申請を必要としている自治体が多いです。
なかには、改造後の手続きで助成を受けられる自治体もありますが、ほとんどの自治体が事前申請を必須としています。
助成対象外にならないためにも、改造前に手続きを進めるようにしましょう。
申請から決定通知までに期間を要する自治体もあるため、改造を計画している方は余裕をもったスケジュールを立てることが大切です。
なお、申請時の必要書類は、以下のとおりです。
- 身体障害者手帳
- 運転免許証
- 自動車改造費の見積書
- 車検証
これらの書類に加えて、申請どおりに改造工事が行われたかを確かめるため、工事終了後に改造部分の写真提出を求める自治体もあります。
助成対象外とならないためにも、自治体に指定された書類を忘れずに提出しましょう。
介助者が自動車を改造しても助成を受けられる場合がある

自動車改造費の助成制度は、障がい者本人だけではなく、介助者が運転する車両改造にも、適用される場合があります。
具体的には、車椅子昇降装置の取り付けや、身体状況に合わせた回転シートの設置、スロープやリフトの設置などが対象となるケースがあるでしょう。
車椅子用リフトなど高額な改造工事については、通常の助成上限額を超える助成枠を設けている自治体もあります。
なお、介助者が自動車を改造する場合も、改造工事前に申請する必要があります。
工事完了後に申請をしても、助成を受けられない可能性があるので、工事前に申請するようにしましょう。
ただし、すべての自治体で介助者運転による改造が助成対象となっているわけではありません。
助成範囲は自治体によって異なるため、お住まいの自治体の窓口やホームページで具体的な条件を確認しておくことが大切です。
障がい者が自動車を運転するときに利用できる減免・助成制度

障がいのある方が自動車を運転するときは、以下の減免・助成制度の対象となる場合があります。
- 自動車税・軽自動車税種別割、環境性能割の免税
- ガソリン代の助成
- 車両購入費用の貸付
1つずつ詳しく紹介します。
自動車税・軽自動車税種別割、環境性能割の免税
自動車税・軽自動車税種別割とは、一般的に自動車税と呼ばれるもので、自動車を保有している方が納める税金のことです。
環境性能割は、自動車を購入した時に課税される税金です。
障害者手帳を取得している一定要件を満たした方が申請すると、自動車税・軽自動車税種別割や環境性能割の減免が受けられます。
税金の減免を受けられる障害の程度は、自治体によって異なります。
自身が対象になるのかは、自治体の窓口やホームページで確認しておきましょう。
自動車税の減免制度については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
ガソリン代の助成
障害者手帳を持っている方は、自治体からガソリン代の一部が助成される場合があります。
自治体によっては、障がい者への交通費助成の一環としてタクシーやバスなどほかの交通機関を助成対象としていることもあります。
ガソリン代の助成は、過去にさかのぼって助成を受けられない場合が多いので、事前申請をするようにしましょう。
助成費用や手続き方法は自治体によって異なるので、自治体の窓口やホームページで確認することが大切です。
車両購入費用の貸付
生活福祉資金貸付制度を利用すると、250万円を上限に福祉車両の購入費用を借りられます。
生活福祉資金貸付制度は連帯保証人がいれば無金利、連帯保証人がいない場合であっても低金利で借りられる制度です。
まとまった資金を準備するのが難しい方は、生活福祉資金貸付制度を活用してみましょう。
貸付費用や手続き方法は自治体によって異なるので、最寄りの社会福祉協議会に相談してみるのがおすすめです。
障がい者が運転するときに受けられる優遇措置
障がい者が運転するときは、以下の優遇措置を受けられる場合があります。
優遇制度 | 申請先 |
有料道路の通行料金割引 | 自治体の窓口もしくはオンライン |
カーフェリー旅客運賃の割引 | 各カーフェリー会社 |
駐車禁止規制の適用除外 | 最寄りの警察署 |
JAFの入会金免除 | JAF |
有料駐車場の割引 | 各駐車場 |
これらの優遇制度を利用することで、外出時の経済的負担を軽減できます。
自動車の改造後は、これらの優遇制度も活用して外出しましょう。
障がいのある方が自動車を改造するときは助成制度を利用しよう
一定以上の障がいがある方は、自治体から自動車改造費の助成を受けられる可能性があります。
ただし、事前申請が必要になったり、自治体によって対象者が異なったりする場合があるので注意が必要です。
自身が対象となるかを確認したいときは、お住まいの自治体の窓口やホームページで確認してみましょう。
自動車の改造費用に加えて生活費を捻出することに不安を感じている方は、ファイナンシャルプランナーに相談するのがおすすめです。
お悩みの方は、お気軽にご相談ください。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
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