自立訓練(生活訓練)のサービス内容|機能訓練や就労移行支援との違いを解説

2023-10-20 福祉制度
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障害があることを理由に、自身の力で日常生活を送れるのか不安に感じている方は、自立訓練(生活訓練)の利用を検討してみましょう。

自立訓練(生活訓練)は、障害のある方が利用できる障害福祉サービスの一つであり、食事や健康管理などの生活力を高める支援が受けられます。

今回は自立訓練(生活訓練)のサービス内容や機能訓練、就労移行支援との違いを紹介します。

利用方法の流れも紹介しているので、利用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

2023-3-24
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自立訓練(生活訓練)とは

2023-3-24

障害福祉サービスの一つである自立訓練は、障害のある方が自身の力で日常生活を送れるように、生活能力や身体機能の向上につながる訓練を提供するものです。

自立訓練には、生活能力の維持や向上を目指す「生活訓練」と、身体機能のリハビリテーションを行う「機能訓練」の2種類があります。

本記事では生活訓練について解説します。

まずは、生活訓練の対象者やサービス内容を見ていきましょう。

対象者

自立訓練(生活訓練)は、日常生活や社会生活を送るうえで、一定期間の訓練が必要となる障害のある方が対象となります。

具体的には、以下のような方が自分の力で生活していくために受けます。

  • 施設や病院から退所・退院した方
  • 特別支援学校を卒業した方
  • 継続的な通院により症状が安定している方

自立訓練(生活訓練)の対象年齢は、原則18歳以上65歳未満ですが、自治体から認められれば18歳未満や65歳以上の方でも利用できます。

また、サービスを利用する際に必須となる「障害福祉サービス受給者証」の交付を受けることで、障害者手帳を持っていない方も対象となる場合があります。

自身が対象となるかは、自治体の窓口に問い合わせてみましょう。

サービス内容

基本的に自立訓練(生活訓練)は、障害者支援施設や障害福祉サービスの事業所に通所することで以下のようなサポートを受けられます。

  • 食事や健康管理などの生活力を高める訓練
  • コミュニケーション能力を高める訓練
  • 交通機関の利用などの外出訓練 など

通所することが難しい方に向けて、自宅にスタッフが訪問し、訓練や支援をしてくれる施設や事業所もあります。

なお、サービス内容は施設や事業所によって異なるので、事前にホームページで確認しておきましょう。

利用期間と利用料金

自立訓練(生活訓練)が利用できる期間は、最大24ヶ月が原則とされていますが、長期間施設に入所していたなどの理由があれば、36ヶ月まで利用できる場合もあります。

なお、自立訓練(生活訓練)の利用料金は、利用する施設や事業所によって異なります。

ただし、1ヶ月ごとの自己負担額の上限が以下のように設定されているため、上限額以上の費用は発生しません。

区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得住民税が非課税の世帯0円
一般1住民税の所得割が16万円未満世帯※
(収入が概ね670万円以下の世帯)
9,300円
一般2上記以外37,200円
※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市民村民税課税世帯の場合「一般2」となります。

表のように、生活保護を受給している世帯や住民税が非課税である世帯は、利用料金が一切かかりません。

住民税が課税されているかは、所得課税証明書や市民税・県民税の通知書から確認できます。

機能訓練と就労移行支援との違い

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先述した通り、自立訓練には生活訓練と機能訓練の2種類があります。

生活訓練と機能訓練は、障害のある方が自身の力で日常生活を送れるよう支援する点は同じですが、支援内容や利用期間が異なります。

また、生活訓練と混同されやすい「就労移行支援」は、就労に向けたスキルアップや仕事探し、就職活動のサポートが受けられる福祉サービスです。

生活訓練と機能訓練、就労移行支援の違いは以下の通りです。

生活訓練機能訓練就労移行支援
対象者生活能力の維持や向上を
目指した訓練が必要な方
身体機能の維持や回復を
目指した訓練が必要な方
一般企業への就職を希望
する方
支援内容入浴や食事などを自身の
力でできるようになるた
めの訓練
入浴や食事、健康管理な
どの生活に関する相談や
助言
歩行訓練や筋力訓練など
身体機能のリハビリテー
ション
入浴や食事、健康管理な
どの生活に関する相談や
助言
就職に向けてビジネスマ
ナーやパソコンスキルな
どを身に付ける訓練
求人の紹介や履歴書の添
削、面接指導
年齢制限原則18歳以上65歳未満原則18歳以上65歳未満原則18歳以上65歳未満
利用期間原則24ヶ月原則18ヶ月原則24ヶ月

機能訓練は身体機能のリハビリテーションが中心となるため、主に身体障害や高次脳機能障害のある方が利用する傾向があります。

就労移行支援については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

自主訓練(生活訓練)の利用方法

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自立訓練(生活訓練)を利用する方法と流れは以下の通りです。

  1. 利用する事業所を選ぶ
  2. 障害福祉サービス受給者証の申請をする
  3. 利用計画を作成する
  4. 障害福祉サービス受給者証を受け取る
  5. 事業所と契約を交わし利用を開始する

それぞれ詳しく紹介します。

利用する事業所を選ぶ

まずは、事業所のホームページやパンフレットを見て、サービス内容などを比較し、自分に合う施設を見つけましょう。

自治体の障害福祉課などで、近くの事業所を教えてもらうことも可能です。

利用したい事業所の候補がいくつか決まったら、説明会や見学の申し込みをします。

事業所の雰囲気を見たり、訓練を体験したりすることで自分に合う施設かが判断しやすくなるでしょう。

障害福祉サービス受給者証の申請をする

次に、自治体の窓口で自立訓練(生活訓練)を利用したい旨を伝え、障害福祉サービス受給者証の交付申請をします。

心身の状態を総合的に判断するために、聞き取りや訪問調査が実施される場合があります。

また、障害者手帳や病院の診断書など、障害の有無がわかる書類の提出が求められることもあるので、事前に受給者証の申請に必要なものを確認しておきましょう。

利用計画を作成する

受給者証の申請には、自立訓練(生活訓練)をどのように進めていくかを記載する「利用計画書」の提出も求められます。

利用計画は自分自身で作成する場合と、指定特定相談支援事業者が作成してくれる場合があります。

指定特定相談支援事業者とは、自治体に指定された事業所のことです。

どの事業所が該当するかは自治体の窓口で確認しましょう。

障害福祉サービス受給者証を受け取る

自治体は調査内容や病院の診断書、利用計画書などを参考に、障害福祉サービスが必要であるかを審査します。

支給が決定したら自治体から連絡があり、その後受給者証を受け取れます。

受給者証には、サービスの利用に関する大切な情報が記載されているので、なくさないように保管しましょう。

事業所と契約を交わし利用を開始する

受給者証を受け取ったら、事業所と契約を交わし、自立訓練(生活訓練)の利用開始となります。

利用計画をもとに、課題解決に向けて訓練やサポートを受けましょう。

日常生活に不安を感じたら自立訓練(生活訓練)を利用しよう

自立訓練(生活訓練)は、障害のある方が自身の力で日常生活や社会生活を送れるように、生活能力の向上につながる訓練を提供する福祉サービスです。

障害者支援施設や障害福祉サービス事業所に通所することで、食事や健康管理などの生活力やコミュニケーション能力を高める訓練を受けられます。

サービスの利用には、障害福祉サービス受給者証の交付を受けなければいけません。

受給者証の申請方法やサービスの利用方法に不安がある場合は、自治体の窓口に相談してみましょう。

監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士

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