障害のある方がサポートを受けながら共同で生活する障害者向けグループホーム。
利用する施設を探しているなかで、どのくらいの費用がかかるのか気になる方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、障害者向けグループホームの費用相場や内訳を紹介します。
入所までの流れも紹介するので、これからグループホームを利用する予定がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
障害者向けグループホームの費用相場
日本知的障害者福祉協会の調査によると、グループホームの利用者の約半数が4万~6万円を支払っています。
ただし、施設や自治体によっては、7万円以上の費用がかかる可能性があります。
ホームページに毎月どのくらいの費用がかかるかを記載しているグループホームもあるので、事前に確認しておくのがおすすめです。
障害者向けグループホームの費用の内訳
障害者向けグループホームの費用の内訳は、以下の通りです。
- 障害者福祉サービスの利用者負担
- 家賃
- 食費
- 水道光熱費
- 日用品費
それぞれ詳しく紹介します。
障害福祉サービスの利用者負担
障害者向けグループホームでは、以下のように世帯所得に応じて負担上限月額が設定されています。
区分 | 負担上限月額 |
生活保護受給世帯 | 0円 |
市町村民税非課税世帯 | |
市町村民税課税世帯 | 37,200円 |
その他の障害福祉サービスを含め、1ヶ月間に利用したサービス量にかかわらず、上限以上の負担は発生しません。
所得を判断する際の世帯の範囲は、障害のある方の年齢によって以下のように異なります。
種別 | 世帯の範囲 |
18歳以上の障害者 ※施設に入所する18、19歳を除く | 障害のある方とその配偶者 |
障害児 ※施設に入所する18、19歳を含む | 保護者の属する住民基本台帳での世帯 |
家賃
グループホームの家賃は、地域や建物の構造によって異なりますが、補助金額を除くと月3万~5万円ほどが相場です。
生活保護受給世帯や市町村民税非課税世帯に該当し、家賃が1万円以上の場合は、国から1万円の家賃補助が受けられます。
国からの助成金に加えて、自治体による家賃補助が受けられる場合もあるので、窓口やホームページで確認しておきましょう。
たとえば、浦安市では2万円を上限に、国からの助成金を除く家賃の2分の1が助成されます。
3万円の家賃のグループホームであれば、浦安市から(3万円-1万円)÷2=1万円の助成金を受け取れるため、利用者の負担分は1万円となります。
食費
利用者に食事が提供されるグループホームでは、食費の支払いが必要となります。
食費の金額は施設によって異なり、一食300円のように決まっている場合や、金額が毎食異なる場合があります。
食費の相場は、おおよそ月2~3万円です。
水道光熱費
電気やガス、水道代、通信費は、一般的に入居者の人数で分割して支払うことになり、月1万円前後が相場です。
なお、食費や水道光熱費の自己負担額は、月額54,000円を上限とするように国が定めています。
生活保護受給世帯や市町村民税非課税世帯に該当する場合は、負担軽減を受けられる可能性があるため、手続きをする際に確認してみましょう。
日用品費
トイレットペーパーや手洗い用せっけんなどの日用品の購入費も負担が必要となります。
日用品費は、月に5,000円前後が相場です。
障害者向けグループホームに入所するまでの流れ
障害者向けのグループホームに入所するまでの流れは、以下の通りです。
- 自治体に相談する
- 障害支援区分の認定を受ける
- 利用計画を作成する
- 障害福祉サービス受給者証を受け取る
- グループホームを見学する
- グループホームと入居契約する
一つずつ詳しく紹介します。
自治体に相談する
まずは、自治体の障害福祉課や相談支援事業者にグループホームを利用したい旨を伝えましょう。
窓口でグループホーム入所までの流れや必要書類を事前に確認しておくことで、手続きがスムーズに進みます。
また、グループホームの見学や体験利用の問い合わせは、自治体の窓口で行わなければならない場合もあるのであわせて確認しましょう。
障害支援区分の認定を受ける
グループホームを利用するためには、障害支援区分の認定を受けなければなりません。
障害支援区分は、障害のある方の心身状態により、区分1から6までの6段階に分けられていて、数字が大きくなるほど介護の必要性が高くなります。
障害支援区分の認定を受ける際は、心身の状態を総合的に判断するために、聞き取りや訪問調査が実施される場合があります。
また、障害者手帳や病院の診断書など、障害の有無がわかる書類の提出が求められることがあるので、事前に必要なものを確認しておきましょう。
利用計画を作成する
次に、指定特定相談支援事業者と契約して、相談支援専門員にサービス等利用計画を作成してもらい、自治体に提出します。
指定特定相談支援事業者は、自治体に指定された事業所のことで、相談支援専門員は、障がいのある方が障害福祉サービスを活用できるように支援する専門職のことです。
相談支援事業所の選び方がわからない場合は、自治体の窓口に相談してみましょう。
障害福祉サービス受給者証を受け取る
サービス等利用計画書を提出し、審査会を経て受給が決定したら、障害福祉サービス受給証が届きます。
受給者証には、サービスの利用に関する大切な情報が記載されているので、紛失しないように保管しましょう。
グループホームを見学する
自治体の窓口や相談支援事業者などに問い合わせて、入居できそうなグループホームを探します。
自治体によっては、グループホームの空き状況をホームページで公開している場合があります。
入所したいグループホームを見つけたら、見学の日程を調整しましょう。
なお、問い合わせ先を自治体の窓口にしている施設もあるので、事前にホームページなどで予約方法を確認しておくのがおすすめです。
見学をする際は、以下の項目をチェックしながら生活しやすい環境であるかを確認しましょう。
- グループホームの立地
- 部屋や共有スペースの広さ、使いやすさ
- 入居者や世話人がどんな人か
体験利用ができる施設もあるので、どのような生活が送れるのかを体感してみるのもおすすめです。
グループホームと入居契約する
希望を出して入居が決定した場合は、利用者本人とグループホームの間で契約を結びます。
初期費用の有無は、グループホームによって異なるので、事前に確認しておきましょう。
障害者向けグループホームに関するよくある質問
ここからは、障害者向けグループホームに関するよくある質問に回答していきます。
障害者向けグループホームの入居手続きをスムーズに進めるためにも、事前に疑問を解消しておきましょう。
障害者向けグループホームの入居条件は?
障害者向けグループホームは原則、障害者総合支援法が規定する以下のいずれかに該当する方が入居対象となります。
- 知的障害者
- 身体障害者
- 精神障害者
- 難病患者
障害支援区分の条件は無いため、1~6まで幅広い方が利用しています。
障害者向けグループホームは何歳まで利用できる?
障害者向けグループホームは、基本的に18歳以上65歳未満の方が対象となり、65歳になると介護保険のサービスが優先されます。
ただし、65歳までに利用したことがある場合や、障害の特性により障害者向けのグループホームの方が適切であると自治体が判断した場合は、65歳を過ぎても利用できます。
何歳まで利用できるかは状況に応じて変わるので、自治体に確認するのがおすすめです。
日常生活に不安を感じたらグループホームを活用しよう
障害者向けグループホームを利用する際は家賃や食費などの負担が必要となり、月4~5万円ほどかかります。
利用する際は、障害支援区分の認定を受けたり、入所したいグループホームを見つけたりする必要があります。
申請方法や入所できるグループホームがわからない場合は、自治体の障害福祉課や相談支援事業者に相談してみましょう。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
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