重度障がい者医療費助成制度は、重度障がいがある方が医療機関を受診する際に、窓口で支払う自己負担分の一部助成を受けられる制度です。
重度障がい者医療費助成制度を利用すれば、通院や入院の頻度が高い方の経済的負担を軽減できることで治療に専念しやすくなります。
ただし、制度を利用するためには、障害者手帳の等級や所得などの一定条件を満たす必要があるので注意が必要です。
そこで本記事では、重度障がい者医療費助成制度の対象者や助成内容を解説します。
制度を利用する際の注意点も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

重度障がい者医療費助成制度とは

重度障がい者医療費助成制度は、重度障がいがある方が医療機関や薬局の窓口で支払う自己負担分について、公費による助成を受けられる制度です。
自治体が独自に実施する制度であるため、地域によって名称や助成対象者が異なります。
まずは、主な対象者や助成内容を解説します。
対象者
重度障がい者医療費助成制度を利用できるのは、一定以上の等級の障害者手帳を持つ方です。
助成対象の基準は自治体によって異なり、東京都では以下のいずれかに該当する人が対象となります。
| 障害者手帳の種類 | 対象となる等級 |
| 身体障害者手帳 | 1級・2級 |
| 愛の手帳(療育手帳) | 1度・2度 |
| 精神障害者保健福祉手帳 | 1級 |
ほかの自治体では、身体障害者手帳3級の方や特別児童扶養手当1級を受給している方が対象となることもあります。
自身が対象となるかわからない場合は、お住まいの自治体の窓口やホームページで確認しましょう。
また、多くの自治体では本人や配偶者、扶養義務者の所得が一定額以下であることを条件とする所得制限が設けられています。
所得制限の基準額も自治体によって異なるため、あわせて確認しておきましょう。
助成内容
重度障がい者医療費助成制度を利用すると、医療機関や薬局の窓口で支払う健康保険適用の自己負担分について助成を受けられます。
助成金額は自治体によって異なり、主に以下のようなケースがあります。
| 助成範囲 | 内容 |
| 自己負担なし | 窓口での支払いが全額助成される |
| 一部自己負担あり | 窓口で1割を支払う1回の受診ごとに定額(500円など)を支払う など |
自治体によっては、1ヶ月あたりの負担上限額が設定されている場合もあります。
なお、入院時の食事代や差額ベッド代、診断書などの文書料は助成対象外で、全額自己負担となるので注意しましょう。
重度障がい者医療費助成制度と自立支援医療制度の違い

重度障がい者医療費助成制度と同様に医療費の助成を受けられる制度として、自立支援医療制度があります。
それぞれの違いは、以下のとおりです。
| 重度障がい者医療費助成制度 | 自立支援医療制度 | |
| 対象者 | 東京都の場合 ・身体障害者手帳1・2級 ・愛の手帳(療育手帳)1度・2度 ・精神障害者保健福祉手帳1級 ※自治体により異なる | 以下の治療を行っている方 ・精神通院医療 ・更生医療 ・育成医療 統合失調症やてんかん、白内障、心臓機能障害など |
| 所得制限 | あり | なし |
| 自己負担額 | 無料または一部自己負担 | 原則として1割負担 (1ヶ月の上限額あり) |
| 利用できる場所 | 保険適用となる医療機関 | 自立支援医療の指定病院のみ |
重度障がい者医療費助成制度と自立支援医療制度は、併用が可能です。
併用する際は、まず自立支援医療を適用して窓口負担を1割に抑え、その1割分について重度障がい者医療費助成制度で助成を受けることになります。
制度を併用すれば、自己負担額をさらに抑えられるのが大きなメリットです。
自立支援医療制度の申請方法や注意点は、以下の記事で詳しく紹介しています。

重度障がい者医療費助成制度の申請方法

重度障がい者医療費助成制度を利用するためには、お住まいの自治体で受給者証の交付申請を行う必要があります。
申請時の主な必要書類は、以下のとおりです。
- マイナンバーカード
- 健康保険証
- 障害者手帳
- 預金通帳など口座番号などがわかるもの
必要書類は地域によって異なる場合があるため、事前にお住まいの自治体のホームページなどで確認することをおすすめします。
また、ほかの地域から転入した場合は、前住地での所得証明書が必要になる場合もあります。
所得制限の判定に関わる書類なので、該当する方はあわせて準備しておきましょう。
重度障がい者医療費助成制度を利用する際の注意点

重度障がい者医療費助成制度を利用する際の注意点は、以下のとおりです。
- 保険適用外の費用は助成されない
- 発行元の都道府県外で受診すると払戻し手続きが必要となる
- 65歳以降に障害者手帳を取得した場合は対象外となることがある
それぞれ詳しく解説します。
保険適用外の費用は助成されない
重度障がい者医療費助成制度で助成を受けられるのは、健康保険が適用される診療に限られます。
そのため、以下のような保険適用外の費用は、全額自己負担となります。
- 入院時の食事代
- 差額ベッド代
- 診断書や証明書などの文書料
- 健康診断、予防接種代 など
入院が長期化した場合、差額ベッド代や食事代だけで数万円単位の支払いになることもあります。
受給者証を持っていても、支払額が高額になる可能性があることをあらかじめ認識しておきましょう。
発行元の都道府県外で受診すると払い戻し手続きが必要となる
自治体が発行する受給者証は、基本的に発行元の都道府県外の医療機関では使用できません。
旅行や帰省などでほかの都道府県の病院を受診する際は、一度窓口で健康保険の自己負担分を支払う必要があります。
その後、自治体の窓口で領収書を添えて償還払いの手続きをすれば、後日払い戻しを受けられます。
払い戻し手続きの期限は、医療費を支払った翌日から5年と定められているため、速やかに手続きを行いましょう。
65歳以降に障害者手帳を取得した場合は対象外となることがある
一部の自治体では、65歳以降に初めて障害者手帳を取得した場合、重度障がい者医療費助成制度の対象外となることがあります。
制度を利用するには、65歳に達する前日までに申請を済ませておくことが条件となっていることが多いため、申請時期にも注意が必要です。
なお、65歳になる前から助成を受けている場合は、65歳以降も継続して利用できるのが一般的です。
自身や家族が対象になるかわからない場合は、65歳を迎える前に早めに自治体の窓口へ確認しておきましょう。
重度障がい者医療費助成制度を利用するときのよくある質問

最後に、重度障がい者医療費助成制度を利用するときのよくある質問に回答します。
障害者手帳の等級が変わったときは手続きが必要?
手帳の等級が変更になり、助成の対象外となった場合は、受給者証を返却しなければなりません。
助成対象外となった後に受給者証を使用した場合、医療費を返還しなければならないので注意しましょう。
障がいが重くなり新たに助成対象となった場合は、申請することで受給者証が交付されます。
多くの自治体では、申請月の初日にさかのぼって助成を受けられるので、速やかに手続きを済ませましょう。
生活保護を受給している場合も対象になる?
生活保護を受給している方は、医療扶助によって医療費が免除されているため、対象外となります。
重度障がい者医療費助成制度は、あくまでも健康保険の自己負担分を公費で助成する仕組みです。
生活保護などのほかの制度が優先されるため、二重に受給することはできません。
重度障がい者医療費助成制度を利用して医療費の自己負担を軽減しよう
重度障がい者医療費助成制度は、重度障がいがある方が医療費の自己負担額の助成を受けられる制度です。
制度を利用することで、窓口での支払額を抑えられるため、経済的負担を軽減して治療に専念できるメリットがあります。
重度障がい者医療費助成を利用するには、障がいの程度や所得額などの一定条件を満たす必要があります。
自身や家族が助成の対象になるのかわからない場合は、お住まいの自治体の窓口やホームページで確認してみましょう。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士



コメント