日中サービス支援型グループホームは、重度の障がいがある方も入居できるグループホームです。
スタッフが24時間常駐しているので、昼夜問わず介護を受けられたり体調不良時に対応してもらえたりするメリットがあります。
本記事では、日中サービス支援型グループホームの対象者やサービス内容、入所までの流れを解説します。
常時介護を受けられる入居施設を探している方は、ぜひ最後までご覧ください。

日中サービス支援型グループホームとは

日中サービス支援型グループホームとは、障がい者が高齢化や重度化している状況に合わせて、2018年に創設されたグループホームです。
ここでは、日中サービス支援型グループホームの対象者やサービス内容を解説します。
対象者
日中サービス支援型グループホームの対象者は、以下のとおりです。
- 身体障がい者
(65歳未満もしくは65歳の誕生日の前々日までに障害福祉サービスを利用したことがある人) - 知的障がい者
- 精神障がい者
- 難病患者
これらの障がいが重度であったり高齢であったりすることによって、日中活動サービスなどの利用が難しい人を対象としています。
障害支援区分に関する入居条件はありませんが、施設の特性上、重度の障がいがある方の入居が優先される傾向があります。
サービス内容
日中サービス支援型グループホームでは、以下のような支援を受けられます。
- 入浴や排せつ、食事などの介護
- 利用者の就労先や日中活動サービスなど関係機関との連絡・調整
- 余暇活動などの支援
- 自宅で過ごす障がい者の一時的な受け入れ(短期入所)
日中サービス支援型グループホームには、常時1人以上のスタッフが配置されているので、24時間体制で介護を受けられるのが特長です。
また、5人以下を定員として短期入所を併設しており、自宅で生活する方も一時的に利用できます。
日中サービス支援型グループホームの費用

日中サービス支援型グループホームを利用する場合の、費用内訳は以下のとおりです。
内訳 | 費用 |
障害福祉サービスの利用者負担 | 世帯所得により異なる |
家賃 | 月3~5万円 |
食費 | 月2~3万円 |
水光熱費 | 月1万円前後 |
日用品費 | 月5,000円前後 |
合計 | 月6~13万円 |
障害福祉サービスの利用者負担は、世帯所得に応じて以下の負担上限月額が設定されています。
区分 | 負担上限月額 |
生活保護受給世帯 | 0円 |
住民税非課税世帯 | |
住民税課税世帯 | 37,200円 |
ほかの障害福祉サービスを利用していたとしても、負担上限月額以上の負担は発生しません。
なお、所得を判断する際の世帯の範囲は、障害のある方の年齢によって以下のように異なります。
種別 | 世帯の範囲 |
18歳以上の障がい者 (施設に入所する18、19歳を除く) | 障がいのある方とその配偶者 |
18歳未満の障がい児 (施設に入所する18、19歳を含む) | 保護者の属する住民基本台帳での世帯 |
グループホームの家賃は、低所得者を対象として国から1万円の家賃補助が受けられるほか、補助金を設けている自治体もあります。
入所費用の負担を抑えるためにも、お住まいの自治体の窓口やホームページで確認してみましょう。
グループホームの費用相場は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
日中サービス支援型とほかのグループホームの違い

グループホームには日中サービス支援型のほかに、介護サービス包括型と外部サービス利用型の2種類があります。
それぞれの特徴を比較すると、以下のとおりです。
日中サービス支援型 | 介護サービス包括型 | 外部サービス利用型 | |
対象者 | 重度障がいや高齢化によって外出が困難な方 | 夜間や休日に支援を必要とする方 | |
日中の過ごし方 | 施設内で介護を受ける | 基本的に日中活動系サービスを外部で利用する | |
スタッフ配置 | 昼夜問わず1人以上の職員を配置 | 夜間の職員配置あり。日中は利用者の状況に応じて配置 | 夜間の職員配置あり。日中は外部事業所のサービスを受ける |
医療的ケア | 対応可能な施設もある | 基本的には受けられない | 外部の訪問看護などを利用 |
事業所数 | 少ない | 最も多い | 介護サービス包括型に次いで多いが、減少傾向にある |
介護サービス包括型や外部サービス利用型は、日中の就労や日中活動系サービス利用を前提としているため、夜間や休日に支援を要する方を入所対象としています。
そのため、日中の外出が困難で常時介護が必要な方には適していません。
一方、日中サービス支援型グループホームは昼夜問わず職員が配置されているため、24時間介護を要する方でも入所しやすいのが特徴です。
なかには、看護師が常駐しており、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアを受けられたりする施設もあるので、必要とするケアに応じて選ぶとよいでしょう。
ただし、日中サービス支援型グループホームは比較的新しい施設であるため、地域によって事業所数が少ない傾向があります。
お住まいの地域に日中サービス支援型グループホームがあるかを確認したいときは、自治体の窓口や相談支援事業者に相談してみましょう。
日中サービス支援型グループホームに入所するまでの流れ

日中サービス支援型グループホームに入所するまでの流れは、以下のとおりです。
- 自治体の窓口にサービスの利用申請をする
- 障害支援区分の認定を受ける
- サービス等利用計画案を作成し、自治体の窓口へ提出する
- 支給決定後、障害福祉サービス受給者証を受け取る
- グループホームを見学する
- グループホームと契約し、入居開始となる
担当の相談支援専門員がいる方は、自治体への申請手続きを代行してもらうことができます。
相談支援専門員が決まっていない場合は、指定特定相談支援事業者に相談するのがおすすめです。
指定特定相談支援事業者とは、自治体が指定している事業所のことで、グループホームの入居に必要な手続きを支援してくれます。
どの事業者を選んだらよいかわからないときは、自治体の窓口で相談してみましょう。
日中サービス支援型グループホームの入居前には、施設の雰囲気や居室の広さなどを見ておくことが大切です。
なかには、体験入居ができる施設もあるので、自身が過ごしやすい空間であるかを確認するために利用してみるのもよいでしょう。
日中サービス支援型グループホームのメリット

日中サービス支援型グループホームのメリットは、以下のとおりです。
- 24時間介護を受けられる
- 長期間入居できる
- コミュニケーションをとる機会が増える
それぞれ詳しく紹介します。
24時間介護を受けられる
日中サービス支援型グループホームでは、常時1人以上のスタッフが配置されているので、24時間体制で必要なケアを受けられます。
急な体調不良の場合でも、すぐに対応してもらえるので安心して過ごせるのが嬉しいポイントです。
なかには、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアを受けられる施設もあります。
これまで在宅や病院でしか受けられなかった医療的ケアを受けられることで、重度障害の方の生活先の選択肢が増えるようになるでしょう。
長期間入居できる
日中サービス支援型グループホームは、入居期間に制限がない施設が多いため、障がいが重度化したり高齢化したりしても住み続けられます。
一時的な入院があっても、施設で対応できない医療行為をする必要がなければ、退院後に再入居できる可能性があります。
ただし、障害福祉サービス受給者証の期限が切れるとグループホームを利用できなくなってしまうので、有効期間内に忘れず更新手続きをおこないましょう。
コミュニケーションをとる機会が増える
グループホームには、入居者同士やスタッフなどとコミュニケーションをとる機会が増えるメリットがあります。
日常的な交流は孤立感を防いでくれるだけでなく、コミュニケーション能力が向上する効果も期待できます。
また、障がいによって十分な意思表出ができない方は、コミュニケーションボードやタブレット端末などの専用器具を使った支援を受けられるので安心です。
さらに、施設が企画するイベントや地域行事への参加することで、社会とのつながりを実感しやすくなるでしょう。
日常的に介護が必要な人は日中サービス支援型グループホームを利用しよう
日中サービス支援型グループホームは、日常的に介護が必要な方も入居できるグループホームです。
障がいの重度化や高齢化が進んでも継続して支援を受けられるため、長期的な生活の場として安心して利用できます。
ただし、日中サービス支援型グループホームは比較的新しい施設であるため、地域によっては事業所数が少ない可能性があります。
お住まいの自治体で日中サービス支援型グループホームを探すときは、自治体の窓口や相談支援事業所に相談してみましょう。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
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