介護保険で歩行器をレンタルできるか、どのくらい費用がかかるのか知りたい方は多いのではないでしょうか。
歩行器を介護保険でレンタルすることはできますが、介護保険の申請をしたりケアプランを作成したりする手間がかかります。
また、歩行器のレンタル費用は種類によって異なるので、どのような違いがあるのかを知っておくことが大切です。
そこで今回は、介護保険で歩行器をレンタルするときの手順や費用を詳しく紹介します。
レンタルと購入のどちらがいいのかも解説しているので、歩行器の利用を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

介護保険で歩行器はレンタルできる

介護保険で歩行器をレンタルすることはできます。
ただし、歩行器のレンタルは要支援1・2または要介護1が対象となっているので注意が必要です。
介護保険でレンタルできる福祉用具は、以下のように介護度によって決められています。
要支援1・2、要介護1 | ・歩行器 ・歩行補助杖 ・手すり ・スロープ |
要介護2~5 | ・特殊寝台、付属品 ・車いす、付属品 ・移動用リフト ・床ずれ防止 ・体幹変換器 ・認知症老人徘徊感知器 ・自動排泄処理装置 |
介護度によっては、希望している福祉用具がレンタルできない場合があります。
また、介護保険でレンタルする歩行器は、以下の要件を満たしていなければなりません。
- 歩行を補助する機能がある
- 歩行時に体重を支える機能がある
- 上肢で保持して移動させることができる(四脚)
- 体を囲む形状をしている(車輪付き)
歩行器を借りられない状況にならないためにも、レンタル要件を満たしていることを確認しておきましょう。
介護保険で歩行器をレンタルしたときの費用

介護保険で歩行器をレンタルしたときの費用は、以下のとおりです。
歩行器名 | レンタル費用(1割負担) |
歩行車 | 300~530円/月 |
リトルターン歩行器 | 300~430円/月 |
固定型歩行器 | 210~250円/月 |
馬蹄型歩行器 | 360~400円/月 |
歩行器のレンタル費用は、介護度によって変わることはありませんが、介護度によっては全額自己負担となります。
介護保険の適用が受けられなければ、大きな負担となってしまうので、事前に介護度を確認しておきましょう。
歩行器はレンタルと購入のどちらがいい?

歩行器をレンタルするか、購入するかで悩んだときは、それぞれのメリット・デメリットから選ぶのがおすすめです。
レンタル・購入後に後悔することにならないためにも、どのようなメリット・デメリットががあるのかを押さえておきましょう。
歩行器をレンタルするメリット・デメリット
歩行器をレンタルするメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
・費用を抑えることができる ・必要に応じて借り換えができる ・専門業者と相談して選べる | ・手続きが必要になる ・返却の手間がかかる |
歩行器を介護保険でレンタルすれば、費用を1~3割に抑えることができます。
加えて、使っている歩行器が自分にあわなかったときに借り換えることも可能です。
高齢者の歩く能力は変化しやすいため、必要な歩行器もそのたびに変わってくることも考えられるでしょう。
借り換えや返却の手間がかかりますが、必要に応じて歩行器を借り換えられるのは大きなメリットといえます。
歩行器を購入するメリット・デメリット
歩行器を購入するメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
・汚れや故障がない状態で使える ・返却の必要がない ・レンタル対象外の歩行器も使える ・歩行器をカスタマイズできる | ・購入費用がは全額自己負担になる ・簡単に借り換えができない ・不必要になった時の処分にお金と手間がかかる困る |
購入した歩行器は返却する必要がないため、自分好みにカスタマイズできます。
また、介護保険でレンタルできない歩行器もあるため、購入を選ぶことで選択肢を広げられるでしょう。
介護保険で歩行器をレンタルする手順

介護保険で歩行器をレンタルする手順は、以下のとおりです。
- 介護保険の申請をする
- ケアマネージャーに相談する
- ケアプランを作成する
- レンタル会社を選ぶ
まずは自治体の窓口で介護保険の申請を行いましょう。
介護認定を受けている場合は、ケアマネージャーに歩行器をレンタルしたいことを伝え、ケアプランを作成してもらいます。
ケアプランが作成できたら、レンタル会社と相談しながら歩行器を選びます。
自分にあわない歩行器をレンタルすると、借り換えや返却の手間がかかるので、どのように使いたいのかをレンタル会社に伝えることが大切です。
歩行器は、申し込みから1〜3日で届くことが多いので、すぐに使い始められるのも嬉しいポイントです。
なお、介護保険の申請から認定までに1ヶ月ほどかかるので、歩行器をレンタルしたいときは早めに手続きを始めましょう。
介護保険で歩行器をレンタルするときのよくある質問

ここでは、介護保険で歩行器をレンタルする時のよくある質問に回答していきます。
介護保険で歩行器と車いすのどちらもレンタルできる?
歩行器と車いすを使い分ける必要があれば、介護保険を使って両方レンタルすることができます。
ただし、車いすをレンタルするには、要介護2以上の認定を受けなければならないので、介護度によってはレンタルすることができません。
車いすをレンタルする場合は、自身の介護度を確認したうえで申し込むようにしましょう。
老人ホームに入居していても歩行器をレンタルできる?
老人ホームに入居中はレンタルできない場合があります。
福祉用具のレンタルは、自宅での生活を支援するためのサービスであるため、施設サービスでは利用できません。
一方、自宅を対象としている居宅介護サービスを利用している場合は、歩行器をレンタルすることが可能です。
施設サービスと居宅介護サービスの対象施設は、以下のとおりです。
施設サービス | 居宅介護サービス |
・住宅型有料老人ホーム ・サービス付き高齢者向け住宅 ・ケアハウス ・養護老人ホーム ・認知症高齢者グループホーム | ・特別養護老人ホーム ・介護老人保健施設 ・介護療養型医療施設 |
なかには、歩行器を貸し出している施設もあるので、入居前に確認しておくことをおすすめします。
施設に歩行器がない場合は、自費レンタルができないかをケアマネージャーに相談してみましょう。
室内用と屋外用の歩行器をレンタルできる?
室内用と屋外用の歩行器を同時にレンタルすることは可能です。
ただし、室内用と屋外用を使い分ける理由がなければ、介護保険でのレンタルは認められません。
屋内用と屋外用のレンタルをしたい場合は、以下のような理由を提示できるようにしておきましょう。
屋内歩行器 | 屋外歩行器 |
廊下やトイレでスムーズに移動できるようにコンパクトな歩行器を使いたい | 舗装されていない道や庭で安定して歩けるように大型のキャスタータイプの歩行器を使いたい |
介護保険で認定を受けているなら歩行器をレンタルできる
介護保険で歩行器をレンタルすることは可能です。
ただし、介護度によってはレンタルできない場合があるので、自身の介護度を確認したうえで申し込みましょう。
歩行器を自身の状況にあわせてカスタマイズしたい場合は、レンタルせずに購入するのも手段の一つです。
歩行器をレンタルすべきか、購入すべきかは、身体の状況や希望によって異なるので、それぞれのメリット・デメリットを押さえておくことが大切です。
自分にあった歩行器を使うためにも、悩んだときは作業療法士やケアマネージャーに相談してみましょう。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
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