病気やけがの後遺症によって日常生活での介助が必要になり、退院に向けて要介護認定を受けたいと考えている方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、入院中であっても要介護認定は受けられます。
ただし、心身の状態が安定し、退院時期が見えてきたタイミングでなければ申請することはできません。
退院後に必要な支援を受けるためにも、適切な時期に要介護申請をしましょう。
本記事では、入院中の方が要介護認定を受けるタイミングや申請方法について解説します。
要介護認定を受ける際の注意点も解説するので、入院中の方やそのご家族は、ぜひ最後までご覧ください。

入院中の方が要介護認定を受けるタイミング

入院中に要介護認定を申請する場合、退院の目途が立ったタイミングが適しています。
具体的には、退院予定日の約1ヶ月半前を目安にするとよいでしょう。
その理由は、要介護認定の申請から結果が出るまで、原則として1ヶ月ほどかかるためです。
また、主治医意見書の作成や認定調査の進行状況によっては、さらに時間がかかる場合があるので、半月ほど余裕を持って申請するのがおすすめです。
なお、治療中に申請すると、身体の状態が落ち着いていないために要介護認定を受けられなかったり、認定を受けられたとしても、要介護度が高く出たりすることがあります。
要介護度が高くなると、介護サービス費が高くなってしまう可能性があるので注意が必要です。
そのような状況にならないためにも、心身の状態が安定し、退院後の生活がある程度イメージできる時期まで待ってから申請するようにしましょう。
要介護度が高く出た場合のメリットやデメリットは、以下の記事で紹介しています。
入院中に要介護認定を受ける際の注意点

入院中の方が適切な要介護度を受けるためには、以下の3点について留意しておく必要があります。
- 心身状態が安定してから申請する
- 入院先とかかりつけ医の認識が異なると意見書に正しく反映されない場合がある
- 入院中の要介護認定に基準を設けている自治体がある
心身状態が安定してから申請する
要介護認定は治療やリハビリが落ち着き、一定の状態が続いてから申請することが大切です。
身体機能や精神状態が不安定な段階では、原則として要介護認定の申請はできません。
例えば、手術を予定していたり、リハビリ開始直後だったりする場合、1ヶ月後には心身状態が大きく改善している可能性があります。
そのため、治療中に要介護認定の申請をすると、退院時の要介護度とは異なる要介護度が出てしまう場合があるのです。
自分の心身状態が安定しているのかどうかがわからない場合は、主治医や医療ソーシャルワーカーに確認しましょう。
入院先とかかりつけ医の認識が異なると意見書に正しく反映されない場合がある
入院中に要介護認定を受ける場合、主治医意見書は入院先の主治医が記載します。
しかし、普段の生活状況や健康状態をより詳しく把握しているのは、かかりつけ医であることが多いです。
そのため、入院先の医師が書いた主治医意見書では、通常の心身状態が正しく反映されない可能性があります。
主治医意見書に反映させたい具体的な症状や困りごとがある場合は、入院先の医療ソーシャルワーカーに相談しましょう。
医療ソーシャルワーカーは医師への橋渡し役となり、主治医へ必要な情報を伝えてくれる場合があります。
または、短期間の一時的な入院の場合、退院後に介護認定を受けるのも手段の一つです。
退院後であれば主治医意見書の記載をかかりつけ医に依頼できるので、日常生活での状態を意見書に反映してもらえる可能性が高まるでしょう。
入院中の要介護認定に基準を設けている自治体がある
自治体によっては、適切な要介護認定を行うために、入院状況を確認してからでなければ申請できない場合があります。
例えば、静岡県函南町では、要介護認定の申請前に入院状況確認書を提出しなければならないと定めています。
入院状況確認書には疾病名や退院予定日の記載を求められることが多く、これらの情報をもとに、要介護認定の申請ができる状況であるかが判断されるのです。
これら基準は自治体によって異なるので、要介護認定の申請をする前に自治体に確認することが大切です。
基準の有無がわからない場合は、自治体の介護保険課などの窓口に確認しましょう。
入院中の方が要介護認定を受ける流れ

入院中の方が要介護認定を受ける流れは、以下の通りです。
- 医療ソーシャルワーカーに相談する
- 要介護認定を申請する
- 認定調査を受ける
- 要介護認定の結果が自宅に届く
医療ソーシャルワーカーに相談する
入院中に要介護認定を受ける際は、申請時期が適切であるかを確認するためにも医療ソーシャルワーカーに相談しましょう。
医療ソーシャルワーカーは、医療機関で患者やその家族が感じる不安や悩みについて必要な支援や調整を行う職業です。
患者の状況に応じて相談に乗ってくれるので、要介護認定の手続き方法や認定後の流れについてのアドバイスも受けられます。
要介護認定後には、ケアマネジャーの紹介や介護サービスの利用調整をしてくれるので、退院後の支援体制を整えやすくなるでしょう。
要介護認定を申請する
要介護認定を受けるためには、自治体の介護保険課の窓口に申請します。
入院中に申請書を提出する方法には、代理の方が提出する方法と、郵送する方法があります。
代理の方が提出する
家族などの代理の方が自治体の介護保険課の窓口に出向いて、申請する方法です。
手続きをスムーズに進めるためにも、以下の書類を準備しておきましょう。
- 本人の介護保険被保険者証
- (40歳~64歳の場合)本人の健康保険証
- 代理の方の身分証明書(運転免許証など)
- 委任状
ただし、必要書類は自治体によって異なるので、事前に自治体のホームページなどで確認しておくことが大切です。
郵送する
要介護認定の申請書は、郵送しても受理してもらえます。
要介護認定申請書を記載の上、以下の書類を同封して郵送しましょう。
- 本人の介護保険被保険者証
- (40歳~64歳の場合)本人の健康保険証
要介護認定申請書の書式は自治体によって異なり、自治体のホームページなどから印刷できる場合が多いです。
医療ソーシャルワーカーが代理で郵送してくれるケースも多いので、わからない場合は相談してみましょう。
認定調査を受ける
要介護認定は「主治医意見書」と「認定調査」から総合的に評価され、認定結果が決まります。
主治医意見書は医師が作成する書類であり、自治体と病院間で直接やり取りされるので、特別な手続きは不要です。
一方、認定調査は、心身状態や日常生活における困りごとなどを確認するために行われます。
病室や病院のデイルームなどで行う場合が多く、認定調査日程は医療ソーシャルワーカーが認定調査員とやり取りして調整するのが一般的です。
認定調査には、看護師が立ち会って医療情報を認定調査員に伝えてくれる場合があります。
また、日常生活での不安や希望する介護サービスを調査員に伝えておくと、適切な要介護度で認定を受けられる可能性が高まります。
さらに、家族の面会が可能な場合は、認定調査に同席できることもあります。
家族に同席してほしい場合は、調査員に希望日程を伝えておきましょう。
要介護認定の結果が自宅に届く
要介護認定の結果は自宅に届くため、家族に確認してもらう必要があります。
基本的には、電話で問い合わせても個人情報の観点から教えてもらえません。
家族の対応が難しい場合は、一時外出で自宅に帰り、要介護認定の結果を確認しましょう。
認定結果を医療ソーシャルワーカーやケアマネジャーに伝えることで、介護保険サービスの調整がスムーズに進められます。
要介護認定を受けて退院後の生活に備えよう
退院後に必要な支援を受けるためには、入院中に要介護認定の手続きを進めておくことが大切です。
ただし、自治体によっては入院中の要介護認定に対して独自基準を設けている場合があります。
また、症状が安定していない状態で要介護認定を受けると、要介護度が高くなることで介護サービス費が高くなってしまうことがあります。
入院中に要介護認定を受ける際は、医療ソーシャルワーカーに相談し、治療やリハビリが落ち着き、状態が安定してから申請するようにしましょう。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
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