宿泊型自立訓練とは?対象者や支援内容、グループホームとの違いを解説 

福祉制度
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障がいがある方の中には、自立した生活を送りたくても一人暮らしの不安から一歩踏み出せない方も多いのではないでしょうか。

宿泊型自立訓練は施設で生活しながら、身の回りのことを自分で行えるように訓練する障がい福祉サービスです。

訓練を生活環境に取り入れることで、より実践的なスキルを身につけることができるので、一人暮らしへの自信につながります。

ただし、利用する際は費用がかかったり入居期限が設けられていたりすることに注意が必要です。

生活スキルを身につけて一人暮らしを始めるためにも、自身の状況や目標に合わせて宿泊型自立訓練を受けてみましょう。

そこで本記事では、宿泊型自立訓練の対象者や支援内容を詳しく解説します。

障害者グループホームとの違いも解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

2024-8-9-01
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宿泊型自立訓練とは

2024-8-9-02

宿泊型自立訓練とは、施設で生活しながら家事や日常生活動作などを一人で行えるように訓練する障がい福祉サービスです。

ここでは、対象者やサービス内容を解説します。

対象者

宿泊型自立訓練の対象者は、以下のすべてに該当する方です。

  • 身体障がい、知的障がい、精神障がい、難病の方
  • 集団生活ができる方
  • 日中に一般就労や就労移行支援などの障がい福祉サービスを利用している方

宿泊型自立訓練はすべての障がい者が利用できますが、実際には知的障がいや精神障がいの方が多く利用している傾向があります。 

その理由は、知的障がいや精神障がいの方が、家事や日常生活動作を習得する際に丁寧な支援を必要とすることが多いためです。

なかには、入居できる障がい種別を限定していたり、年齢制限を設けていたりする施設もあるので、事前に入居条件を確認しておきましょう。

また、宿泊型自立訓練は日中に就労などの活動をしている方を対象としているので、帰宅後にさまざまな訓練をします。

日中に日常生活動作の訓練を行いたい場合は、自立訓練(生活訓練)を利用しましょう。

自立訓練(生活訓練)のサービス内容については、以下の記事で詳しく紹介しています。

自立訓練(生活訓練)のサービス内容|機能訓練や就労移行支援との違いを解説
障害があることを理由に、自身の力で日常生活を送れるのか不安に感じている方は、食事や健康管理などの生活力を高められる自立訓練(生活訓練)の利用を検討してみましょう。今回は、生活訓練のサービス内容や機能訓練、就労移行支援との違いを紹介します。

サービス内容 

宿泊型自立訓練では、施設職員の支援を受けながら以下の訓練を行います。

訓練内容具体例
家事動作・簡単な料理の作り方
・掃除の仕方
・洗濯物の干し方 など
日常生活動作・身だしなみの整え方
・入浴の手順 など
服薬管理や金銭管理・薬の管理方法
・予算内での買い物方法 など
生活に関する助言・緊急時の対応方法
・困ったときの相談相手 など

これらの中から、利用者の課題や苦手なことに応じて重点的に取り組みます。

例えば、料理をしたい方は調理器具の使い方や簡単な調理法などを学んだり、予算内で必要なものを購入したりする練習をしたりします。

具体的なスキルを身につけることで、一人暮らしの不安が軽減され、自立生活を安心して始められるでしょう。

さらに、宿泊型自立訓練ならではのメリットとして、他の利用者や施設職員との日常的な交流を通じてコミュニケーション能力を高められる点が挙げられます。

挨拶の仕方や相手の気持ちを考えた話し方など、社会生活に欠かせないスキルの習得ができます。

宿泊型自立訓練の利用料金 

2024-8-9-03

宿泊型自立訓練は、原則として1割負担がかかります。

障害福祉サービスの利用者負担は、世帯収入に応じて以下のように上限額が決まっています。

区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給0円
低所得市町村民税非課税世帯※0円
一般1市町村民税課税世帯
(20歳未満かつ市町村民税所得割28万円未満の方) 
9,300円
一般2上記以外37,200円
※3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象
参考:厚生労働省「障害者の利用者負担」

なかには、独自の減免制度によって自己負担がさらに減額される自治体もあります。

宿泊型自立訓練を利用する際は、減免制度がないかどうかをお住まいの自治体に確認してみましょう。 

また、宿泊型自立訓練では障害福祉サービス費に加えて、以下の費用もかかります。

  • 家賃
  • 食費
  • 水光熱費
  • 日用品費 など

どれほどの費用がかかるのかは、施設によって金額が異なるので、あらかじめ確認しておくことが大切です。

宿泊型自立訓練を利用するための全ての費用を合わせると、1ヶ月5万〜10万円の費用がかかります。 

入居後の生活費に困らないためにも、毎月かかる費用を確認したうえで利用を決めましょう。

宿泊型自立訓練とグループホームの違い

2024-8-9-04

障がいがある方の生活を支援する施設は、宿泊型自立訓練だけでなく、障害者グループホームもあります。

宿泊型自立訓練と障害者グループホームを選択するときは、それぞれの違いを知っておくことが大切です。

主な違いは、以下の通りです。

宿泊型自立訓練グループホーム
目的自立生活に向けた集中的な訓練場所長期的に居住する場所
入居期限原則として2年間無期限
※一部例外あり
訓練の有無ありなし
利用条件就労や他の福祉サービスを受けている特になし

宿泊型自立訓練は、将来の自立生活に向けて準備ができる施設です。

実際に宿泊しながら、掃除や洗濯など日常生活に必要なスキルを集中的に学べます。

一方、グループホームは長期的な生活場所を求めて入居するのが一般的です。

日々の生活支援は提供されますが、宿泊型自立訓練のような特定のスキル習得を目的とした訓練は基本的に受けられません。

また、多くのグループホームでは入居期限が設けられていないため、継続的な支援を受けながら長く暮らすことができます。

短期間で生活スキルを身につけて一人暮らしに移行したい方は宿泊型自立訓練、長期的な住まいと継続的な支援が必要な方はグループホームを選ぶのがよいでしょう。

宿泊型自立訓練のよくある質問

2024-8-9-05

最後に宿泊型自立訓練のよくある質問に回答します。

生活保護を受給していても利用できる?

宿泊型自立訓練は、生活保護の方も利用できる障がい福祉サービスです。

生活保護のケースワーカーに相談し、家賃補助などを受けられるか事前に確認しておきましょう。

体験利用はできる? 

宿泊型自立訓練の体験利用を受け入れている施設が多い傾向があります。

実際に利用するときは、どのようなプログラムが行われるか、障がい特性に合った支援を受けられそうかなどを確認することが大切です。

体験利用であっても食費などがかかる場合があるので、あらかじめ費用を確認しておくとよいでしょう。

利用期間は延長できない? 

宿泊型自立訓練の利用期間は、原則として2年間です。

ただし、入居前に長期入院をしていた方で、期間延長すれば日常生活の自立度が向上すると自治体が判断した場合は、最長3年間利用できる可能性もあります。

自身が対象になるかわからない場合は、施設のスタッフに相談してみましょう。

自立した生活をできるように宿泊型自立訓練を利用しよう

宿泊型自立訓練は、一人暮らしに向けて必要な家事や日常生活動作の訓練をする障がい福祉サービスです。

施設に入居するので、実践的な訓練ができたり困ったことがあればすぐにスタッフに相談できたりします。

ただし、入居する際は、障害福祉サービス費や家賃などの費用がかかることに注意が必要です。

入居中の支払いに不安がある方は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのもおすすめです。

お困りの方は、お気軽にご相談ください。

監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士

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