生活介護とは?対象者やサービス内容、就労継続支援B型との違いを解説

福祉制度
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生活介護は、日常的に介護を必要とする人が、施設に通って介助を受けたり生産活動をおこなったりする障害福祉サービスです。

日中活動の場としての機能もあり、専門スタッフによる支援を受けながら、さまざまな活動に参加できます。

しかし、生活介護は条件を満たさなければ利用できないため、あらかじめ対象者を知っておくことが大切です。

そこで本記事では、生活介護の対象者やサービス内容、利用する流れを解説します。

生活介護の利用を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

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生活介護とは

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生活介護とは、日常的に介護を必要とする人が、専門スタッフのいる施設で入浴や排せつ介助を受けたり、生産活動をおこなったりする障害福祉サービスのことです。 

まずは、生活介護の対象者やサービス内容を解説します。

対象者

生活介護を利用できるのは、以下のいずれかに該当する人です。 

年齢要件
50歳未満障害支援区分が区分3(障害者支援施設に入所する場合は区分4)以上の人
50歳以上障害支援区分が区分2(障害者支援施設に入所する場合は区分3)以上の人

生活介護と施設入所支援を併用する人は、自治体が利用の必要性を認めれば障害支援区分が区分4(50歳以上の人は区分3)未満であっても利用できます。 

障害支援区分とは、支援の必要性を6段階で示したもので、最も支援が必要な人は「区分6」の判定を受けます。 

年齢制限は設けられていませんが、65歳を超えると介護保険の対象となるので、介護保険サービスに移行するのが一般的です。

ただし、介護保険サービスと障害福祉サービスの両方を提供できる「共生型サービス」の事業所であれば、65歳になっても継続して生活介護を受けられる可能性があります。 

65歳以上の人が障害福祉サービスから介護保険サービスに移行する理由は、以下の記事で詳しく紹介しています。

サービス内容

生活介護では、以下のような支援を受けられます。

支援内容具体例
身体介助入浴や排せつ、食事などの介護
日常生活上の支援生活に関する相談や助言
生産活動手芸や清掃、農作業などの軽作業 
創作的活動・レクリエーション
・ドライブ
・散歩
・言語療法 など  

生活介護では生産活動や創作的活動を通して、利用者同士や地域との交流を深めたり、社会とのつながりを感じたりすることもできます。

生産活動や創作的活動の内容は事業所によって異なり、利用者が取り組みやすい作業をおこなうのが一般的です。

生産活動に参加した場合は、生産活動の利益から経費を差し引いた金額が工賃として支給されます。 

工賃の金額には決まりがないので、事前に事業所に確認しておきましょう。

生活介護の利用料金 

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生活介護は、原則として1割負担で利用できます。

また、世帯収入に応じて上限額が以下のように決まっています。

区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給0円
低所得住民税非課税世帯※10円
一般1住民税が課税されている世帯
(収入がおおむね670万円以下)※2
9,300円
一般2上記以外37,200円
※1 3人世帯で障害者基礎年金1級を受給している場合、収入がおおむね300万円以下の世帯が対象
※2 住民税が課税されている20歳以上の入所施設利用者がいる世帯は「一般2」となる

なお、食費や創作的活動の材料費、イベント時の費用は全額自己負担となります。 

自己負担となる費用は事業所によって異なるので、サービス利用前に確認しておきましょう。

生活介護とデイサービス、就労継続支援B型の違い

生活介護と似ているサービスに、デイサービスと就労継続支援B型があります。

ここでは、生活介護とデイサービス、就労継続支援B型との違いを詳しく解説します。

デイサービスとの違い

生活介護とデイサービスは、いずれも事業所に通所し、食事や排せつ、入浴介助などを受けられます。

生活介護は障害福祉サービスであるのに対し、デイサービス(通所介護)は介護保険法に基づいて提供されます。

デイサービスの対象者は、以下の通りです。 

年齢 利用条件
65歳以上(第1号被保険者)要介護1〜5の認定を受けた方
40~64歳(第2号被保険者)16種類の特定疾病によって、要介護1〜5の認定を受けた方

生活介護を障害者デイサービスと呼んでいる事業所もありますが、一般的にデイサービスは介護保険の通所介護のことを指します。

就労継続支援B型との違い 

就労継続支援B型では、生活介護と同様に、生産活動をおこなった利用者に対して工賃が支払われます。

生活介護は身体機能の維持や向上、自立促進を目指すのに対し、就労継続支援B型は就労機会の提供や就労に向けたスキルアップが目的です。

つまり、生活介護は日常生活の介助を受けたい人、就労継続支援B型は働くための準備や訓練を受けたい人が対象といえます。

これらのサービスは、同日でなければ併用できる場合がありますが、自治体によって利用可否の判断が異なるので、事前に自治体の窓口に確認しておきましょう。

なお、どちらのサービスも雇用契約を結ばずに生産活動をおこなうので、工賃が安い傾向があります。

就労継続支援B型の工賃が安い理由は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

生活介護を利用する流れ 

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生活介護を利用する流れは、以下の通りです。

  1. 自治体の障害福祉の窓口や相談支援事業者で利用申請をする
  2. 障害支援区分の認定を受ける
  3. サービス等利用計画案を作成し、自治体の窓口へ提出する
  4. 支給決定後、障害福祉サービス受給者証を受け取る
  5. 利用する生活介護事業者を選び、利用契約を結ぶ

障害支援区分の認定を受ける際は、調査員が自宅などに訪問し、心身状況について確認する認定調査がおこなわれます。

認定調査の結果と医師の意見書をふまえ、障害支援区分が決まります。

サービス等利用計画案は自作することもできますが、サービスの利用調整などをスムーズに進めるために、指定特定相談支援事業者に作成してもらうのがおすすめです。

指定特定相談支援事業者とは、自治体が指定している事業所のことで、サービス等利用計画を作成したり、障害のある人・家族へ情報提供や助言をしたりします。 

どの事業者を選んだらよいかわからない場合は、自治体の窓口で相談してみましょう。

なお、申請からサービスを利用するまでに2〜3ヶ月ほどかかる場合があるので、スムーズに利用を開始するためにも、早めに申請することをおすすめします。 

生活面の幅広いサポートを受けたい場合は生活介護を利用しよう

生活介護は、日常的に介護を必要とする方が、施設に通って身体介助を受ける障害福祉サービスです。

介護を受けるだけでなく、生産活動に参加することによって、地域とのつながりを深められたり工賃を受け取れたりするメリットがあります。

生活介護を利用するためには、障害支援区分の認定を受けなければならないので、利用開始までに時間がかかる可能性があります。

スムーズに利用を開始するためにも、自治体の窓口や相談支援事業所で早めに手続きを進めましょう。

監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士

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