居住サポート事業とは、障がいのある人が賃貸住宅に入居するときの物件探しや契約手続きのサポートを受けられる事業のことです。
居住サポート事業では入居前の支援だけでなく、継続的に住み続けるためのサポートも受けられます。
障がいがあって賃貸住宅が見つからない方や、一人で入居手続きをすることに不安がある方は居住サポート事業を利用してみましょう。
この記事では、居住サポート事業のサービス内容や対象者、利用方法を解説します。
一人暮らしを始めるにあたって、入居前後に必要なサポートを受けたいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

居住サポート事業とは

居住サポート事業とは、障がいのある人の住まいを確保するために、賃貸住宅の物件探しや契約手続きの支援を受けられる事業のことです。
障害者総合支援法における地域生活支援事業の1つであり、自治体が主体となって実施しています。
ここでは、居住サポート事業のサービス内容と対象者、利用料金を紹介します。
サービス内容
居住サポート事業では、以下の支援が受けられます。
支援内容 | 具体例 |
入居支援 | ・物件探しのサポートや物件見学の同行 ・入居契約手続きのサポート ・保証人がいない場合は、債務保証制度の利用支援 |
居住継続支援 | 生活上のトラブルなど緊急時の相談支援 |
地域生活の定着支援 | ・生活上の課題に対し、関係機関から必要な支援を受けられるよう調整 ・近隣住民との関係づくりのサポート |
申請時に障がい特性や住まいに関する要望を伝えておくと、よりスムーズに進むように支援員が不動産業者と調整してくれます。
自分に合った物件を見つけるためにも、希望条件を具体的に伝えるようにしましょう。
保証人がいない場合は、保証会社との契約手続きのサポートも受けられます。
地域によっては、自治体や社会福祉協議会が提供している保証人代行サービスを利用できるケースもあります。
さらに、入居後もサポートが必要な場合は、電話や訪問による支援を受けられるのも大きなメリットです。
24時間体制で相談できるので、夜間に緊急事態が起きたときに連絡できる安心感もあります。
居住サポート事業で受けられるサービス内容は自治体によって異なるので、契約前にどのような支援が受けられるのか確認してくことをおすすめします。
対象者
居住サポート事業の対象者は、以下のとおりです。
- 障害者手帳を所持している、もしくは同等の障がいがある方
- 賃貸契約による一般住宅への入居を希望している方
- 保証人がいないなどの理由で入居できない方
自治体によって対象者が異なるので、自治体のホームページで確認しておきましょう。
なお、グループホームに入居している方は利用することができません。
利用料金
居住サポート事業は無料で利用できます。
ただし、賃貸借契約の費用や入居費用といった費用は自身で負担する必要があります。
居住サポート事業の利用方法

居住サポート事業の利用方法は、以下のとおりです。
- 自治体の窓口もしくは自治体から委託を受けた相談支援事業者に相談する
- 居住サポート事業の利用申請をする
- 利用可能となったら、物件探しや入居契約のサポートを受ける
居住サポート事業を利用するときは、まず自治体のホームページで相談窓口を確認しましょう。
申請時には、担当者が事業の利用可否を判断するために、生活環境や経済状況、家族構成などの聞き取りを行います。
これらの情報は、利用者に適した住居を見つけたり、安定した生活をサポートしたりするために必要な情報です。
居住サポート事業を利用するメリット

居住サポート事業を利用するメリットは、以下の3つです。
- 物件探しのサポートを受けられる
- 入居後の支援も受けられる
- 利用期間に制限がない
1つずつ見ていきましょう。
物件探しのサポートを受けられる
居住サポート事業を利用すると、支援員が障がい特性や経済状況を不動産会社に伝えてくれるため、自分に合った住居が見つかりやすくなります。
障がいのある方が賃貸物件を探す際、物件のバリアフリー対応や周辺環境など、考慮すべき点が多くあります。
これらの必要条件を満たせるように支援員が交渉してくれるので、スムーズに物件探しができます。
入居後の支援も受けられる
入居後も必要に応じて、継続した支援を受けられるのもメリットです。
例えば、生活上のトラブルや近隣住民との関係づくりに悩んだときは、サポートを受けられます。
継続的な相談支援を受けられることは、新たな環境で生活を続けていくときの精神的な支えとなるでしょう。
24時間対応してくれるので、夜間に困ったときでも相談できるのが嬉しいポイントです。
利用期間に制限がない
居住サポート事業は利用期間が決まっていないので、必要な期間だけ支援を受けられます。
新たな環境に慣れるまでサポートを受けられれば、安心して生活していくことができるでしょう。
ただし、独自に利用期間を設けている自治体もあるので、事前に確認しておくことをおすすめします。
居住サポート事業の注意点

居住サポート事業を利用する際の注意点は、以下の2つです。
- サービス内容が地域ごとに異なる可能性がある
- 希望する物件が見つからない場合がある
それぞれ詳しく紹介します。
サービス内容が地域ごとに異なる可能性がある
居住サポート事業で提供されるサービスの範囲や内容は自治体によって異なります。
小規模な自治体では、大都市と比べてサービス提供体制が限られていることがあり、十分な支援を受けられない可能性があります。
例えば、入居後の訪問頻度や利用期間などが少なく設定されていることが考えられるでしょう。
必要な支援を受けるためにも、事前にどのようなサービスを提供しているのか確認しておくことが大切です。
希望する物件が見つからない場合がある
物件探しのサポートを受けても、理想の条件をすべて満たす物件が見つかるとは限りません。
賃貸物件の空き状況は地域や時期によって変わるため、希望どおりの物件がすぐに見つからないこともあります。
自身の要望を支援員に伝えて、提案された物件のなかから立地や広さ、家賃などの優先順位をつけて柔軟に検討することが大切です。
居住サポート事業を利用するときのよくある質問

最後に居住サポート事業を利用するときのよくある質問に答えていきます。
家族と同居している場合でも利用できる?
居住サポート事業は、家族と同居している場合でも利用できるケースがあります。
例えば、同居家族にも障がいがあることで賃貸物件を見つけるのが難しいケースが挙げられます。
基本的にはサポートできる家族がいない方が対象となるため、同居家族の状況を確認したうえで支援の必要性が判断されます。
住宅は決まっているけれど、入居後の支援だけ受けられる?
入居後の支援のみ受けられるかは、自治体によって異なるため、自治体窓口に確認してみましょう。
なお、障がいのある方が一人暮らしをする際は、障害福祉サービスといったさまざまなサポートが受けられます。
障がいのある方が一人暮らしをするときに活用できる制度は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
障がいのある方が物件探しに悩んだときは居住サポート事業を利用しよう
居住サポート事業は、障がいがある方が賃貸住宅に入居する際の物件探しや契約手続き、入居後のサポートといった幅広い支援を受けられる事業です。
支援員に障がい特性や希望条件を伝えておけば、自分に合った住まいを見つけやすくなります。
居住サポート事業のサービス内容と対象者は自治体によって異なるため、事前に自治体窓口やホームページで確認しておきましょう。
賃貸物件を借りるにあたって金銭面に不安を感じている方は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのがおすすめです。
お悩みの方は、お気軽にご相談ください。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
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