特別障害者手当と障害年金の違い|受給額や申請方法を解説

福祉制度
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障がいのある人が受給できる特別障害者手当と障害年金の違いをご存じでしょうか。

どちらも一定以上の障がいがある人を対象としていますが、受給要件や受給額はそれぞれ異なります。

申請を行わずに受給できなかったり、受給開始が遅れたりすることがないように各制度の概要を押さえておきましょう。

そこで本記事では、特別障害者手当と障害年金の違いを解説します。

申請方法も解説するので、これから申請を考えている方はぜひ最後までご覧ください。

2025-6-17-01
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特別障害者手当と障害年金は別々の制度

2025-6-17-02

特別障害者手当と障害年金は、根拠となる法や受給額が異なる制度です。

どちらも一定以上の障がいがあれば受給できますが、審査基準が異なるので、障がいの程度によってはどちらか一方しか受給できない場合があります。

たとえば、障害年金を受給している人でも、特別障害者手当を受給できるとは限りません。

そのため、各制度の受給要件を理解し、自身が該当するのかを確認しておくことが大切です。

特別障害者手当とは 

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特別障害者手当とは、精神もしくは身体に重度の障がいがある方の負担を軽くするために国から支給される手当のことです。

ここでは、特別障害者手当の受給要件と受給額について解説します。

受給要件

特別障害者手当は、以下のすべてを満たす場合に受給できます。

  • 精神または身体に重度の障がいがある
  • 20歳以上である
  • 自宅で生活している
    (施設に入所していない、3ヶ月以上入院していないなど)
  • 本人や配偶者、扶養義務者の所得が基準額以下である

重度の障がいとは、日常的に全面的な介護を要する方を指します。

具体的には、障害年金1級程度の障がいが重複、または1級程度の障がいと2級程度の障がいが2つ以上ある方などが対象です。 

そのため、単一の障がいで障害年金を受給している方は対象外となる場合があります。

なお、特別障害者手当には所得制限があり、本人や配偶者、扶養義務者の前年の所得が一定額を超える場合は受給できません。

扶養親族等の数に対するそれぞれの限度額は、以下のとおりです。

扶養親族等の数受給資格者本人の所得額受給資格者の配偶者または扶養義務者の所得額
03,604,000円6,287,000円
13,984,000円6,536,000円
24,364,000円6,749,000円
34,744,000円6,962,000円
45,124,000円7,175,000円
55,504,000円7,388,000円

※所得額は収入から必要経費や各種控除(所得控除や扶養控除など)を差し引いたもの

受給者資格者本人の所得には、障害年金などの公的年金も含まれます。 

受給額

特別障害者手当の受給額は、月額29,590円(令和7年4月~)です。

特別障害者手当は物価の変動に応じて受給額が変更する場合があるため、直近の受給額は厚生労働省のホームページで確認しましょう。

申請方法

特別障害者手当を申請する際は、自治体の窓口に以下の書類を提出します。 

  • 所定の診断書
  • 本人と配偶者もしくは扶養義務者の所得証明書
  • 個人番号カードなどマイナンバーがわかるもの
  • 預金口座のわかるもの
  • 障害者手帳(所持している方のみ)

戸籍謄本を必要とする自治体もあるため、事前にお住まいの自治体の窓口やホームページで確認しておきましょう。

障害年金とは

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障害年金は、ケガや病気によって日常生活や就労に支障がある場合に受給できる年金のことです。

ここでは、障害年金の受給要件と受給額、申請方法を解説します。

受給要件

障害年金の受給要件は、以下のとおりです。

  • 初診日において国民年金もしくは厚生年金に加入していること
  • 障害認定日に障害年金を受給できる障害等級に該当すること
  • 20歳時点から「初診日の前々月まで」の期間で保険料納付済み期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あること

初診日は、障がいの原因となったケガや病気で、初めて医師の診断を受けた日のことを指します。

障害認定日は、初診日から1年6ヶ月を経過した日もしくは症状が固定したと医師が判断した日のことです。

障害認定日は疾患によって異なるので、自身の障害認定日がわからないときは医師に確認しましょう。

障害年金の受給要件を満たす場合、初診日に国民年金に加入していた人は障害基礎年金、厚生年金に加入していた人は障害基礎年金と障害厚生年金を請求できます。

なお、次のいずれかに該当する場合は、公的年金の加入義務がないため、初診日に公的年金へ未加入でも障害基礎年金の受給対象となります。

  • 20歳未満の方
  • 日本に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない方

受給額

障害年金の年間の受給額は、下表のとおり(令和7年4月~)です。

1級2級3級
障害厚生年金 報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金(239,300円)報酬比例の年金額+配偶者の加給年金(239,300円)報酬比例の年金額
(最低保証額 623,800円)
障害基礎年金 1,039,625円+子の加算
(1人につき239,300円、3人目からは79,800円)
831,700円+子の加算
(1人につき234,800円、3人目からは78,300円)

※昭和31年4月2日以後に生まれた方の場合

※配偶者の加給年金は、障害厚生年金の対象となった方に生計を維持している65歳未満の配偶者がいるときに加算される

報酬比例の年金額には、平均標準報酬月額と平均標準報酬額が使われます。 

平均標準報酬月額は、加入期間の標準報酬月額の総額を加入期間の月数で割った金額のことです。

平均標準報酬額は、標準報酬月額と標準賞与額の総額を加入の月数で割った金額を指します。

具体的な計算式は、以下のとおりです。

報酬比例の年金額 = (平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入期間)+(平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間)

複雑な計算をする必要があるので、受給できる年金額を知りたいときは年金事務所や年金相談センターで試算することをおすすめします。

申請方法 

障害基礎年金を申請する際は自治体窓口、障害厚生年金は最寄りの年金事務所または年金相談センターに以下の書類を提出します。

  • 年金請求書
  • 戸籍謄本や住民票の記載事項証明書など
  • 医師の診断書
  • 病歴・就労状況等申立書
  • 金融機関の通帳やキャッシュカード

なお、初診時の医療機関と診断書を作成した医療機関が異なる場合は、初診日の確認のための「受診状況等証明書」も必要です。

受診状況等証明書は、初診時の医療機関に作成を依頼しましょう。

特別障害者手当と障害年金は併給できる

2025-6-17-05

特別障害者手当と障害年金は、それぞれの要件を満たしていれば併給できます。

ただし、特別障害者手当には所得制限があり、障害年金も所得として計算されるため、障害年金の受給額によっては特別障害者手当の対象外となる可能性があります。 

併給する場合は、それぞれの支給時期にも注意が必要です。

特別障害者手当は2月、5月、8月、11月の年4回の支給であるのに対し、障害年金は偶数月の年6回の支給となっています。

受給後の家計管理のためにも、事前に支給スケジュールを把握しておくことをおすすめします。

受給要件に当てはまる人は特別障害者手当と障害年金を申請しよう

特別障害者手当と障害年金は、障がいのある人の生活を支える制度です。

受給要件や受給額、申請方法が異なるため、自身の状況に応じてそれぞれ対象となるかを確認することが大切です。

受給要件に当てはまる可能性がある方は、お住まいの自治体や年金事務所に相談してみましょう。

現状、生活費の支払いに困っている方は、ファイナンシャルプランナーへの相談をおすすめします。

お困りの方は、お気軽にご相談ください。

監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士

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