障害があることで災害時の避難がスムーズにできないのではないかと不安に感じている方は多いのではないでしょうか。
障害のある方が災害時の不安を取り除くためには、事前に福祉避難所の場所を確認したり、自分の障害状態に合わせて持ち出しグッズを準備したりすることが大切です。
そこで今回は、障害のある方の災害対策を紹介します。
避難生活時のストレスを軽減するためにも、ぜひ参考にしてみてください。

障害のある人がすべき災害への備え

障害のある方がすべき災害への備えは、以下の通りです。
- 自宅の安全対策をする
- 福祉用具や補装具の点検をする
- 避難場所を確認する
- 避難経路を確認する
- 避難時持ち出しグッズを準備する
一つずつ詳しく紹介します。
自宅の安全対策をする
地震などの災害では、家具が倒れて下敷きになってしまい、けがをしたり避難できなかったりするケースが多くあります。
そのような事態を防ぐためには、家具が転倒しないように壁や天井に固定するなどの対策が重要です。
たとえば、タンスは床側をストッパーなどで固定し、天井側はポール式器具で留めるのが効果的です。
食器棚は、L字型金具やワイヤーなどで壁に固定し、開き戸が開かないように留め具を付けておくとよいでしょう。
また、重いものや割れやすいものを高いところに置いたり、避難経路に大きいものを置いたりしないことも大切です。
福祉用具や補装具の点検をする
災害発生時でも福祉用具や補装具をトラブルなく使えるよう、定期的に点検しておくことが大切です。
たとえば、車椅子のタイヤの空気圧を確認したり、杖や歩行器に損傷がないかをチェックしたりします。
電動車いすといったバッテリーを利用して動くものは、定期的に充電しておきましょう。
避難場所を確認する
災害が発生したときに落ち着いて避難するためには、事前に防災マップやハザードマップなどで避難場所を確認しておくことが大切です。
避難場所は災害の種類によって異なるので、あらゆるケースを想定したうえで確認しておきましょう。
なお、障害のある方は福祉避難所に絞って確認しておくのがおすすめです。
福祉避難所とは、高齢者福祉施設や障害者支援施設などの中に併設されている避難所のことです。
福祉避難所は、障害者用トイレやスローブ、手すりが設置されていたり、相談員のサポートを受けられたりする特長があります。
避難生活の不安を軽減するためにも、自治体のホームページや窓口でどこに福祉避難所があるのかを確認しておきましょう。
避難経路を確認する
万が一のときもスムーズに避難しやすいように、避難場所までの経路を確認しておきましょう。
実際に避難場所まで移動して、どのくらい時間がかかるのかを把握しておくと安心です。
たとえば、車椅子を使っている方は、避難場所まで車椅子で移動してみるとよいでしょう。
なお、車での避難は渋滞によって逃げ遅れるリスクがあるため、車で移動できない状況も想定しておくことが大切です。
避難時持ち出しグッズを準備する
被災してしまったときは、避難所に移動し、避難生活を送ることとなります。
避難生活のストレスを少しでも軽減できるよう、避難時に持ち出すべきものをあらかじめリュックサックなどに詰めておくことが大切です。
具体的には、以下のようなアイテムを準備しておくとよいでしょう。
- 水
- 食料
- 防災用ヘルメット
- トイレットペーパー、ティッシュペーパー
- 衣類、下着
- 懐中電灯
- 携帯ラジオ
- 携帯充電器
- 救急用品(ばんそうこうや消毒液など)
- タオル
- ヘルプカード
- 障害者手帳
- 常備薬
- 処方箋やおくすり手帳の写真、コピー
これらに加え、障害の状態に応じて、以下のものをすぐに持ち出せる場所に保管しておくのがおすすめです。
肢体が不自由な人 | ・杖 ・車椅子のメンテナンスキット (空気入れ、パンク修理材、工具など) ・おぶいひも ・電動車椅子用のバッテリー など |
目が不自由な人 | ・手袋 ・眼鏡 ・白杖 ・時計(音声式・非接触式など) ・点字盤 ・特殊レンズ、コンタクトレンズのスペア ・盲導犬のペットフード |
耳もしくは話すことが不自由な人 | ・補聴器(予備の電池) ・メモ用紙 ・筆談用の筆記用具 ・笛 ・警報ブザー ・文字放送付き携帯ラジオ |
内部障害や難病のある人 | ・医療器具 ・治療食 ・検査データのコピー ・ストマ用装具 ・洗腸セット (水、ウエットティッシュ、ビニール袋、輪ゴム、はさみ) |
知的障害・精神障害・発達障害のある人 | ・本人がこだわりを持っているもの ・本人が食べられる食材 ・イヤーマフ ・ヘッドホン |
家族や介助者と災害時の対応を話し合う
災害時の対応を家族や介助者と話し合っておくと、万が一のときも慌てずに行動しやすくなります。
また、必ずしも家族や介助者といるときに災害が発生するわけではないので、安否確認の方法や集合場所などを話し合っておくことも大切です。
安否確認には「災害用伝言ダイヤル(171)」、携帯電話のインターネットサービスを利用した「災害用伝言板」などのサービスを活用しましょう。
【障害の区分別】災害に備えるときのポイント

ここでは、障害の区分別に災害に備えるときのポイントを紹介します。
自分の障害状態に応じて、必要な備えを把握しておきましょう。
肢体が不自由な人
肢体が不自由な方は、自宅の安全対策を徹底することが大切です。
家具が倒れたり物が落下したりすると、安全に避難できなくなります。
そのようなことにならないためにも、寝室に置く家具を少なくするなどの対策をしましょう。
また、手の届く位置にヘルメットを置き、車椅子や杖には暗闇でも場所がわかるように蛍光シールを貼るのがおすすめです。
あわせて、避難場所の設備や救助をお願いする人の連絡先を確認したり、避難時に補装具を問題なく使えるように点検したりしておきましょう。
目が不自由な人
目が不自由な方は、災害時を想定して実際に介助者と一緒に避難経路を歩いてみるのがおすすめです。
また、万が一のときでも災害情報をすぐに確認できるように、ラジオなどを近くに置いておきましょう。
盲導犬のサポートを受けている方は、ドックフードや水を準備しておくことも大切です。
耳もしくは話すことが不自由な人
耳もしくは話すことが不自由な方は、スムーズに避難できるように、避難場所や経路を入念に確認しておきましょう。
耳から正確な情報を得られにくいので、どのような方法で緊急情報を確認するかを決めておくことが大切です。
たとえば、自治体の防災メールの受信設定ができているかを確認しておきましょう。
加えて、筆談ができるように筆記用具やメモ用紙を避難時持ち出しグッズに入れるなど、自分からの情報伝達方法を考えておくと安心です。
内部障害や難病のある人
内部障害や難病のある方は、かかりつけ医や薬剤師に緊急時の対応方法を確認しておきましょう。
たとえば、薬や装具、特殊食品、医療器具など、避難時に持ち出す必要があるものを聞いておくのがおすすめです。
なかには、内部障害や難病があることが外見からわかりにくい方もいます。
避難先の医療関係者がどのような障害・難病があるのかが把握できるよう、検査データやお薬手帳のコピーなどを準備しておきましょう。
知的障害のある人
知的障害のある方は、家族や介助者と事前に以下を確認しておきましょう。
- 避難場所
- 家族、介助者との待ち合わせ場所
- 連絡方法 など
加えて、災害時に一人になったときや家族とはぐれたときの対応を話し合っておくことが大切です。
身元や連絡先などが確認できるものを衣類やカバンに縫い付けておくと、はぐれてしまったときも早く再会しやすくなります。
避難生活のストレスを少しでも軽減できるよう、いつも使っているお気に入りのアイテムを用意するのもおすすめです。
精神障害のある人
精神障害のある方は、被災でのストレスで不安やいらだち、不眠などの症状が現れることがあるので、かかりつけ医に災害時の対応方法を相談しておきましょう。
あわせて、災害や緊急時に相談できる人の名前、連絡先をメモしておくと災害時のストレスを軽減しやすくなります。
発達障害のある人
発達障害のある方は、緊急時の対応を家族で話し合っておくことが大切です。
自宅や学校、職場などにいるときの避難場所、避難経路をそれぞれ確認しておきましょう。
また、避難先でも可能な限り安心して過ごせるようにお気に入りのアイテムを用意しておくのがおすすめです。
耳栓やアイマスクを準備しておけば、周囲からの刺激を抑制でき、避難生活時のストレスを軽減しやすくなるでしょう。
障害のある人が災害時に利用できる制度

高齢者や障害のある人など、災害時に自力で避難するのが難しい方の安全を守る制度として「災害時要援護者支援制度」があります。
災害時要援護者支援制度とは、本人の申請により「要援護者登録名簿」にあらかじめ登録しておくことで、自治体と地域が協力し、安否確認や情報提供などの支援を迅速にできるようにするための制度です。
この制度は、災害時に自力で避難するのが難しい在宅の人が利用でき、施設入所や長期入院などの理由で在宅ではない方は対象外となります。
災害時にスムーズに避難できるのか不安を抱えている方は、自治体のホームページや窓口で申請方法を確認しておきましょう。
障害のある人はスムーズに避難できるよう災害に備えておこう
障害のある方が災害に備える際は、近くの福祉避難所を確認したり、障害状態に応じて避難時に持ち出すべきものを準備したりしておくことが大切です。
あわせて、家族や介助者と一緒に避難場所まで実際に移動して、避難ルートを確認しておくとよいでしょう。
福祉避難所や災害時要援護者支援制度に関する疑問がある場合は、事前に自治体のホームページや窓口で確認しておきましょう。
監修者:東本 隼之
AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士
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